〜エコバッグは富山県、節水は長崎県、買い替えは沖縄県が盛ん〜
エコ行動1位は長野県、2位京都府、3位東京都
全国2万人による「都道府県別エコへの取り組み調査」より
最も環境への取り組みが盛んであるのは長野県。ただし取り組み内容は都道府県によって大きく異なっており、たとえばエコバッグは富山県、節水は長崎県、エコ商品への買い替えは沖縄県が多い――。各都道府県別の環境活動への取り組みを、全国に住む約2万人の住民に聞く調査「都道府県別エコへの取り組み調査」を実施したところ、都道府県によってかなり異なっていることが明らかになりました。
この調査は、都道府県別の環境に配慮した行動の状況を明らかにするために、ブランド総合研究所が計21,269人を対象に、9月26日から29日までインターネットにて実施したものです。
その結果、最も環境への取り組みが盛んであるのは長野県という結果になりました。長野県は県の全機関や企業を対象に環境経営システム「エコアクション21」の導入をするなど、全県的な取り組みが積極的に行われている結果といえそうです。また、2位には京都議定書の会場となり、全国初の地球温暖化対策の条例が設定されるなど積極的な取り組みがされている京都府。以下、3位に東京都、4位には以前より琵琶湖の浄水問題に取り組んでいる滋賀県となりました。
■環境への取り組みが盛んな都道府県ランキング
各都道府県の環境に関する取り組み状況を把握するために、都道府県ごとの回答者数が200人以上となるように調査の回答を集め(実際には219人から639人)、都道府県ごとに住民による取り組み状況を集計しました。
回答者に「資源ごみは必ず分別している」「冷暖房の温度設定に常に気をつけている」など、環境に配慮した13の行動について聞き、都道府県ごとに、それらの得点(※)を求めて比較したのが右のランキングです。つまり、資源ごみの分別や、冷暖房の温度設定などの環境に配慮した行動を多くの住民が幅広く取り組んでいる都道府県の得点が高くなり、逆に環境に配慮した行動が浸透していない都道府県の得点が低くなります。(具体的な設問内容については次ページ参照)
その結果、最も環境への取り組みに積極的なのは長野県となりました。長野県は「待機電力に気を使っている」が48.1%、「味噌汁の残りなどを下水に流さない」が12.8%でいずれも全国1位でした。
一方、最も得点が低かったのは高知県(47位)。46位に徳島県、34位に愛媛県、29位に香川県と四国各県はあまり環境活動に積極的ではないようです。
|
順位 |
都道府県 |
得点 |
|
順位 |
都道府県 |
得点 |
1 |
長野県 |
36.4 |
|
25 |
島根県 |
33 |
2 |
京都府 |
35.8 |
|
25 |
三重県 |
33 |
3 |
東京都 |
35.7 |
|
27 |
鹿児島県 |
32.8 |
4 |
滋賀県 |
35.1 |
|
28 |
奈良県 |
32.7 |
5 |
長崎県 |
34.9 |
|
29 |
香川県 |
32.6 |
5 |
福島県 |
34.9 |
|
30 |
愛知県 |
32.4 |
5 |
山梨県 |
34.9 |
|
30 |
大分県 |
32.4 |
8 |
福岡県 |
34.6 |
|
32 |
大阪府 |
32.3 |
8 |
宮城県 |
34.6 |
|
32 |
鳥取県 |
32.3 |
8 |
山形県 |
34.6 |
|
34 |
愛媛県 |
32.2 |
11 |
神奈川県 |
34.4 |
|
35 |
岩手県 |
32 |
11 |
北海道 |
34.4 |
|
36 |
岡山県 |
31.9 |
13 |
兵庫県 |
34.2 |
|
36 |
熊本県 |
31.9 |
14 |
沖縄県 |
34.1 |
|
38 |
秋田県 |
31.7 |
15 |
宮崎県 |
33.8 |
|
38 |
石川県 |
31.7 |
16 |
岐阜県 |
33.7 |
|
40 |
埼玉県 |
31.6 |
16 |
千葉県 |
33.7 |
|
40 |
和歌山県 |
31.6 |
16 |
富山県 |
33.7 |
|
42 |
群馬県 |
31.5 |
19 |
山口県 |
33.6 |
|
43 |
福井県 |
31.2 |
20 |
広島県 |
33.5 |
|
44 |
佐賀県 |
31.1 |
21 |
茨城県 |
33.4 |
|
45 |
青森県 |
31 |
22 |
静岡県 |
33.2 |
|
46 |
徳島県 |
30 |
22 |
新潟県 |
33.2 |
|
47 |
高知県 |
28.7 |
24 |
栃木県 |
33.1 |
|
|
|
|
※得点=(13項目別の%の合計)÷13 |
|
■資源ごみの分別は全県で8割以上
右のグラフは、13項目の環境に配慮した行動ごとに、回答者の何%の人が実際に行動しているかを示したグラフです(複数回答可能)。
「資源ごみは必ず分別している」は88.6%の人が実行していました。ちなみに回答者の都道府県別で集計すると、最も高かったのは北海道で93.9%。逆に最も低かったのは大阪府でしたが、80.0%の人が分別していると答えており、全国的に資源ごみの分別はかなり普及しているようです。
次に高かったのは「冷暖房の温度設定に常に気をつけている」で62.7%。これは香川県が69.2%で最も高く、宮崎県(69.0%)、滋賀県(68.0%)が続いています。
