2007年12月12日
株式会社ブランド総合研究所
携帯電話ユーザー7万人の携帯電話の乗り換え実態&不満調査
乗り換え中止が12%、「手続き面倒」が阻害要因
新料金プラン「複雑でわからない」が半数
2007年6月から11月までの半年間に携帯電話を「乗り換えた」人は、携帯電話ユーザーのうちの4.2%にすぎず、「乗り換えを検討したが乗り換えなかった」人はその約3倍(12.0%)もいた。乗り換えなかった理由として最も多いのは「乗り換えの手続きが面倒」。また、基本料金と通話料金が安くなる「新料金プラン」を望んでいる人
は、従来の「携帯電話の購入代金が安いプラン」を望んでいる人より圧倒的に多い半面、全体の約半数は「料金プランが複雑でよくわからない」と回答した――。
企業や地域のブランド戦略専門のコンサルティング会社、株式会社ブランド総合研究所(本社:東京都港区、社長:田中章雄)は、2007年11月27日からの7日間「携帯電話の乗り換えに関する実態とその不満に関する調査」を実施し、インターネットを使って16歳から49歳までの携帯電話ユーザー7万人から回答を集めました。その結果をまとめたところ、上記のような結果が
出ました。
■携帯電話の乗り換え実態
下のグラフは7万人の回答者が、2007年6月から11月までの半年間に携帯電話の乗り換えを行ったかどうかに関する調査結果です。
「乗り換えた」と答えた人は4.2%(2,928人)で、「乗り換えを検討中」と答えた人は3.7%(2,583人)でした。ところが「検討したが乗り換えなかった」と答えた人は、そのほぼ3倍にあたる12.0%(8,374人)もいました(※2007年5月以前の乗り換えやその検討は含みません)。またこの比率は、年齢や性別、居住地によっては大きな差は見られませんでした。(乗り換えには同じ携帯電話会社内で契約を変更した場合は含まれていません)
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(集計対象は全回答者=70,000人) |
■ 調査概要 |
調査方法 |
インターネット調査 |
調査対象者 |
16〜49歳の男女
(約200万人の調査モニターから対象者を抽出し、調査協力依頼メールを配信)
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総回収数 |
7万人 |
調査時期 |
2007年11月27日〜12月3日 |
調査主体 |
ブランド総合研究所 |
調査協力 |
アイブリッジ |
■乗り換えた前後の携帯電話会社の比率
以下のグラフは実際に2007年の6月から11月までの半年間に携帯電話を乗り換えた人(2,928人)の携帯電話会社(キャリア)の比率を、乗り換えの前と後で比較してみたものです。その結果、NTTドコモ(以下、グラフではDoCoMoと略)は乗り換える前は44.3%でしたが、乗り換えた後は13.0%と急減しています。一方でauは乗り換える前は20.1%だったのが乗り換えた後には39.9%とほぼ倍増。ソフトバンク(以下グラフでSoftBank)は乗り換える前が22.4%に対し、乗り換えた後が31.1%と
増加しています。
【図 乗り換え前後の各キャリア比率】 |
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(調査対象はいずれも2007年6月から11月までに携帯電話会社を乗り換えた人=2,928人) |
■乗り換えた人の月別推移と、携帯電話会社の比率
以下の図は、携帯電話を乗り換えた人の割合を月別に集計したもの(棒グラフ)と、その乗り換えた後の携帯電話会社(キャリア)の割合(折れ線グラフ)の分析結果です。この結果からは、乗り換える人の割合が月ごとに変動はあるものの、徐々に減少する傾向にあることがわかります。
また、乗り換え後の携帯電話会社の比率を見ると、7月以降はauとソフトバンクが拮抗している半面、NTTドコモのシェアは少なく、徐々にその比率を下げていることがわかります。
【図 乗り換え月別推移と各キャリアのシェア】 |
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(棒グラフは全回答者70,000人のうち月ごとの乗り換えた人の比率で、折れ線グラフは月ごとの乗り換えた人の中における乗り換え後の各携帯電話会社の比率)
※前回の調査(2007年6月実施)の結果も加えた2006年10月から14ヶ月間のグラフもあります。詳しくはお問い合わせください。
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■乗り換えをしなかった理由
携帯電話の乗り換えを検討したが、乗り換えには至らなかった人は、実際の乗り換えた人のほぼ3倍いましたが、その理由(阻害要因)を聞いてみた結果が以下のグラフになります(複数回答可。対象者数は8,374人)。
その結果、最も多かったのは「乗り換えの手続きが面倒だから」で32.4%。次に多かったのは「メールアドレスが使えなくなるから」で29.8%、「現在のポイントや特典が使えなくなるから」で26.2%となりました。また、「料金プランが複雑でよくわからないから」(25.7%)、「乗り換えにかかる費用が高いから」(24.5%)も多くの人が指摘しています。
【図 乗り換えを検討したが、乗り換えなかった理由】 |
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(調査対象者は携帯電話の乗り換えを検討したが、乗り換えには至らなかった人=8,374人
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この結果は検討していた携帯電話会社によって異なっています。各キャリアの特徴は下記の通りです。
NTTドコモへの検討者
「乗り換えにかかる費用が高いから」(31.2%)、「乗り換えても料金プランが安くならないから」(23.3%)など、費用的な面での理由を挙げた人が多くいました。
auへの検討者
「乗り換えの手続きが面倒だから」が35.3%と多く、また「乗り換えても料金プランが安くならない」も20.6%の人が指摘しています。
ソフトバンクへの検討者
auの検討者同様「乗り換えの手続きが面倒だから」が31.7%と多い半面、「乗り換えても料金プランが安くならない」については10.4%と少ないという結果になりました。
つまり、乗り換えの手続きの簡素化や、料金が安くなることを明確にすることにより、乗り換えを促進させる可能性があります。その一方で、乗り換えられない(囲い込み)ようにするにはポイントや特典を充実させることが効果的であることがわかります。
■新料金プランへの反応
2007年秋より、新料金プラン(携帯電話の購入代金を高くする一方で、月々の基本料金や通話料金が安くなる)がスタートしましたが、このプランについての興味を聞いてみました。
その結果、「基本料金と通話料金が安くなる新料金プラン」の方を望んでいる人は32.9%で、これまでの「携帯電話の購入代金が安いプラン」を望んでいる人の6.3%を大きく上回りました。
ところが、約半数にあたる49.0%の人が「料金プランが複雑でよくわからない」と答えており、新料金プランの仕組みが十分には認知されていない実態が明らかになりました。
今後、消費者が自分により適切な携帯電話会社を選択し、乗り換えや新規契約が行えるようにするためには、シンプルでわかりやすい料金体系や料金プランに改善し、選びやすいような仕組みにすることが必要のようです。
【図 新料金プランへの反応】
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(集計対象は全回答者=70,000人)
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<結果概要について>
今回の調査の詳細な結果は、以下の報告書として2008年1月より発行・販売いたします。
『携帯電話乗り換え実態&不満調査・総合報告書』
定価 :250,000円 (消費税込)
<ブランド総合研究所の会社概要>
ブランド総合研究所は、企業ブランドおよび地域ブランドの調査とコンサルティングを行う専門企業として、2005年11月に設立いたしました。 ブランド戦略の理解・普及活動、戦略立案などを担当するほか、ブランド力を高めるための調査、コンサルティング、テストマーケティングなどの専門業務を行っています。