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■地域ブランド・マニュアル

第5回:地域ブランドの活用

 すでに全国レベルで高い知名度と、よいイメージを持っている地域の場合、その知名度やイメージをいかに活用していくかが重要である。つまり、地域ブランドはすでに出来上がっていて、それをうまく商品化に活かし、地域活性化や利益に結び付けようという狙いだ。

5-A 地域ブランドを活用した商品化

 たとえば天然資源や、歴史的建造物、有名な温泉などがあり、多くの観光客が訪れる観光地などはこの典型と言える。観光客はいわば地域ブランドのショールームに訪れた客。しかし、多くの観光地の場合は、その客に対して十分に地域ブランドに関する情報を提供できているとは言えない。土産品コーナーにもまんじゅうやせんべい、チョコレート菓子など、どこにでもある商品にその地域の名前を冠したに過ぎないという商品が大半を占めているからだ。それぞれの味や品質が悪い土産品であった場合、それを購入した観光客は、その地域に対するイメージを大幅に低下させてしまう危険もある。
 地域の名前を商売のネタとして利用するだけではなく、地域名を冠した商品がその地域ブランドのイメージ作りに一役買っているということを、よく理解することが必要である。つまり、地域ブランドを利用するだけではなく、地域ブランドを一緒に高めるのだという前提に立たなければ、地域ブランドの力は向上しない。したがって地域ブランドを利用しただけの商品の場合は、逆に個々の商品・サービスの中長期的な成長も約束されない。
 つまり、地域名を使って商品化するには、

  @ その商品のイメージが地域のイメージとあうこと
  A その商品が、その地域のイメージを具現化したもの
  B その商品が、地域経済に貢献すること


のいずれかであるとき、その商品と地域はシナジー効果が生まれ、よい循環が生まれることになる。品質面だけによる認証制度ではなく、こうした地域の視点を加味しなければ、地域ブランドには結びつかない。
 なお、具体的な商品化の取り組み方法については、4章の「ブランド・コミュニケーション」「ブランド・ロイヤルティ」の手法とほぼ同じと考えられる。

5-B 地域ブランドを活用したマーケティング

 いくら地域ブランドのイメージが良くても、その名前をつけるだけで商品が売れるほどあまい世の中ではない。したがって、「モノがあるからそれを売る方法を考える」という考え方では、消費者を満足させることはほとんど不可能と考えるべきである。しかも、このような形での強引な商品開発は、ブランドのコンセプトからはずれてブランドを傷つける場合が多い。
 消費者がそのブランドにどのようなイメージを抱き、なにを求めているかを分析し、そのニーズに合わせた商品展開と販売戦略を行う必要がある。
 しかし、消費者が求めているからと言って、そのブランドのもとにどのような商品でも加えてよいわけではもちろんない。新しい商品の開発に当たっては、常に、それがブランドにどのような影響を与え、どの程度ブランド力を引き上げるかを検討しておく必要がある。ブランドに対する貢献度が低い、あるいはマイナスとなる場合は、その商品開発は当該ブランドに対しては中止すべきである。
 また、商品の宣伝や販売に当たっては、ブランドに適切な形で結び付き、ブランド力の向上に貢献するような方法を検討しなければならない。たとえば、高級でステータス性も持つようなブランドでありながら、短期的な売上増を狙って安売りをしたり、価格訴求型の宣伝を行ったり、日用品を売るスーパーマーケットやディスカウントストアなどに不用意に販売チャネルを拡大する努力をすることは、そのブランドを大きく傷つけることになりかねない。
 商品開発とマーケティングに当たっては、特にブランドのコンセプトとの整合性、イメージの変化の検証を綿密に行う必要がある。
 その一方で、あるコンセプトのブランドがあり、そのブランドのもとに展開している商品群がブランド力の向上に貢献しているとする。しかし、時間が経過するにしたがって、それらの商品群だけでは、そのブランドが消費者を満足させることはできなくなってくる。そこで、ブランド拡張をする必要が生じる場合が多い。

5-C 地域ブランドの検証

 地域ブランドの活用に当り、2つの視点で検証を行う必要がある。
 ひとつは、このブランドを活用して商品化をする「ブランド拡張」をタイムリーで適切に行うために、現在展開しているブランドについて、ロイヤルユーザーたちが何を必要としているかを調べること。そのため、既存のロイヤルユーザーを対象に、現在のブランドの利用状況、ライフスタイル、ニーズを調査する。この調査は定量的なものの他、グループインタビューなどで直接商品開発のヒントを得ようとすることもできる。
 ロイヤルユーザーのニーズを満たすような商品の展開、販売を行うことを「クロスセル」と言う。その商品を購入した際に、その人のニーズに合わせて「一緒に××はいかがでしょうか」と別の商品を薦める方法だ。もちろん、これが押し売りにならないように、ロイヤルユーザーの嗜好や購買パターンなどをよく研究する必要がある。

 もう一つは、地域ブランドを活用して商品開発を行った場合には、特にそのブランドによって地域イメージがどのように変化したかを検証することである。
 新規に開発した商品がそのブランドに対してどのような影響を与え、変化をもたらしたか、そして当初狙った通りにブランド力の向上に貢献できたかどうかについて測定することで、そのブランド拡張がプラスに貢献したか、あるいはマイナスに影響したかを検証すれば、その後のブランド戦略もスムーズに展開できるであろう。

                  ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