エコバッグの普及、すなわち「買い物の時には買い物かごや買い物袋を持参」は富山県が79.7%で1位。同県は今年4月に全国で初めてレジ袋の有料化が県内全域で一斉に行われました。一方、徳島県は25.8%にすぎず、都道府県による差が大きいようです。
「環境性能の良い商品に買い替える」と答えたのは沖縄県が18.8%と最も高く、宮崎県、大分県、鹿児島県と九州ではかなり進んでいるようです。ただし、これは買い替える商品の分野によって大きく順位が異なっているようです。(詳しくは次ページのランキング表を参照)
|
実際に実行している環境に配慮した行動
※対象は回答者全員 N=21,269人。複数回答可能
※表の選択項目は略してある。正しい項目内容は次ページを参照
|
■環境に配慮した行動別の都道府県ランキング (項目は略して表記。正しい項目内容は次ページ参照) |
@資源ごみの分別 |
|
A冷暖房の温度設定 |
|
B節水を心がける |
|
Cエコバッグを持参 |
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
1 |
北海道 |
93.9 |
|
1 |
香川県 |
69.2 |
|
1 |
長崎県 |
58.5 |
|
1 |
富山県 |
79.7 |
2 |
福島県 |
92.4 |
|
2 |
宮崎県 |
69 |
|
2 |
香川県 |
58.3 |
|
2 |
山梨県 |
76.9 |
三重県 |
92.4 |
|
3 |
滋賀県 |
68 |
|
3 |
福島県 |
57.6 |
|
3 |
山形県 |
71.4 |
4 |
神奈川県 |
92.2 |
|
4 |
神奈川県 |
67.8 |
|
4 |
福岡県 |
57.1 |
|
4 |
岐阜県 |
67.6 |
5 |
新潟県 |
92 |
|
5 |
東京都 |
66.9 |
|
5 |
長野県 |
56.8 |
|
5 |
宮城県 |
64.6 |
ワースト 大阪府(80.0) |
ワースト 北海道(52.4) |
|
ワースト 富山県(37.5) |
|
ワースト 徳島県(25.8) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
D簡易包装を依頼 |
|
E待機電力に注意 |
|
Fアイドリングストップ |
|
G公共交通機関を使う |
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
1 |
福岡県 |
51.3 |
|
1 |
長野県 |
48.1 |
|
1 |
福島県 |
41.3 |
|
1 |
東京都 |
49.1 |
2 |
東京都 |
48.9 |
|
2 |
千葉県 |
45.7 |
|
2 |
山形県 |
40.8 |
|
2 |
大阪府 |
37.5 |
3 |
佐賀県 |
47.5 |
|
3 |
宮城県 |
45.2 |
|
3 |
鳥取県 |
39.7 |
|
3 |
神奈川県 |
34.7 |
4 |
神奈川県 |
47.4 |
|
4 |
宮崎県 |
45 |
|
4 |
富山県 |
39.6 |
|
4 |
京都府 |
34.2 |
5 |
宮崎県 |
47 |
|
5 |
山梨県 |
44.9 |
|
5 |
福井県 |
39 |
|
5 |
兵庫県 |
31 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
H環境表示をチェック |
|
Iエコ商品に買い替え |
|
J下水に流さない |
|
K生ごみ処理機を購入 |
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
|
|
都道府県 |
% |
1 |
鹿児島県 |
20.3 |
|
1 |
沖縄県 |
18.6 |
|
1 |
長野県 |
12.8 |
|
1 |
滋賀県 |
11.1 |
2 |
熊本県 |
20 |
|
2 |
宮崎県 |
18 |
|
2 |
大分県 |
11.2 |
|
2 |
岐阜県 |
11 |
3 |
愛媛県 |
19.9 |
|
3 |
大分県 |
17.5 |
|
3 |
東京都 |
10.9 |
|
3 |
島根県 |
10.8 |
4 |
福岡県 |
19.8 |
|
4 |
兵庫県 |
17.3 |
|
4 |
鹿児島県 |
10.7 |
|
4 |
富山県 |
10 |
5 |
山梨県 |
19.7 |
|
5 |
鹿児島県 |
16.9 |
|
5 |
三重県 |
9.4 |
|
5 |
新潟県 |
9.8 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
L環境企業の商品を買う |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
都道府県 |
% |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1 |
沖縄県 |
10.4 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2 |
鹿児島県 |
10.2 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3 |
山梨県 |
