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■ 地域ブランドマニュアル ■
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第4回:地域ブランドの構築  4-B

4-B. ブランド・コミュニケーション戦略(情報伝達)

 「コミュニケーション戦略」とは、「誰に伝えるか」という戦略。伝わった人数を単に増やすのではなく、伝えたことによる効果を高めることを考える戦略と言える。
 従来のマーケティング戦略の基本は、「より多くの人に伝える」というマス・コミュニケーション的な発想による手法が中心であった。ところがブランド・コミュニケーション戦略では、「特別に選ばれた人に、限定した情報を提供する」という手法だ。したがって、この戦略で重要なのは、「コミュニケーションする相手が誰であるか」と、その相手が「どのような情報を必要としているか」という2つである。
 ブランドを購入し、使用することで、その商品のユーザー(顧客)は多くの満足を得ることができる。言い換えれば、ユーザーはブランドを代金と引き換えに利益を得ていることになる。逆に、そのブランドによって利益を得られなければ(十分な満足を得られなければ)、彼らは代金を支払わない(購入しない)ことになる。
 したがって、その商品やブランドは、ユーザーのニーズ(要求)を満たす努力をしなくてはならない。ニーズが満たされなければ、彼らは満足するはずはないからだ。もちろん、人によってニーズは異なっている。だから、顧客一人一人にどのようなニーズがあるのかを聞き、その人のニーズに見合う商品やサービス、情報を提供することが必要である。つまり、一方的に画一化された商品やサービス、情報を提供するのではなく、その人のニーズに合わせて商品やサービス、情報を提供する「コミュニケーション」が大切となってくる。
 また、消費者心理としては、「あなただけに特別に」と言われると、その満足度も向上しやすい。自分は特別に選ばれた人であるという「特別なおもてなし」は、そのブランドへの興味を抱かせる決め手となりうる(顧客満足度を高める戦略については後記)。そこで、情報やサービスのやりとりは、多数を相手にせず、個々に行っている(ワン・トゥ・ワン)ことを感じさせるのが重要だ。
「コミュニケーション」とは一方的な情報発信のことではない。相手が何を要求しているかは、相手から情報をもらう、すなわち会話(情報交換)なしでは成り立たない。それ以前に、相手が誰であるかを知る必要がある。


  • 相手が誰であるかを知る
  • 相手が何を要求している(どんなニーズがあるか)かを知る
  • 相手に「自分だけ」と感じさせる(ワン・トゥ・ワン)

 ブランド・コミュニケーションとは、従来の販売促進や、広告宣伝とは違っている。つまり、商品の作り手の立場で情報を一方的に提案する「メーカービュー(作り手の視点)」ではなく、消費者や顧客が持つ多様なニーズに応える「カスタマービュー(消費者の視点)」でなくてはならない。前ページの3つの視点は、まさに消費者(顧客)視点での発想に切り替えることによって可能になるが、そこで提供する情報の内容にも工夫することが必要だ。
 そのブランドは他よりどこが優れていて、他にはない魅力とは何であるのかという「プレミアム」を明確に打ち出すことは重要だが、そのプレミアムが消費者(顧客)にとってどれだけ魅力的であるのか、どれだけ満足度を高めることが出来るかを訴えることは、その商品の特徴を伝え、購買意欲を高めるには効果的だ。つまり「ここが優れている」ではなく、「あなたにとって、こんなに魅力的」という視点だ。例えば、「北海道には大自然がある」という事実を伝えるのではなく、「北海道に行って、大自然を楽しもう」と呼びかける。そこからユーザーに何がしたいかの連想をさせ、それを満たすようなツアーを組んだり、それを体験できる商品を提供したりするという方法だ。
 もうひとつの効果的な方法は、そのブランドの魅力を語り部が語りかけるということ。ちょうど、子供が母親に物語を読んでもらうように。そのブランドはどのようなこだわりをもって作られたか。商品の由来、作られるときのエピソード、そしてその土地にまつわる伝説・・・。商品の特徴を淡々と説明するのではなく、思わず聞き入ってしまうような「神話」を語れば、その商品への興味度は倍増する。
 この「語り部」に魅力があれば、その効果はさらに倍増する。語り部はその商品へのこだわりをもった人や、著名人、行政のトップ、あるいは歴史上の人物でもいい。そのブランドに対して深い愛情を持って真剣に語ることで、ブランドに興味を持つ人が増えることは間違いない。

 ところで、最近は、何かに興味を持った場合、すぐにWebの検索サイトで検索する消費者が増えている。また、興味のあることについてメールマガジンを登録したり、またブログや掲示板を閲覧したり、消費者から積極的に情報発信をしたりすることも珍しいことではなくなった。インターネットの普及率が80%を超え、特に10代後半から50代の男女では、ほぼ90%の人がインターネットに接続した経験がある。
 地域ブランドも、このようなインターネットを利用したコミュニケーションを積極的に活用することによって、その効果は飛躍的に拡大できる。
 第一歩として、まず専用のホームページを開設する。これがあれば、一瞬でも興味を抱いた消費者にブランドの説明をする機会が得られる。反面、これがなければ、ブランドを提供する主体がないものとみなされ、いったん抱いた興味を減衰させることもあり得る。
 ブランドのホームページは、行政のホームページや参加企業のホームページなどの一部として開設してはいけない。なぜなら、地域ブランドは行政や民間企業が協調して作るものではあっても、それらのいずれかに従属したサブブランドではないはずだからだ。行政や企業ホームページの下位のサイトとして構築されていると、それらのサブブランドという印象を与え、ブランドイメージにも多大な影響を及ぼす(ただし、行政や参加企業のサイトなどとの相互リンクは積極的に行うのが良い)。
 ホームページは、単に情報を発信するだけでなく、消費者の声も集め、それを消費者と共有する仕組みを持たせることが望ましい。具体的にはメールフォーム、ブログ、掲示板などのツールを使うことになるが、それぞれに長所と短所があるので、ブランドのコンセプトに沿ってWeb活用の目的とコンセプトを明確にし、それに沿ってツールを選択する。
 「ホームページの構造は、その組織の構造の雛形となる」とも言われている。このため、地域ブランドのホームページ作成は、ブランドのコンセプトと組織が消費者に対して適正なものであるかどうかを検証する機会ともなる。
 なお、ホームページは、開設後に各方面からさまざまな意向が寄せられるにしたがって、少しずつ内容が変わり、知らず知らずのうちに当初のコンセプトから逸脱してしまうことがしばしばある。ブランド専任組織はこの点に十分注意を払い、ホームページの現状把握、改訂内容の管理、臨機応変の見直しなど、適切に管理しなければならない。

 第 4回:地域ブランドの構築  4-C 



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