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■地域ブランド最前線

第3回 地域ブランドの付加価値戦略(プレミアム戦略)

■地域ブランドのブーム到来

 「宮崎マンゴー」「関あじ・関さば」「飛騨牛」・・・。
 いま食料品売り場には地域名を冠した商品が所狭しと並んでいる。いずれの商品も人気は高く、「これしか買わない」という指名買いをする人も少なくない。他の商品より数倍高く売られているにもかかわらず、品薄状態で、予約をしないとなかなか手に入らないものも数多くある。いままさに地域ブランドの商品のブームが起きているのだ。
 これらの商品は単に一時的なブームで人気があるのではない。いずれも究極の品質のために、長い年月をかけて徹底的に品種や飼育・栽培方法などを研究し、努力してきた結果である。目先の利益にとらわれるのではなく、他の商品にはない究極の品質を目指し、そのこだわりが市場や消費者から高い評価を得るようになった。これらのように究極のものづくりをすることがブランド戦略の一つの方法でもある。
 高い評価につながるには、ほかにはない品質や付加価値がなければならない。つまり徹底したこだわりだ。まずは品質へのこだわり。例えばどこにでもある品種ではなく、幻といわれた品種を再現したもの、あるいは他では栽培・飼育されていない品種であること。伝統野菜、古来品種などに対するニーズも最近はかなり高まってきている。また、生産や栽培、飼育の方法につても、無農薬での栽培、旧来から伝わる伝統的な栽培法、そして究極の“手作り”による製法なども重要だ。
 そして地域の歴史や自然背景へのこだわりもある。気候や地形、土壌などの理由から、その地域でしか作れないというもの。あるいは何百年、何千年受け継がれた伝統技法や風土によるこだわり。これらはその製品の差別化に効果を発揮する。
 品質には直接関係がなくても、容器やパッケージ、演出などのこだわりもある。その商品の魅力をうまく見せるためには不可欠と言える。そして情報へのこだわり。食べ方や売り方など、“作り手の思い”をうまく消費者に伝えることで、商品の魅力は飛躍的に高まる。
 こういったこだわりが多く込められていれば込められているほど、消費者はその商品に対して希少性や、神秘性などを感じ、また話題性や物語性なども生まれてくる。すると消費者の興味・関心度が高まり、「もっと知りたい」、「食べてみたい」、「買ってみたい」あるいは「誰かに伝えたい」などという気持ちが高まる。つまり、こだわりによって作られた付加価値が大きいと、消費者の認知や理解、興味を高める効果があり、そして無意識のうちに情報収集、情報伝達、購買意欲、推薦などのロイヤルティ(忠誠心)の高い行動を起こしてしまうのだ。
 実はこうした付加価値による連鎖的な行動が起きる商品が「ブランド」であり、逆に「知りたい」「買いたい」「伝えたい」と思われない商品は「ノーブランド」なのである。
 ブランドというのは、“もの”に対してお金を払っているのではない。宮崎マンゴーも、関あじ関さばも、飛騨牛も、マンゴーやアジ、サバ、牛肉としての物質的な価値はほんの一部でしかない。しかし、生産者に徹底したこだわりがあり、物質的な価値以外の“付加価値”が大きくなり、本来の“もの(物質)”をはるかに上回る価値となったのである。

■安物づくりからの脱却こそブランド戦略

 よく考え違いされるのが、「地域ブランドをつくろう」「ブランド商品をつくろう」とするときに、単なる“もの(物質)”をつくることにこだわることである。しかしそれではブランドはつくれない。なぜなら物質だけではほかの類似商品と差別化ができないからだ。
 同じような商品だったら、安いほうが売れるのは当たり前。安くするには機械化をして大規模に作ったほうがいいし、あるいは日本国内より物価や人件費が安いアジア諸国で作ったほうがいい。これは地域ブランドの求める方向とはまったく逆である。
 1980年代まで、日本経済は高度成長時代の波に乗って企業は機械化・効率化をすすめた結果、「安くて良い製品」をどんどん世に出し、それが世界市場を席巻していった。安価で優秀な労働力を基に「下請け産業」として、各地域は栄えていった。
 ところがアジア諸国の製造力や技術力の急成長が始まり、日本の数十分の一という安い労働力や広大な土地を武器に、アジア諸国が安価な商品をどんどん生産し始めた。その結果「安くて品質の良い」という日本の地位はアジア諸国に取って代わられ、日本のビジネスモデルは破綻してしまった。特に繊維、機械部品、木工品、陶磁器などの日本各地の地場産業の多くは、この波をもろにかぶってしまったのだ。
 いま日本中で取り組まれている「地域ブランド」とは、この崩壊した「下請け産業」としての構造から脱却し、他諸国や他地域には作れない高付加価値商品を作ることで地域経済の活性化を目指そうという戦略なのだ。
 しかも、昨年、ついに日本の人口が減少に転じてしまった。今後も出生数が減少し、高齢化が進むという傾向にあり、消費需要は基本的には減少に向かうのは否めない。つまり、日本の経済は「量より質」への転換をしていかなくてはならない。

■“地域”を付加価値にして、地域活性化へ

 地域ブランドとは、「地域と商品に対する消費者からの評価と期待」である。いくら売れていても、評価が低い商品は「ブランド」とは言えないし、期待されない地域にはヒト・モノ・カネも集まらないために活性化にはつながらない。「地域ブランド」と呼ばれるためには、地域そのもの(Regional Brand)と、その地域にある商品(Products Brand)の両方の評価が高くなくてはならない。
 評価が高ければ、一度買ったり食べたりした人は、次も継続して購入してくれる。つまり評価の高さは「持続性」につながり、その地域の商品のファンを作り、安定的・継続的な販売につながるのだ。
 期待が高ければ、まだ買ったり食べたりしていない人が、近い将来にその商品を購入してくれる可能性があるということ。つまり、期待の高さは「将来性」につながり、その地域や企業の発展可能性につながる。
 つまり、量から質の時代への転換期に、地域にある様々な資源を付加価値に変えて、その地域の持続性と将来性を高める。すなわち地域のこだわりで消費者を魅了する仕組みこそが「ブランドプレミアム戦略」なのだ。

                  ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄

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