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■地域ブランド最前線

第10回 地域ブランドの管理

ブランドが失墜しないための礎

■管理が悪いとブランドは1日で失墜する

 これまではブランドの構築について主に話を進めてきました。しかし、ブランドは構築すると同時に管理することも重要なのです。最近、それを象徴するように、産地偽装や表示違反など、食の安全や生活を脅かすような事件が相次いでいます。その結果、素晴らしい名声や売上を得ていたブランドが、一夜にして失墜してしまったというケースもあります。
 例えば、老舗料亭が加工商品の賞味期限シールの張替えをしていたことが発覚したのをきっかけに、賞味期限の改ざん、産地偽装問題などが続々と発覚したという事件がありました。最初は納品業者や社員個人などに責任転換していましたが、経営者の指示であることが判明して全店舗で営業を休止することに。民事再生法の適用や経営陣刷新して営業再開したのですが、今度は客の食べ残し料理の使い回しをしていたことが発覚して、客足が遠のいてしまい、結局は再建をあきらめて廃業することになってしまいました。
 この事件は賞味期限の改ざん、産地偽装、情報隠ぺい、責任逃れなど複数の要因がからんだ悪質なものだったのですが、実は直接的な健康被害者、つまり料理を食べて体調を壊した人は1人もいなかったのです。また、料理の使いまわしは法律的に違反であるとは言えません。
 すなわち、この事件は被害者もなく、法律にも違反していなかったのに、ブランドがずたずたになって再建できなくなってしまったというものです。さらに、資本関係もなく、営業上での関係もなかった兄弟会社(同じブランド名を利用)が複数存在していましたが、ブランドイメージ低下により、大きな影響を受けています。
 今、食の安全・安心や消費者保護を脅かす事件が起きると、こうした企業姿勢に対しては消費者は非常に厳しい審判を下すようになってきました。だからこそ、ブランドの管理が重要になってきているのです。その管理すべき内容には以下の4つがあります。

■品質管理――顧客主体の基準づくりを

 知らない間に商品の品質や衛生面が低下していることがあります。また、品質の悪い商品が混ざってしまうこともあります。このようなことのないように、品質基準のルールを明確にし、常に徹底した品質の管理を行うことが必要です。
 また、利益率を高めたり、製造能力を高めるために、安い原材料を求めた結果、本来の指定地域以外の材料や、規格以外の品質の材料を使ったりすると、それが消費者から納得できる品質とは言えない場合があります。「地域外や規格外の材料であっても、味や品質的には問題がない」との反論もありますが、それは作り手の勝手な理論。地域の商品は、その地域の素材を使い、その地域で作られたものでなければ「本物」とは言えません。原材料や製造方法を今一度再考することが必要です。

■人材・組織管理――ブランドの約束を守る意識の向上

 品質の低下を引き起こすそもそもの原因として、経営者や従業員などの人材やモラルの低下に起因していることが多いようです。顧客や消費者をないがしろにし、自分勝手な論理で自らの利益を守ろうとすると、結果的に品質の低下に結びついてしまうのです。最近発生したブランドを脅かす事件の、半数以上は商品の品質ではなく、表示違反や、隠ぺい、産地偽装など、こうした企業姿勢、社員のモラル不足によるものなのです。
 悪しき慣習に流されてはいないか、利己主義になっていたり、利益を追求しすぎて消費者不在になっていたりしていないか。経営者や従業員のモラルやモチベーションを高めて、ブランドが低下する原因となる事件や不祥事が起きないようにすることは、ブランドを守る上では不可欠なのです。

■顧客満足管理――少数の不満に耳を傾ける

 顧客満足度(CS)管理とは、商品購入者の満足度を高めることです。消費者の満足度は口コミやネットの書き込みなどによって多くの人に伝わります。つまり満足度は他の潜在顧客に伝染するのです。
 半面、商品に対する不満は、肯定的な意見より強い影響力を持って広がります。一人の不満が伝染して他の消費者の購買意欲をも低下させてしまいます。
 かつては「顧客管理」というのは顧客の名簿管理をしっかりと行い、その名簿を活用することを意味していたこともあります。ところが、インターネットが発達し、消費者が自ら自由に情報や感想を発信できるようになったこの時代、管理すべきは名簿ではなく顧客の満足度となっているのです。

■知財管理――外部からの妨害に備える武器として

 ブランドへの評価が高まると、その人気を利用しようと思う人が現れます。つまり、類似品や模造品などの“ニセモノ”が出る可能性があるのです。そうなると、本来得られるべき市場が侵食されたり、質の悪い模倣品が横行したりすることにより、ブランドメージが低下してしまう危険があります。それを防ぐために特許や商標などの「知的財産権」を活用することが効果的です。
 ところが本物と模倣品とが見分けられないようでは防ぐことはできません。代わり映えのしない商品や、品質管理ができていない商品、何が本物であるかのルールがあいまいな商品であっては、そもそも何が本物で、何がニセモノであるかだれも区別できません。つまり、ブランドとして確立するためには、原産地、素材、加工方法などの面で、毅然としたルール(基準)を設けることが必要なのです。

■構築と管理がブランドになり利益をもたらす

 今、地域ブランドへの取り組みが全国各地で行われていますが、中には単なる地域の特産品開発に終始しているものも少なくありません。その特産品が地域の基幹産業の再生につながるものや、新たな市場を切り開くものであればいいのですが、単に地域名を冠した商品を開発し、あるいは地場商品の販売促進を目指した短絡的な計画だとすれば、それは一時的な収益をもたらすだけであり、地域の将来性にはつながらないでしょう。
 ブランドを管理するには多くの費用と労力が必要になります。そして商品を作るとき以上に組織力が重要となります。そのため、なかなか取り組みが進んでいないというのが現状です。
 しかし、こうした取り組みを行うときが出来たとき、その見返りとして、その地域や商品は消費者からの高い評価と期待を得ることができ、「ブランド」として確立することになります。そのブランドという称号は、長い年月にわたってその地域や企業に多くの利益をもたらすことになるのです。

                  ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中 章雄

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