コラム / 注目!地域ブランド | 2014年6月24日 火曜日

イカール星人の襲来中! (北海道函館市)

函館市では、ハコダテを侵略しようとする「イカール星人」という宇宙人で話題騒然となっている。 函館市は、函館の街を守ろうと立ち上がった。観光はお早めに…。


◆ハコダテ観光の起爆剤として大人気

彦根市の「ひこにゃん」などの地域キャラクターが注目される中、北海道の函館市では、ハコダテを侵略しようとする「イカール星人」という宇宙人で話題騒然となっている。

イカの姿をしたイカール星人は、イカを好んで食糧としている函館市民に復讐するため、ハコダテへの侵略を始めたのだ。函館の街に巨大ロボット「イカボー」を送り込み、函館の街並みや歴史的文化遺産を手当たり次第に破壊し始める。

イカール星人からの侵略を阻止し、函館の街を守ろうと立ち上がった函館市は、五稜郭タワーロボを出撃させて、函館の市街地での対決が始まった。そのころ、函館の上空に来たイカール星人の宇宙船から、五稜郭に向けて破壊光線が発射された。その瞬間、五稜郭は「空中要塞 ゴリョウカク」として浮上し、イカール宇宙船との全面戦争に突入する。そして、伝説の中空土偶もついに蘇った。

人類とイカール星人の全面対決がついにピークを迎えたとき、光が消え始めた函館をバックに、「観光はお早めに・・・」のメッセージが流れる(笑)。

「ハコダテ観光ガイド予告編」と称されたこの動画が動画投稿サイト「You Tube」でアップされると、なんと120万回も見られるという一大ブームを引き起こしたのだ。

◆若者に函館をPRしたい

函館市は地理的に本州に最も近い北海道の港町であるため、明治時代から海運が発達した。北海道と本州とは青函連絡船、札幌市とは鉄道・函館本線で結ばれることにより、交通の要所として繁栄を極めた。

幕末の開港とともに西洋の文化がいち早く流入したことで、異国情緒のあふれるおしゃれな街としてイメージもよく、温泉地や街を一望できる函館山、隣接する七飯町の大沼国定公園などの景勝地には多くの観光客で賑わった。

ところが、1988年に青函トンネル開通に伴って青函連絡船が廃止となると、ここ最近は観光集客数が低下している。また、若い人のイメージや観光意欲が低下していることも大きな課題の一つとなっている。

函館市ではイカソーメンやイカの塩辛・燻製など「イカの街」としてのイメージを全国的に広げようとしている(イカは市の魚)ほか、鮨などの「食」の魅力を全面的に打ち出して、観光地としての活性化に取り組み始めている。

そして、函館市が思いついたのが、若い人が活用する機会が急増している人気動画投稿サイトにPR作品を投稿し、「国際観光都市・函館」をアピールしようという計画だ。2008年5月に総予算約230万円で制作会社を公募した。

同市の制作会社シンプルウェイの阪口あき子社長は「ありきたりの観光地紹介の映像ではつまらない。『函館に来て!』とメッセージを押しつけるようなPR映像では誰にも見てもらえない。作品として純粋に面白く、クチコミしたくなる、そういう映像をめざそう」と考えた。この考えに同意した函館市がシンプルウェイに発注。市が同社やコラボレーションしたクリエイターの自主性・創造性を尊重した結果、生まれたのがこの動画だ。

「もし、この映像にクレームが来たら?」と心配する声もあったようだが、「クレームが来たら、その時はPRが成功ってことですね」とまで函館市側が言い切ったという。

150年前に黒船が来て、異国の文化を受け入れた歴史がある函館市だから、宇宙人を笑顔で受け止める懐の深さがあったにちがいない。

◆商品化続々、イベントにはひっぱりイカ

こうして実現したイカール星人による観光ガイドの映像は、前述のように多くの人の心をつかみ、予想を上回る人気となった。120万回を超える視聴のほか、マスコミでの紹介回数は2年で200回を超え、イギリスのBBC放送でも特集された。

さらに、携帯ストラップ、Tシャツ、かぶりものなどイカール星人の雑貨が商品化されたばかりではなく、イカール星人せんべい、イカール星人めしなどの食品、文具、タオルなど、街のいたることころでイカール星人のグッズが登場し、まるでイカール星人が本当に函館の街を侵略しているかのようだ。

昨年夏には函館朝市の駅二市場内に「イカール星人の函館侵略のアジト」と位置づけられているイカール星人の店が期間限定でオープン。女優・小雪の主演で函館市を舞台にした映画『わたし出すわ』の予告編にも、イカール星人や戦闘シーンが登場。函館競馬場のリニューアルの際の広告映像では堂々の主役を演じるなど、その侵略の勢いは止まらない。東京や大阪などでの観光イベントにもひっぱりイカ、もとい、ひっぱりだこだ。

こうした積極的でユニークな取り組みが、函館の魅力の元になり、地域ブランド調査では09年についに念願の「最も魅力のある市」の座に輝いた。函館市の西尾正範市長も「動画サイトで人気が出たイカール星人の影響も大きい」と認めている。もちろんイカール星人以外にも、函館では幕末ブームや、グルメブームをうまく活用した取り組みにも余念がない。

誰もやらないことをやるから、オンリーワンになれる。話題になるから、注目されて認知度があがる。地域間競争がますます激しくなる今だからこそ、地域のブランド力を高めるには、従来の慣習に縛られない思い切った取り組みが不可欠である。

今後も函館市とイカール星人の対決から目が離せない。

(文章:ブランド総合研究所 田中章雄)

参考:ハコダテ観光ガイド:イカール星人オフィシャルサイト

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2011年3月号に掲載されたものです。

 



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