■地域ブランド用語集
第27回「安納いも」
焼き芋にすると糖度が40度を超える甘さと、トロトロの柔らかさで人気が急上昇している「安納いも」。鹿児島県の種子島で栽培されており、サツマイモの原種といわれる。本格的なブランド化に取り組んだのが5年前。手軽に食べられるように「冷凍焼きいも」を商品化し、生イモをテレビ通販やインターネット通販で販売したことなどから人気が高まり、ここ3年間で栽培量は3倍に増えた。
ただ、栽培量が増えると品質の低いものも増える。甘くないイモや形の悪いイモが混じると苦情やイメージ低下の原因となるため、農協や市町が中心となって「安納いも等ブランド推進本部」を立ち上げ、生産者への技術指導、苗の一括管理、栽培と販売における品質基準の設定などに取り組んだ。規格外のイモを活用した商品開発からは「安納プリン」などのヒット商品も生まれた。農林水産物のブランド化の典型的な成功事例である。
(ブランド総合研究所社長 田中章雄)
※当記事は、2011年1月10日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。