■地域ブランド用語集
第31回「飛騨の家具」
岐阜県の飛騨高山では奈良時代初期から宮殿造営のため、山奥から良質な杉、ヒノキなどの木材を運ぶと同時に高度な木工技術を持った職人を毎年100人余り貢進してきた。平安京の羅城門や奈良の法隆寺夢殿、唐招提寺を作り上げた職人の血と技と心は近世の匠に受け継がれ、日本三大美祭の一つ、高山祭の「屋台」に結実。その技の伝承の集大成として発達した地場産業が家具だ。この地域に多いブナの木を大きく曲げる技術を用いた椅子は国内外で高く評価されている。
輸入品などが「飛騨の家具」という名称をつけるのを防ぐために、「飛騨の家具」を地域団体商標として登録(後に中国および台湾でも商標登録)。安価な中国産との価格競争や、産地間競争に勝つために、産地、木材、品質、保証、デザイン、エコロジーの6分野で構成される「飛騨の家具」の認証基準も策定し、品質の向上に真剣に取り組んでいる。
(ブランド総合研究所社長 田中章雄)
※当記事は、2011年2月7日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。