Brand Reseach Institute
会社概要 | 所在地 | 採用情報 | お問い合わせ
セミナー・研修事業 | 戦略立案、現地調査 | 地域ブランド調査の結果分析パック | 商品プロデュース | 地域ブランド管理、認定ルール作成
戦略立案 | 調査 | 商品プロデュース | 展示会・ECサイト | ブランドリスク対策
主な執筆・記事・番組
地域ブランドの定義 | なぜ必要なのか | 3つの戦略 | ブランドの構築 | ブランドの活用 | ブランドのマネジメント | ブランドの管理 | チェックシート | チェックシートExcel版
 ブランドとは何か? | 作る | 守る | 拡張 | 高める | 地域ブランド化 | 「地域」というブランド | プレミアムを作る | コミュニケーション | ロイヤルティ戦略 | 誰が行うのか
 ブランドとは何か? | 現状と課題 | 付加価値戦略 | 魅力の伝え方 | ルール作り | 地域外に伝える | 事例紹介 | 守り方 | 高級品の効果 | ブランドの管理
subglobal7 link | subglobal7 link | subglobal7 link | subglobal7 link | subglobal7 link | subglobal7 link | subglobal7 link
subglobal8 link | subglobal8 link | subglobal8 link | subglobal8 link | subglobal8 link | subglobal8 link | subglobal8 link

■地域ブランド最前線

第9回 高級品がもたらす効果

8千円のいちご誕生!
栃木県がねらう『食の回廊』

 JAはが野から、最高級のとちおとめが商品化されました。その名前は「はが野こだわりとちおとめ」で、大玉のいちごが1箱15粒入りで、価格はなんと8千円! 2009年1月19日から発売(初出荷)になりました。
 このいちごは、栃木県のJAはが野で生産しているいちごの中から、大玉で食味の最高品質の「とちおとめ」を選び出し、特別なパッケージに詰めて、販売するものです。ただし、天候や生育状況の関係で、生産者が納得する「最高級」の品質に達しなかった場合は無理に出荷しない。品質が高いものが多く出来たとしても、1日に5箱以内しか出荷しないというこだわりです。
 このいちごは三越百貨店、紀ノ国屋、明治屋で限定販売していて、評判はとてもよいとのことです。

■生産者の意識が変わる

 最近、このような最高級の産品が数多く店頭に並ぶようになってきました。1個1万円以上もする宮崎完熟マンゴー「太陽のたまご」や、同じく宮崎県の完熟キンカンの「たまたま」は、糖度が18以上ある3Lサイズのものは1個600円と他を寄せ付けない高価格であるにもかかわらず、手に入らないという人気商品です。その他、新潟県の最高級りんご「冠雪の実 蜜の宝」は1個2千円、香川県のかめびし醤油「古醤油十歳造」1本5千40円、、金澤烏骨鶏の卵1個500円などもあります。
 こうした商品は、実は単に高いだけではなく、たくさんのこだわりを込めて作られた商品です。「はが野こだわりとちおとめ」の場合は、産地内のいちご農家の中で最高品質のいちごを生産できる生産者を探し出して、協力してもらうことから始めました。その生産者と一緒になって最高品質のいちごをつくるために、栽培方法、肥料、管理、箱などにこだわり、ついに商品化にこぎつけたというわけです。例えば赤を基調としたパッケージ(写真)は引き出し式になっており、中には透明のビニールが入っており、1粒1粒が動かず、ぶつからないように柔らかく包むような形状に工夫されています。
 つまり、超高級な商品として評価されるには、@最高級の品質、A徹底した管理、B手に入りにくい希少性、C高級感のある演出、の4つが不可欠なのです。どれか一つでも欠けては成り立たないのです。そして前出の高級品は、これらが達成できたから、高い評価を得ることができたということです。
 言い換えると、こうした最高級の産品を作るために、@〜Cの4つを達成することができれば、次のような効果を得ることになります。

1.栽培技術の体得(品質の向上)
2.品質管理の仕組み構築(品質管理)
3.新たな販路の開拓(販売支援)
4.産地のイメージアップ(PR効果)

 つまり、8千円の最高級いちごを作るために、生産者の意識が変わり、取り組みが向上します。もちろん最高級のいちごは従来の店ではなく、高級果物などを扱う新しいルートを開拓することになります。そして最高級のいちごは話題性があため、テレビや新聞などで取り上げられ、それが産地のイメージアップにつながるというわけです。

◆商品から地域の活性化へ

 8千円のいちごは偶然に生まれたわけではありません。実は栃木県では県内の農産品や飲食店、販売店、観光資源などを活用したブランド戦略として「食の回廊」というものの構築を目指しています。これは、栃木県内に10前後の食にまつわる「街道」を設定、整備し、それらがお互いに有機的につながった「回廊」のような循環式の観光ルートにしようというものです。
 街道としては「八溝そば街道」「足利佐野めんめん街道」「たかはら山麓水街道」などがあるのですが、それらが相乗効果を生み出して栃木県のイメージアップや産品の販売、観光集客などに好影響をもたらすことを目指しているのです。
 その街道の一つとして「いい芳賀いちご夢街道」の整備に取り組んでいます。この街道の構築の中で計画的に作られたのがこの8千円のいちごというわけです。つまり、このいちごの狙いは、この最高級のいちごを「シンボル」として、いちご夢街道のアピールにつなげようということなのです。芳賀では良いいちごが栽培され、この街道に来ればおいしいいちごを食べることができる。それを伝えたかったのです。
 わずか1日に5箱しか生産できないいちごで、大もうけすることはできません。つまり8千円のいちごだけでは地域の活性化など出来ません。しかし、それが前出のようにいちご農家の意識改革につながり、販売拡大や活性化につながればいいのです。さらに栃木県が期待しているのは、イメージアップが観光や人づくりなどにもつながり、最終的には地域全体の活性化につながることなのです。
 もちろん、「いい芳賀いちご夢街道」では最高級のいちご以外にも様々な取り組みが行われ、「街道」としての賑わいや楽しさを構築していく予定です。また、他の街道でもいちご街道に負けじと本格的な取り組みが開始され始めています。
 ブランドイメージは連鎖するものです。一つが良くなれば、それに付随・関連するもののイメージも良くなります。いま、地域資源を活用したものづくりが各地で盛んに行われていますが、それらの取り組みも単体で終始してしまうのではなく、成功がどんどん連鎖するような取り組みにすることが、とても重要なのです。

                  ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄

会社概要 | 所在地 | 採用情報 | お問い合わせ | プレスリリース | サイトマップ | プライバシーポリシー
©2011 Brand Research Institute, Inc.