コラム / 注目!地域ブランド | 2015年6月7日 日曜日

マレーシアのTokyoの街並みが大人気 ~東京ストリート

マレーシアの首都クアラルンプールの中心部にある高級ショッピングモールの中に、「東京ストリート」が1年前にオープン。浅草を模した店や、日本の季節に合わせたイベントは、大勢の人で賑わっている。クアラルンプールのブキッ・ビンタンと呼ばれる繁華街の中央に位置する巨大なショッピングモール「パビリオン」。地下から6階までの巨大な吹き抜けに、それを包み込むようなガレリア風のファッション街。その左右に緩やかにカーブして伸びるモール。広大な面積と豪華さを誇る高級ショッピングモールだ。

マレーシアの高所得者がショッピングを楽しむほか、海外から訪れる際の観光コースにもなっており、大型ツアーバスが月間300~400台も訪れるくらいの観光スポットでもある。

そのモールの最上階に向かうエスカレータを上っていると、光り輝く巨大な「東京ストリート」の看板が目に入る。その後ろには、大きなちょうちんと、浅草の仲見世通りを思わせるようなフロアが広がる。

そこに和風スイーツや、緑茶カフェ、日本の地域のお土産屋などの飲食関連の店や雑貨ショップなどが連なる。その横にはらーめん山頭火や、すき屋(日本の牛丼店とは異なる)、銀座カフェなどが並び、一番奥にある10月に改装したばかりのダイソー(ここでは5リンギ=約130円均一)は休日、平日も関係なく大勢の人で常に賑わっている。まるで日本のショッピングセンターと見間違わんばかりの雰囲気だ。

◆急成長マレーシアは日本びいき

経済成長著しい東南アジア諸国の中でも、一番の発展を続けているのがマレーシア。今年、1人当たりのGDPが1万ドルを超えるのは確実で、年収3万5000ドル以上の富裕層が全国民の3割を占めるようになった。街の中は大規模な商業施設の建設ラッシュで、活気が溢れている。

そんなマレーシアは、親日の国でもある。30年前に当時のマハティール政権が、日本の集団主義と勤労倫理を学べという「ルックイースト政策」を打ち出したことをきっかけに、マレーシアの大学には日本への留学生向けのコースが作られ、毎年日本の大学に多数の留学生を送り続けてきた。

日本で学んだマレーシア人が母国に戻り、マレーシアのためにそれを活かす。日本人が思う以上に、マレーシアから見ると日本は目標であり、あこがれであったのだ。それゆえに、マレーシアの人たちにとって「日本」という国は魅力的に見えている。

そんな中、熱狂的な日本ファンで、年間に何度も日本を訪れているパビリオンのオーナーであるDato Desmond Lim会長夫妻が、日本のよさをぜひ新しいモールで紹介したいと強い希望を持っていた。キャラクター、食品、雑貨、どれをとっても日本はアジアの中でも圧倒的に優れている。日本の店舗コンセプトは非常によいという独自データもあった。こうして2011年7月29日に大々的に誕生したのが「東京ストリート」だ。オープン当時は大勢の人が押し寄せ、身動きが出来ないほどの混雑ぶりだったという。

その現場を取り仕切る担当者にはマレーシアに住む日本人の愛澤百合さんが抜擢された。愛澤さんは海外で生まれ、幼稚園と大学生活の7年間は日本で生活しているが、日本での生活より海外が長いという国際派の日本人。そんな愛澤さんだからこそ、日本にある四季や伝統、商品、サービスなどの魅力を現地の人たちに伝えたいという気持ちは人一倍強い。

愛澤さんが特に力を入れているのが、日本の季節の行事に合わせて種々のイベントを企画・実施することだ。これまで行ったイベントを聞いてみると、餅つき、ひなまつり、こどもの日、夏祭り、七夕での短冊作り、十五夜のうさぎ、団子とお茶、七五三、千歳飴など、次々と日本伝統行事の名前が彼女の口から出てくる。ある意味、日本に住む同年代の女性よりも日本の感性を待ち合わせ、そのイベントへの愛情は強い。

赤道に近い常夏のマレーシアにはない四季イベントに多くの来場者は新鮮味と楽しみを求めて集まる。いや、逆に常夏の国だからこそ、日本の四季を通じて月日の流れを感じるのかもしれない。

また、在マレーシアの日本人にもこれらのイベントは大好評という。遠く離れた異国の地で、日本を感じることのできる空間は安らぎを与えてくれるのだろう。それ以外にも、日本から着付けの先生を招聘してのきものショー、おりがみの体験、英語での紙芝居、アニメの紹介、日本人アーティストの紹介など、日本文化を伝え、体験するイベントも多い。

◆東京ストリートが、日本とマレーシアの絆に

ところが、東京ストリートにも大きな悩みはある。「イメージがよく、人気がある日本なのに、本当の日本をお客様に紹介し、提供するのはとても難しい」ということだ。 その第一の理由は、販売したくてもなかなか日本商品が手にはいらないこと。特に、日本各地には魅力のある商品がたくさんあるが、マレーシアとの取引がある地域の業者はごくわずかでしかない。

第二の理由は、日本と物価格差があるうえに、輸送コストもかかるために、どうしても日本製の商品の価格が高すぎてしまうこと。高級店が連なるパビリオンの中にあるとはいえ、一般のマレーシアの消費者には手が届きにくい。

それゆえに日本の商品に似せたお手頃価格の中国や韓国製品、つまり「なんちゃって日本商品」がはびこってしまっている。「日本のかわいい文具や、浅草や各地の観光地などにあるお土産物のような小物や食品など、ホンモノの日本商品をもっと紹介したい」(愛澤さん)と思っているが、なかなか実現できない。そこで、装飾やイベントはできるだけ日本製の本物を使うようにしている。例えば「東京」と大きくかかれたちょうちんは日本で製造したものを運んでいる。

また、東京ストリートには飲食店も6店ある。一番人気はラーメンの「山頭火」で、休日ともなると、並んで待つ人が絶えないという。他の店も日本のイメージを前面に出し、なかなかの健闘ぶりを見せている。だが、愛澤さんはまだまだ満足していない。そば、寿司、カレー専門店、和風パスタ店、和風カフェなど、日本各地の食事を多くのマレーシアの人に知ってもらいたいからだ。

「イベントを通して日本のよさを知り、日本に行きたいと思う人も増えるといい」(愛澤さん)との思いが強い。実際に、いまマレーシアでは海外旅行ブームが起きている。さらに格安航空会社のエアアジアXが羽田および関空との直行便を就航したことで、日本への観光客も急増している。東京ストリートが日本各地とマレーシアを結びつける「絆」としての役割がますます高まるように、今後も積極的に展開していくつもりだ。

(文責:田中章雄 ブランド総合研究所代表取締役社長)

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2012年12月号に掲載されたものです

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