調査 / 地域ブランド調査2015 | 2015年8月27日 木曜日

地域の魅力は何から形成されるか
~地域ブランド調査9年の結果から・魅力度編~

弊社が実施している、消費者が各地域に抱いているイメージ等を明らかにする「地域ブランド調査」は2006年から調査を開始し、2015年実施分(現在実施中。9月下旬発表予定)で10回目を迎える。本項では10回目の発表を前に、2006年から2014年までの9年間の結果推移が示唆する地域に対する消費者イメージの変容についてレポートする。

※地域ブランド調査の調査概要等については地域ブランド調査2014特設ページをご参照ください。

今回取り上げる指標は「魅力度」。同指標は任意の地域名について「どの程度魅力を感じますか?」という問いに対して、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、「どちらでもない」、「あまり魅力を感じない」、「全く魅力的でない」を0点として、それらを加重平均して点数を算出している。なお、認知度の設問において、当該自治体を「名前も知らない」と答えた人も含めた全回答者を対象に集計した。

今回は魅力度について、同項目の平均点の推移から見える変化と、魅力度と他指標の相関関係から、地域の魅力がどのような側面から形作られているかについて分析する。

■認知度同様高年齢層の点数低下が顕著
魅力度の2006年から2014年までの平均点推移を示したのが【図表1】である。2007年以降※1、最も平均点が高かったのは2011年の7.6点となっている。同年は東日本大震災の影響で認知度の平均点が上昇(別項参照)しており、それが魅力度にも影響を与えたものと考えられる※2。2011年以降、平均点は低下傾向となっている。
続いて年代別の推移をみる。魅力度でも認知度同様に高年齢層の点数が高くなる傾向にあるが、2006年には20代回答者の平均点が6.7点に対して60代は11.9点と倍近い差があったが、2014年には20代は5.9点、60代は7.6点と、その差は縮小しおり、<高年齢層ほど魅力度も高くなる>という傾向は同項目においても小さくなってきている。

【図表1.魅力度平均点の推移】

1 2006年は調査対象が市のみが対象(779市)で、2008年以降は対象が1000市区町村に広がったことから2007年以降を考察
2調査の構造上、魅力度は認知度設問において該当地域を「知っている」回答者を基に点数化している。よって、地域を認知している割合が高まれば、その分魅力的かどうかを回答する母数が増える

■強まる魅力度と観光意欲度の相関関係
続いて、地域はどういった側面から“魅力的”と思われるのか、居住意欲度「住んでみたい」、観光意欲度「行ってみたい」、食品購入意欲度・食品以外購入意欲度「買ってみたい」の3つの側面から分析する。
ここでは調査対象が1000市区町村となった2007年以降、各年1000市区町村の結果から、魅力度を目的変数、居住意欲度、観光意欲度、食品購入意欲度、食品以外購入意欲度の4項目を説明変数とする重回帰分析を行った。その結果が【図表2】である。
まず、魅力度の結果を上記4項目でどの程度説明できるかという「決定係数(修正R2乗)」についてみると、全ての年について0.9以上と非常に高い値となっており、魅力度はこの4項目でほぼ説明できるということができる※3
次いで、魅力度と4項目それぞれの偏相関の結果をみると、2007から2009年にかけては居住意欲度、観光意欲度が双方0.7以上と同程度の強さとなっており、「住んでみたい」「行ってみたい」という点が「地域の魅力」と強い相関関係がある傾向にあった。しかし、2010年以降は居住意欲度の偏相関係数が継続して低下。2014年には0.633と必ずしも相関関係が強いとは言い切れない値にまで低下している。一方、観光意欲度は若干ながら増加傾向となっており、2014年には0.811となっている。このことから、近年は「行ってみたい」という観光意欲の側面がまちの魅力により強い相関関係を持つ傾向にあるといえる※4
他方、食品購入意欲度、食品以外購入意欲度については全ての年で共に0.3以下となっており、魅力度と強い相関は認められない。

【図表2.魅力度と各項目の重回帰分析結果】

3 総変動のうち回帰式で説明できる変動の割合。値が1に近いほど回帰式の当てはまりがよいとされる。なお、各年の回帰式については本項では割愛する
4 なお、多重共線性については2007年の観光意欲度においてVIFが5.22と多重共線性がある可能性が示唆されているが、その他の年、指標については問題ない値となっている

■各行動意欲の整理
次いで、3つの側面(4指標)について「行動機会」「消費者と地域の関係性」、そして先に紹介した「魅力度との偏相関推移」について比較・整理したのが【表1】である。
居住意欲度は、他2つの側面と比較して行動機会(実際に転居など行動する人の割合)は少ない。一方で地域との関係性は濃い。そして、魅力度との相関関係は漸減傾向にある。
産品購入意欲度は、例えば食品であれば日に複数回購入するように、必ずしも地域性を重視した消費行動ばかりではないが、行動機会としては今日インターネットなど多様なチャネルの形成も進んでおり、非常に多いといえる。しかしながら、地域との関連性・つながりは他2項目と比較すると希薄といえる。地域そのものの魅力との相関関係も、あくまで調査対象地域全体の傾向としはて認められない。
そして、観光意欲度は行動機会、地域との関係性において他2項目と比較すると中庸であるが、魅力度との相関関係はより強くなっている傾向にある。

【表1.各行動意欲の整理】

■最後に~調査結果を活用するに当たって~
なお、以上の結果は、先にも述べた通り1000市区町村の結果から見える「全体の傾向」であり、個別の地域の結果についてはその限りではない。例えば、産品購入意欲度(食品・食品以外)については、全体としては魅力度との相関は小さいが、個別の地域に限れば強い相関が認められる地域もあるだろう。また、今回説明変数として取り上げた3つの側面(4指標)は実際には互いに影響を及ぼしあっている点も注意が必要だ※5
そして、今回紹介した地域ブランド調査は、あくまで日本全国の居住者を対象とし、各地域のイメージ形成を調査・比較することを目的とした調査である。一方で、実際に各地で策定・実施されている各種施策は、それぞれが想定している目標(地理的範囲や想定顧客層など)が設定されていることから、調査結果をみる際には、その差について留意する必要がある※6
また、地域活性化において重要なのは、例えば居住者・来訪者の増加や、ステークホルダー間の関係性の強化などのアウトカム・目的であり、イメージ形成はそれらを実現するための一つの施策である。また、本調査結果はイメージ形成を「計測・推計する一つの手段」である点、最後に注記し本稿を締めたい。

5 今回紹介した偏相関係数は、3つの側面(4指標)互いの影響を排除し算出
6 地域ブランド調査では、個別報告書・データパックにおいて各地域の年代・居住地など属性クロス集計を収録

 

(文責:安田 儀 ブランド総合研究所 コンサルタント)



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