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■地域ブランド構築法

第7回:「地域」というブランド

(1)平成の大合併

平成の大合併が大詰めを迎えていますが、これによって「地域」というブランドが見直されつつあります。これは、農産物や加工品のブランド力を高めるには非常に大きなチャンスと言えます。このチャンスを逃さず、大きなビジネスに結び付ける想像力を持ちましょう。

平成の大合併は一部の市町村の人だけに関係するものではなく、全国規模の「大イベント」です。

今年3月に期限切れとなる合併特例法の駆け込みも増え、今年1月には133市町村が合併し、33の新しい市町が誕生しました。99年の4月には日本中に3229あった市町村が、今年1月末には2794にまで減少しました。

今年3月までに合併申請し、1年以内に合併した市町村も現特例法による処置が受けられるため、さらに150の地域で約600の市町村が合併をすることが見込まれています。最終的には、市町村は合併前の4割減、約2000以下になりそうです。

これだけ全国的な動きですから、平成の大合併を「地域」というものに注目が集まるきっかけととらえて、たとえ合併に関係のない地域であっても地域ブランドの力をつける、あるいは地域ブランドを利用したビジネスを展開する好機と言えます。

さて、新しい市町村が誕生する際の論のポイントの一つに、新市町の名称があります。今回、合併後の名称が決まらなかったために合併が見送られたケースや、いったんは決まった新市名が住民の反対によって覆されたというケースもありました。そこで、合併に当たっては新市町の名称を住民などから一般募集することで、住民の声を反映させるようにした市町村も少なくありません。

合併する市町村の名称をそのまま引き継いだケースは半数を超えていますが、新たな市町村名を選ぶ場合には、「その地域の特徴が表れている」などの観点に、「名前のイメージがいい」という観点も重視されます。たとえば南アルプス市(山梨県)や、あさぎり町(熊本)、千曲市(長野県)、神流町(群馬県)などは、イメージのよい地名や地域の特徴を名称にした例です。

(2)成功に導く6ヵ条

このように、名称にこだわる理由は、合併を機に地域のイメージを向上させようという狙いがあるからです。

市町村のイメージがよくなるということは、その市町村に住もうと思う人が増えて人口増加(過疎化対策)に結びついたり、企業の誘致活動がしやすくなったり、あるいはその地域の産品(農産物や加工品)などの売れ行きがよくなるなどの、地域活性化につながることと期待されるのは言うまでもありません。

しかし、名前が変わったというだけでイメージが向上するものではありません。そこに、地域ブランドイメージが向上するような「戦略」が不可欠なのです。

新しい市町村の誕生というのは、地域のブランド作りにとって千載一遇のチャンスです。それは、新しい(目指すべき)地域イメージを構築するために、内外の注目が集まっているからです。それに、合併に関与する行政と住民の「合併前よりもよい市町を作ろう」という気持ちが一致していることが、ブランド戦略を成功に導くための最大の条件とも言えます。

では、合併を機に地域ブランドを高めるためには、どのようなことをすべきなのでしょうか。その地域ブランドづくりを成功に導くための6ヵ条を挙げてみます。

新しい地域ブランド作りの成功への6ヵ条

  1. 地域が目指す新しいブランドイメージの方向性を明確にする
  2. 埋もれているブランドの宝を掘り起こす
  3. 新しいブランドを象徴するようなシンボルを作る
  4. 地名にかかわる商標などの権利の保護とルール作り
  5. 合併する地域の特徴を生かした新しい商品を開発する
  6. 新しいブランドイメージの情報発信をする

新しい地域ブランド作りに必要なのは、「新しい市町村」というものを見えるような形にするということなのです。マークやスローガンだけではなく、具体的な商品やサービスとして合併を象徴づけることなのです。新市庁舎や記念館のような建造物(ハコモノ)ではなく、実際に地域活性化につながるような「シンボル」であることがベストです。

そのシンボルは、新たに考え出すばかりとは限りません。合併の名称を議論している間に、その地域に埋もれている歴史や地形などが再びクローズアップされることが少なくありません。幸いにも音楽や商品など世間にはレトロブームが起きています。「古さ」「懐かしさ」が、逆に新鮮なイメージを与えることがあるのです。

つまり、これまで埋もれていた農産品や工芸品が「新しいブランドの象徴」となる可能性が大いにあります。「合併」というのは目的ではなく、行政上の過程のことです。これをビジネスチャンスととらえるわれわれにとっての本当の目的は「地域の良さを見直す」ということであり、「地域のよさを象徴する産品を活性化する」ということなのです。

「地域」というブランド(3)これからの合併に当たって

例えば2003年にプロ野球の阪神タイガースが優勝したとき、「阪神優勝」という商標が他人に登録されていて球団が利用できなくなっていた、ということがありました。

これはひと事ではありません。

その地域産品のブランド化を考える上で、ブランドの管理業務も重要です。名称やマークなどの商標権を押さえておくことや、ブランドの質を低下させないためのルールを決めておく必要があります。そうしなければ、せっかく知恵を絞って決めた市町村の名称が、住民のために、あるいは市町村のために利用できないケースが出てしまいます。

新しい市町村が誕生したときに、市町村が自らの名称を地方活性化や地域産品の開発、流通として利用できないということが起きないためにも、その地域にまつわる権利を明確にしておくことはとても重要なことです。

これからの合併に当たって最も重要なのは、合併を機に新しい地域ブランドをどのように構築し、その魅力を高めていくかでです。合併する地域の魅力を見つめ直し、そこに隠れている宝を発掘し、管理することなのです。合併の目的は行政サービスだけではなく、地域の活性化にもあります。地域活性化がなければ、過疎化や高齢化が進み、市町村の幸せな未来は遠ざかってしまいます。

「合併」でのお祭りムードが沈静化しないうちに、地域ブランドの構築によって地域を活性化させることがとても重要であることを忘れてはなりません。地域ブランド作りは地域の経営者や住民が中心となって行うものなのです。「合併」というチャンスに、いかにそれをビジネスに結び付けられるかを考えることが重要なのです。

それには、合併にまつわることは行政や議会の仕事と考えるのではなく、地域の経営者一人ひとりが自分の問題として積極的な役割を果たすべきではないでしょうか。

                            ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄
                            初出:「農業経営者」2005年2月号(農業技術通信社)

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