■地域ブランド用語集
第33回「徳島の『いろどり』」
徳島市中心部から車で1時間ほどの上勝町は人口2000人弱、高齢者比率約50%の過疎化と高齢化が進む町。主な産物だった温州みかんはオレンジの輸入自由化と1981年の局地的な異常寒波で壊滅状態になった。そんな危機的状況の中、JAの若手職員であった横石知二氏(現いろどり社長)が、料亭でもみじを大切そうに眺める女性客を見て、町にある葉っぱの商品化を思いついた。
「葉っぱを売る」ビジネスは、季節の花や葉、山菜を、町民の半数近くを占める高齢者が山で集め、農協を通じて全国の飲食店などに販売する仕組みだ。運営会社である第三セクター、いろどりの年商は2億6000万円。
インターネットを駆使して市場調査し、山間で元気に葉っぱを採取する町民の姿はテレビなどで紹介され、年収1000万円を超える高齢者もいる。上勝町では1人当たりの医療費や寝たきりも少ないという効果もある。
(ブランド総合研究所社長 田中章雄)
※当記事は、2011年2月20日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。