9.2 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
4 |
島根県 |
8.9 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
5 |
愛媛県 |
8.5 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
■エコを意識した買い替えが高いのはエアコンと車
商品(耐久消費財)を買い替える際に、「環境負荷を軽減するために買い替えることを考慮した」比率を求めたのが下の表です。その結果、最も高かったのはエアコンで12.6%でした。つまり、「エコを意識した買い替え」が進んでいるということになります。また、それを回答者の都道府県別に分析してみたところ、最も高かったのは和歌山県で18.2%となりました。逆に最もその割合が低かったのは北海道で1.2%。都道府県による差が非常に大きいようです。
商品別・エコを意識して買い替えた割合と、都道府県ランキング(単位:%) |
※沖縄県と大分県のテレビはいずれも10.1% |
商品分野 |
エコを意識して買い替えた割合 |
1位 |
2位 |
3位 |
47位(ワースト) |
エアコン |
12.6 |
和歌山県(18.2) |
佐賀県(17.4) |
熊本県(17.3) |
北海道(1.2) |
車 |
12.4 |
滋賀県(16.8) |
茨城県(16.3) |
宮崎県(15.7) |
東京都(5.7) |
照明器具(電球含む) |
10.6 |
沖縄県(15.3) |
佐賀県(14.2) |
鳥取県(13.4) |
富山県(6.9) |
冷蔵庫 |
10.4 |
宮崎県(16.0) |
佐賀県(13.7) |
山口県(13.1) |
島根県(6.6) |
テレビ |
8.2 |
鳥取県(11.3) |
和歌山県(10.3) |
沖縄県、大分県※ |
長崎県(5.7) |
洗濯機 |
7.9 |
山梨県(11.9) |
宮崎県(11.0) |
岐阜県(10.2) |
高知県(4.4) |
キッチン(IH、コンロなど) |
4.1 |
和歌山県(7.3) |
鳥取県(7.1) |
島根県(6.9) |
鹿児島県(1.7) |
パソコン/プリンタなど |
4 |
奈良県(5.7) |
滋賀県、福島県(5.4) |
島根県(2.3) |
給湯システム |
3.9 |
茨城県(6.8) |
島根県(6.6) |
滋賀県(6.3) |
北海道(1.0) |
窓ガラス、壁、遮光カーテンなど |
3.3 |
長野県(5.6) |
茨城県(5.5) |
大分県(4.9) |
佐賀県(1.8) |
電子ポット |
2.6 |
群馬県(3.8) |
宮崎県(3.7) |
神奈川県(3.6) |
長崎県(0.9) |
鍋、調理器など |
2.3 |
宮崎県(4.3) |
長野県(3.8) |
大分県(3.7) |
大阪府(0.9) |
住宅 |
1.7 |
茨城県(3.5) |
栃木県(2.7) |
石川県(2.6) |
徳島県(0.3) |
1位のエアコン(12.6%)に次いでエコを意識した買い替えが多かったのは車で、12.4%と非常に僅差でした。車は商品単価が高額であるにもかかわらず買い替えた人が多いという結果になりました。
都道府県別では最も高かったのが滋賀県で16.8%。茨城県(2位)、栃木県(5位)、群馬県(12位)と北関東が全国の中でも上位に位置している半面、東京都が5.7%で最下位の47位、千葉県が45位、神奈川県が44位、埼玉県が43位とワースト5に南関東の1都3県が並ぶという極端な結果となりました。
その他、照明器具(電球含む)では沖縄県、冷蔵庫では宮崎県、テレビでは鳥取県、洗濯機では山梨県などが積極的にエコを意識した買い替えをしている人が多いという結果になりました。
今日、全国の自治体で環境に関するさまざまな行動方針が出され、条例を設定するケースも増えている一方で、各企業が環境負荷を軽減するような商品を積極的に開発しています。これら両面での取り組みが各地で有機的につながることで、内需経済の活性化と日本における地球環境の改善の効果が期待されています。
<調査の概要> |
調査方法 |
インターネット調査 |
調査対象者 |
調査モニター約200万人 |
回収対象者 |
都道府県ごとに200人以上を回収 |
有効回答数 |
21,269人 |
調査期間 |
2008年9月26日〜2008年9月29日 |
<結果概要について>
今回の調査の詳細な結果は、「調査報告書」として2008年11月20日より発行・販売いたします。
商品名 :『都道府県別エコへの取り組み調査』 調査報告書
販売価格 :98,000円(消費税込、電子データ付き)
<ブランド総合研究所の会社概要>
企業ブランドおよび地域ブランドの調査とコンサルティングを行う専門企業。 ブランド戦略の理解・普及活動、戦略立案、調査などを実施。主な調査として、全国1000の市区町村を対象とした「地域ブランド調査」(総回答数35,309人)の実施や、有力企業560社を対象とした「環境ブランド調査」(総回答数20,233人、日経BP社主催)の設計、分析等を担当するなど、地域・環境の両分野での調査を積極的に実施しています。
社名 :株式会社ブランド総合研究所
本社住所 :東京都港区虎ノ門1−8−5
代表者 :田中章雄
資本金 :2,500万円
設立 :2005年11月