コラム / 注目!地域ブランド | 2014年7月1日 火曜日

地域の企業が連携し、サムライブランド続々

三河国、尾張国、美濃国、加賀国、駿河国、そして安芸国。いまバーチャルの「国」が設立され、そこで複数の企業が同じデザインコンセプトで商品を展開している。「サムライ日本プロジェクト」と呼ばれる連携ブランドが話題を集めている。

サムライ日本プロジェクトは、デザイン企画と、企業のブランディングなどを行うデザイナー&プロデューサーの安藤竜二氏が率いるDDRが、ご当地武士キャラクターをモチーフにしてデザイン、ストーリーなどを設定し、地域ごとに企業が連携して展開するブランドプロジェクトだ。

三河国や尾張国などの仮想国(藩)ごとにサムライのキャラクターを設定し、加盟した企業が食品、インテリア関連商品、衣服などを統一のパッケージやデザインを活用して全国へ発信・販売している。

◆サムライが地域を連携させる

サムライ日本プロジェクトは、地域産品に同じ世界観のデザイン、ブランドが融合することにより、地域ブランドを形成しようという取り組み。統一したコンセプトの中で、複数の企業が商品化を行うことによって、注目度が高まり、多くのメディアに取り上げられたり、話題性の高い店舗で取り扱われたりしやすくなる。まさに異業種が連携することによって、新たな市場と可能性を高める戦略といえる。また、それらの企業が同一の地域(藩)内で行われることによって、その地域自体の活性化にもつながる。

安藤氏の出身は愛知県岡崎市。岡崎は徳川家康の生誕地であり、三河武士の故郷、そして八丁味噌などの特産品も多くある。それにもかかわらず、岡崎の知名度は全国的には決して高いとはいえない。

優れた商品力や魅力を持っているのになぜか知られていない。そんな岡崎を盛り上げたいという気持ちから、安藤氏が仕掛けたのが、「サムライ日本プロジェクト」だ。岡崎の地域産業を統一ブランドでひとくくりにして売り出すという“ブランディング戦略”である。地域全体を売り出すときに必要なのは共通する世界観。そこで、同氏は、海外から見た日本を象徴する「サムライ」に着目し、アニメやWebサイトを活用することにした。

このプロジェクトの商品第一号となったのはサイダー。実は今から30~40年くらい前には、米穀店でその地域産の飲み物を売っているところが多かった。スーパーーやコンビニエンスストアなどの普及により、だんだん取り扱う店がなくなってきた中、岡崎では、今も米穀店が地元のサイダーを販売していた。そのサイダーを製造・販売していたのが大岡屋で、販売価格は1本84円。月100本程度の細々とした出荷量だった。

安藤氏はこの「脇役」でしかないサイダーを、“サムライブランド”を採用することで、表舞台に出られる一人前の商品にすることを考えた。

◆2倍を超える新価格でも、月1万本の大ヒット

デザインはご覧のとおり。とてもサイダーとは思えない特徴的なものだ。だからこそ存在感がある。しかも販売価格はそれまでの84円から一本200円の「三河国サムロックサイダー」として販売した。84円というのは原価計算から導かれた価格、つまりサイダーという物質の価格だ。一方、200円とはサイダーが商品として提供できる価値から導かれた価格である。

大幅な値上げに最初は戸惑った。ところが実際に発売するや否や大ヒットとなり、月に1万本を販売する主力商品になってしまった。

2.5倍という価格の変更は値上げではない。まったく別の商品に生まれ変わったということを意味する。安藤氏が狙ったのは、「三河」という地域の新たなブランドコンセプトの下で、消費者からはまったく新たな商品に見えるような新商品を作り出すことだ。

このサイダーに加え、八丁味噌や和蝋燭、きしめんなど岡崎の名産品が、中身はそのままに「三河国サムロック八丁味噌」「三河国サムロック和蝋燭」「三河国サムロックきしめん」としてリニューアルしていった。統一のデザインを身にまとったこれらの商品が店頭に並ぶと異彩を放つ。多くの人やメディアの注目を集めることによって、手にとってもらえる可能性が高まる。サムライ日本プロジェクトの狙いはここにある。

商品単体で市場競争に立ち向かっていくと、大手のメーカーや他の地域、海外の商品と過酷な競争を繰り広げ、そこで勝たなくてはならない。それは地域の中小メーカーにとってはたやすいものではない。しかし、地域ぐるみでチームを結成し、一緒に市場に出れば大手メーカーにも負けないパワーを生み出す。だからこそ、いま地域ぐるみでのブランド戦略が不可欠になっているのだ。

◆サムライの掟

このサムライ日本プロジェクトに参加するには、地域を代表する商品であることが条件となる。もちろん、八丁味噌や和蝋燭などのように100年以上の伝統工芸でも、地域に根付いた産品でも、新たに考え出された新商品でもいい。ただ、必要なのは「その地域に対して熱い思いが語れるならいい」(安藤氏)という。

もちろん経営者が世界に発信するという気概を持っていることは不可欠だ。大企業では、今日明日で方針を変えることが難しい。しかし、中小企業ではその点において柔軟である。安藤氏は経営者自らと話をし、「世界へ発信したい!」という気持ちを確認しなければ契約しないという。

ただし、同一国(地域)においては、1業種1社1商品を前提としている。一つの国において、同業種は認められない。

このようにして選ばれた商品と、思いを共有化した企業だけが、同じブランドを背負う仲間となる。彼らは、2ヶ月に1回の割合でお互いの工場を見学するツアーを行っている。作りたてのものを見たり、食べたりするツアーで、これを通じてお互いの信頼関係を築いていく。「地域」とは本来そういうものであるというのが、同ブランドの目指す連携の方向性なのだ。

(文章:ブランド総合研究所 田中章雄)

参考:サムライ日本プロジェクト

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2011年4月号に掲載されたものです。

 

 



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