【新潟県B】長岡仏壇(ながおかぶつだん)

@概要(定義・指定要件)

長岡仏壇は、新潟県長岡市、小千谷市、十日町市で生産される仏壇であり、高度な彫刻技術や越後漆器の影響を受けたとされる塗りが高い評価を受けている。長岡仏壇のつくりは、台座と主体が分かれる組立方式が特徴であり、何年たっても塗り替えて再生することが可能である。1980年に伝統的工芸品の指定を受けた。
主な要件は、@木地の構造は「ほぞ組み」による組み立て式であること、A立体感、透け感などを意識した彫刻技術、B漆は手塗りし、木目出し塗りではつやを抑える「ろいろ仕上げ」とすること、C「漆盛蒔絵」などの蒔絵と「艶出し押し」、「艶消し押し」といった金箔押しの技術を使用すること、D漆は天然漆、木地はケヤキ、ヒメコマツ、ヒバ、ホオ、ヒノキなどを使用すること、である。


A特徴

長岡仏壇の大きな特徴は、台座と主体が分かれる組立方式をとっており、塗り替えることで長い年月が経過しても、世代を超えて受け継いでいけることがある。また、宮殿(くうでん)の屋根も独特であり、唐破風(からはふ)と千鳥破風(ちどりはふ)を組み合わせた二重屋根の両側に、唐破風の脇屋根のついた三ツ屋根作りとなっている。 素材や製造工程の面では、天然漆やケヤキをはじめとする木目の美しい素材を使用し、圧版を表裏から透かして彫り立体感を出す丸彫りなど、数々の高度な彫刻技法が伝承されている。さらに、艶を抑えた呂色(ろいろ)塗りや、純金箔を一枚ずつ貼っていく金箔押しなど、高級感のある美しい仕上げも特徴といえる。
仏壇の製作工程において多能工が多く、8〜9つの職種に分業されている産地が多い中で、長岡仏壇では、@木地、A彫刻、B金具、C塗り・箔押し、D蒔絵の5部門6工程となっており、職人ひとりで2〜3の職種をこなすことも一般に行われている。

B産地

新潟県長岡市、小千谷市、十日町市が産地である。

C歴史

長岡仏壇の歴史は、17世紀頃、長岡藩内の寺院や社殿の建設を行うために全国から集められた宮大工や仏師、彫刻師が、雪の深い冬の内職として製作を始めたことが起源であると考えられる。
その後、長岡藩では浄土真宗の保護政策がとられたため、各家庭で位牌をまつる仏壇文化が浸透していき、仏壇の需要が伸びていった。19世紀前半には仏壇作りの地域産業として定着したとみられる。
この地域で仏壇製造が盛んになった理由はいくつか考えられる。一つは、原料のケヤキが山地に自生しており入手しやすかったことがある。また、高温多湿の気候が漆の乾燥に適していたこと、長岡地方が昔から交通の要衝であり、原料や製品の輸送に適していた地域であったことも重要な要素であった。さらに、越後人の粘り強い性格で、雪深い長い冬の間、家の中でじっくりと技法の向上や研究に取り組むことができたことも大きかったと考えられる。

D産業の現状(出荷額、産業人口などを含めて)

原材料の面では、国産の漆や木材が入手できにくくなり、外国から輸入するようになっている。また、後継者不足は慢性的な課題となっており、若年者が伝統工芸士の試験を受験できるように研修会などを開催している。

E主な事業者、職人

産地組合は長岡地域仏壇協同組合である。
2004年調査データによると、加盟企業数は33企業であり、従事者130名である。

伝統工芸士には、金具部門で1名、蒔絵部門1名、漆塗箔押部門7名、漆塗部門1名、彫刻部門4名、木地部門1名の計15名が認定されている。

F新たな取り組み、産業の広がり(近年の活動内容等)

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