コラム / 注目!地域ブランド | 2014年11月3日 月曜日

矢吹町の新名物誕生、ラーメンに鳥の顔!(福島県矢吹町)

福島県矢吹町で、前代未聞のなんともユニークな新しいご当地ラーメンが誕生した。その名は「やぶきG麺」。見てインパクトのある汁なしトマトラーメンだ。
町の若者を中心に構成された「矢吹町地域ブランド検討会議」が試行錯誤を重ねて開発したラーメンは、トマトベースの味付けをした汁なし麺。その麺の上に、トマトとゆで卵、ネギ、チャーシューなどの地元産の具材が乗っている。

トマト味のラーメンも珍しいが、汁なしのラーメンも珍しい。ところが、それ以上に見る人を驚かせることがある。それはラーメン自体が矢吹町のキャラクター「やぶきじくん」にデザインされていることだ。顔はトマト、目玉はゆで卵、頭はネギ、くちばしはチャーシュー。やぶきじくんがラーメンに乗り移ったようだ。

■地元若手で検討会議

矢吹町は日本三大開拓地の一つで、五本松の松並木や三十三観音などの史跡、大池公園、あゆり温泉などの観光資源があり、トマトなどの農産物の栽培も盛んに行われている。

町の特産品としては、地元産のスグリの実を使った「グーズベリージャム」や、白ウリとキュウリを酒粕に漬けた「さわやかいいなづけ」などがある。ところが、産品の購入や町に観光客を呼び込むに至るまでのパンチが不足していた。

また、2011年3月の東日本大震災では、多くの商店や民家が倒壊する被害を受け、地元産の農産物については風評被害もあって、なかなか厳しい状況が続いている。地域をけん引する起爆剤を創出し、これを契機に矢吹町をPRしていくことが不可欠となっていた。

そんな中、町役場と商工会の呼びかけにより、地元の農家や商店などからヤル気のある若手が集まって、「矢吹町地域ブランド検討会議」を立ち上げることになった。同会議メンバー13人を中心に、矢吹町の復興に向けた新たな商品やメニューの開発と、地域イメージの構築をめざして活動を行うための組織だ。

この検討会議で、まずは地域ブランドの核となる地域資源の洗い出しを行ったが、その際に注目したのはトマトだった。福島県はトマト栽培が盛んで、平成21年の収穫量および出荷量は、いずれも全国第2位を誇る。矢吹町は作付け面積、収穫量、出荷量とも、県内第2位(平成21年)という福島県内でも有数の産地だ。また、高糖度で評判の高い「旬太郎トマト」をはじめとして、こだわりを持って栽培しているトマト農家も多い。

そこで、トマトを使った新商品、または飲食店のメニューを検討することになった。思いついたのは「ラーメン」だ。隣接する白河市の醤油ベースのご当地ラーメンである「白河ラーメン」は人気が高く、「城下町ラーメンフェスティバル」などのイベントや市街地の活性化などにも大きく貢献している。その影響もあってか、矢吹町内にもラーメンを提供する店は比較的多い。しかも、集まったメンバーの中には無類のラーメン好きが複数いた。

この2つを結びつけた「トマトラーメン」を矢吹町独自のご当地ラーメンとして開発し、「白河ラーメンに負けないような矢吹町独自のラーメンを作ろう」と意見はまとまった。町内外でのイベントで提供したり、町内の飲食店でのメニュー化したりすることによって、地域活性化と町のイメージアップをめざすのだ。

こうしたご当地メニューを開発するには、従来から提供している町内の店舗に協力してもらう方法と、外部の有名シェフを招へいして開発に協力してもらう方法、それに自ら試行錯誤で開発する方法の3つのやり方が一般的だが、彼らは3番目の自分たちで開発することを選んだ。

この方法は、専門家ではないために完成度が高くなりにくいことと、事業化に結びつきにくいという懸念がある。しかし、自分たちで開発することで地元への定着がしやすく、完成するまでの工程が今後の活性化の取り組みに確実に役立つという利点があるのだ。

■インパクトが足りない!

検討会議のメンバーは、何度も何度も試作と試食を行い、トマトラーメンの企画を練っていった。各自がラーメン店を食べ歩き、自宅で何度も試作を繰り返した。そして、6回目の委員会でついにコンセプトが固まった。それは「汁なしトマト麺」だった。

「これはいける!」

「意外とうまい」

少し甘めに仕上げたソースがトマトの酸味を消し、味にまとまりがでている。 試食の結果は大成功といいたいところだが、1つだけ大きな欠点があった。それはインパクトに欠けることだ。

汁がないと一見しただけではラーメンらしく見えないし、見栄えもあまりよくないために、「食べたい」という意欲が起きにくい。トマトは麺にからまっているために、真っ赤な色の鮮やかさも活かされない。

「どうすればいいだろうか・・・」。メンバーは頭を抱えた。 そのとき、メンバーの目に入ったのは、矢吹町のマスコットキャラクターである「やぶきじくん」だった。カラフルな顔が、汁なしトマト麺を見て笑っている。「これだ!」スタッフはあわただしく動き出した。
できあがったラーメンを目の当たりにしたスタッフ全員が、デジカメやケータイを取り出して写真に収めた。そして家族や知り合いにメールで送り始めた。その瞬間、この汁なしトマト麺のPR効果は約束された。

名前はキャラクターの名前にちなんで「やぶきG麺」で即決した。

■フォーラムで披露

2月13日に町内のホテルで開催した「農商工連携フォーラム」でこの「やぶきG麺」のお披露目と、来場者による試食会が実施された。スクリーンに映し出されたアップ写真に歓声があがり、運ばれてきた実物のラーメンをカメラに収める人が続出。試食アンケートの結果では、一日も早い商品化を期待する声や、ぜひ自分の店でも提供したいという意見が多く寄せられた。

3月10日からの2日間、大雪という悪天候の中、郡山市で行われた「こおりやま元気発信フェスティバル」では、用意した120食のラーメンが早々に完売した。

新年度には、町内外のイベントやお祭りなどでの提供を通して、広く「矢吹町のご当地グルメ」としての確立を目指すほか、地元飲食店でのメニュー化の拡大、関連商品の開発などを積極的に展開する。やぶきG麺は矢吹町の活性化につなげる「起爆剤」として大いに期待されている。

(文章:ブランド総合研究所 田中章雄)

参考: 矢吹町

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2012年5月号に掲載されたものです

 

 



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