コラム / 注目!地域ブランド | 2014年5月10日 土曜日

最高級の肉と乳~蒜山ジャージー(岡山県真庭市)

「蒜山ジャージーの旨さを活かすのは、フレンチかそれともイタリアンか」。こんな興味のあるイベントが岡山県の蒜山高原で開催された。フレンチとイタリアンのスーパーシェフがジャージー牛乳の特徴を最大限に活かすような特別の最高級の料理を作ることで、多くの人にその素晴らしさを理解してもらおうと考えて実施されたものだ。

◆一流のシェフが地元の素材を活かす

これは、岡山県・蒜山高原にある『ひるぜんジャージーランド』(蒜山酪農農業協同組合)で今年5月18日(火)に開催されたイベントで、イタリア料理界のカリスマ・山田宏巳氏と、フランス料理界の天才・藤井正和氏による、濃厚なジャージーの乳・肉を使用したスーパーシェフ夢の競演「ひるぜん夢のディナー」のこと。

蒜山高原の豊かな自然で育った「蒜山ジャージー乳」と、濃厚で香ばしい味ながら柔らかい「蒜山ジャージー牛肉」をふんだんに使い、イタリア料理とフランス料理のスーパーシェフが腕を競って特別なディナーを提供するという、この日しか体験できないイベントとなった。

山田宏巳氏は、東京・麻布十番にある「ヒロ・ソフィー」のオーナーシェフで、日本のイタリア料理ブームの第一人者。1995年、東京・南青山に「 リストランテ・ヒロ」 をオープン。1998年にイタリアの権威あるレストランガイドブックに「イタリア料理のスーパースター」 の1人として選ばれ、2000年沖縄サミットではイタリア首相の専属料理人を務めた超人気のシェフ。

対する藤井正和氏は、食材の宝庫・福井県の「サバエ・シティーホテル」の総料理長で、ドイツ・ベルリンでの世界料理オリンピックに日本代表として出場し、銅メダルに輝いた逸材。2004年7月には当ホテル総料理長に就任し、2007年には皇太子殿下御行啓食事会、2009年の全国植樹祭では天皇陛下の料理を担当した人気急上昇の天才シェフ。

ジャージー乳の特徴は濃厚な味で、世界の5大乳用種の中で最も高い乳成分を持つことで有名。搾りたての牛乳は淡い金色をおびた美しい色をしていることから、「黄金のミルク」と呼ばれ、英国王室の御用達となっている。そのジャージー牛が国内で飼育されているのはわずかに1万頭で、日本にいる乳牛の1%にも満たない希少価値の高い牛。そのうち約2000頭が蒜山高原で飼育されている。

ちなみに、この牛乳からつくったソフトクリームは、うっすらと黄色く色づいていて、冬の雪の中でも遠路はるばる食べに来る人があとを絶たない。 一方、ジャージー牛肉は鉄分(ヘム鉄)を含んでいるため色合いが濃く、うま味は和牛肉にもひけをとらない。脂成分が少ないためヘルシーであるのと柔らかいという特徴から、特に女性に大人気。前出の山田シェフ、藤井シェフともにその旨みを絶賛した最高の肉でもある。

◆いかに魅力を活用するか

ところが、これだけ素晴らしい素材に恵まれていながら、その存在はかならずしも多くの人に知られているわけではない。蒜山高原は関西や中国地方では、リゾート地として有名ではあるが、関東や九州などでは「蒜山」の名前も知らないという人が多い。 また、ジャージー牛や牛乳の特徴も十分には知られていない。

それ以上に問題なのは、地元の人たち、そして蒜山酪農のスタッフがジャージーという素材の傑出した特徴を十分に理解していないことにある。

そこで、フレンチとイタリアンのスーパーシェフがジャージー牛肉の特徴を最大限に活かすような特別の最高級の料理を作ることで、多くの人にその素晴らしさを理解してもらおうと考えたのだ。そのため、地元周辺の住民や、ホテルや飲食店の関係者、取引先などの人たちにも広くこのディナーへの参加を呼びかけた。

こうした狙いは的中した。素材や交通費などがかさんだため、1人1万2000円という高額なディナーになってしまったが、100名を想定していた定員を大幅に超える予約が舞い込み、申込を中止するほどの人気に。

また、当日はシェフがつくるディナーに多くの人が驚きの声を挙げて絶賛した。すべてのメニューには蒜山ジャージー牛か、牛乳・乳製品が中心に使われている。食事の途中では素材についてマイクで詳しく説明し、素材の魅力を十分に知ってもらった。この日、食事と一緒に提供したのは、地元産のぶどうや山ぶどうだけを使って作られた「蒜山ワイン」。まさに、蒜山の魅力をまるごと味わってもらおうというディナーになった。

その様子は、地元のケーブルテレビや新聞記事としても流れ、参加していない多くの方にも伝わった。何よりも目の色が変わったのはレストランのスタッフだった。この日を境に新しいメニューの開発に力が入っている。例えば、敷地内のブルーベリー畑でできた採りたてのブルーベリーを料理に生かそうという試みや、予約限定ではあるがコース料理の提供なども開始された。 また商品開発の担当者は、地元の食材を使った新しい乳製品の試作にも精力的に取り組んでいる。こうして、このイベントをきっかけにジャージーの魅力を打ち出すためのスタッフの取り組みが加速し始めている。

◆グルメイベントは売上だけを目指すな

いま、全国各地ではB級グルメをテーマにしたまちおこしが数多く取り組まれているが、単に「料理」という商品を売ることを主眼としている取り組みが少なくない。もちろんそれが悪いわけではないが、地元にある食材やサービスなどの地域資源を見直し、それらを活用した新しいビジネスモデルを構築することが不可欠である。

それより重要なのは、若いスタッフをはじめとする人材の開発と、“やる気(モチベーション)”を向上させること。それが地域活性化にはもっとも重要である。単なるイベントで終わるのではなく、こうした持続的な取り組みにいかに結びつけるかと言う計画も忘れてはならない。

(文章:ブランド総合研究所 田中章雄)

外部リンク:蒜山酪農

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2010年9月号に掲載されたものです。

 

 



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