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ブランドを育て、地域と企業をはぐくむ

地域ブランド調査2006[市版]  結果分析 第5回

地域の魅力度 産品(食品)編 

■食品購入意欲度ランキング    
順位 市名 道府県名 購入経験順位 魅力度
順位
全国平均 7.6  
1 函館市 北海道 67.1 2 3
2 札幌市 北海道 62.0 1 1
3 青森市 青森 51.3 7 42
4 旭川市 北海道 50.2 16 18
5 魚沼市 新潟 49.7 8 90
6 帯広市 北海道 49.4 29 25
7 富良野市 北海道 49.2 22 6
8 沖縄市 沖縄 48.7 3 10
9 小樽市 北海道 48.6 15 7
10 米沢市 山形 48.4 25 100
11 石狩市 北海道 48.2 18 35
12 京都市 京都 47.2 6 5
13 長崎市 長崎 45.7 11 11
14 那覇市 沖縄 44.4 10 9
15 喜多方市 福島 43.0 14 80
16 釧路市 北海道 42.2 74 29
17 福岡市 福岡 41.3 4 14
18 山形市 山形 41.0 13 129
19 根室市 北海道 38.4 25 72
20 神戸市 兵庫 38.3 9 2

 近年、全国各地において活動が活発化している地域ブランド戦略。その戦略において、多くの地域では戦略の対象として地域産品が数多く挙げられている。そこで今回は地域ブランド調査の結果から「食品の購入意欲度」についての分析を行なった。

 食品の購入意欲度とは、各市の食品(分野を限らず)を「購入したい」と思う人の比率のこと。具体的には「それぞれの市の食品について、購入したいものがあれば、商品分野別にいくつでもお選びください。」という問いに対して、米、野菜、肉・肉製品など16の項目(項目「その他食品」を含む)について複数回答で選択をしてもらった。この質問で一つでも○がついた人の割合を「食品の購入意欲度」とした。その上位ランキングが 右の表になる。

食品購入意欲が最も高いのは函館市

 食品購入意欲度が最も高かったのは函館市で67.1%だった。実に3人に2人が函館市の産品について購入したいと考えている。動詞の場合は魚・魚製品を購入したいとこたえた人が40.0%と多く、これは全779市中で1位。また、その他にも乳製品(2位)、郷土料理(3位)、和洋菓子(5位)などの購入意欲も高い(カッコ内は各分野での購入意欲の順位)。

 2位は札幌市で62.0%。乳製品での購入意欲が1位となったほか、穀物(2位)、和洋菓子(3位)、酒・地ビール(3位)など11項目において10位以内に入るという結果となった。項目数では函館市の6項目と比較して2倍近くの項目においてランクインしているのだが、函館市の魚・魚製品のような全体に与える影響が大きい項目で突出した結果がない。

 3位は青森市で51.3%となった。果物で1位(28.4%)となったほか、米、野菜が各々7位に入るなど農産品の分野で高い評価を得ている。

 4位は旭川市で50.2%。同市はめん類(4位)や郷土料理(10位)など、加工食品の分野で評価を得ているのが特徴だ。

 5位は魚沼市で49.7%。同市は米の購入意欲度が43.8%と突出しており、項目2位に18.5ポイントという大きな差をつけての1位となった。

■分野別の人気度で4グループに分類

■人気の産品分野の型分析    
類型 市名 全国順位10位以内の評価項目 魅力度順位
突出型 魚沼市 米(1) 90
米沢市 肉・肉製品(1) 100
喜多方市 めん類(1) 80
     
分野偏重型 青森市 米(7)、野菜(7)、果物(1)、飲料(7) 42
帯広市 野菜(3)、穀物(1)、豆・豆製品(5)、乳製品(3) 25
長崎市 和洋菓子(4)、郷土料理(6)、めん類(8) 11
福岡市 和洋菓子(10)、漬物・佃煮(7)、めん類(6) 14
     
オールラウンド型 函館市 肉・肉製品(10)、魚・魚製品(1)、乳製品(2)、和洋菓子(5)、酒・地ビール(6)、郷土料理(3) 3
札幌市 野菜(4)、穀物(2)、豆・豆製品(6)、肉・肉製品(6)、魚・魚製品(6)、乳製品(1)、和洋菓子(3)、飲料(6)、酒・地ビール(3)、郷土料理(8)、めん類(3) 1
富良野市 野菜(1)、穀物(3)、豆・豆製品(9)、果物(8)、乳製品(3)、和洋菓子(9)、飲料(8)、酒・地ビール(5) 6
京都市 野菜(2)、豆・豆製品(3)、和洋菓子(1)、漬物・佃煮(1)、郷土料理(4)、調味料(7) 5

 このようにランキング上位の市について、それぞれの分野における順位を見ていると、大きく4つのグループに大別できることがわかる(右表参照)。

 一つ目は「突出型」で、前出の魚沼市のほか、米沢市、喜多方市が該当する。それぞれ米、肉・肉製品、めん類の項目において1位となっているが、その他の項目については10位以内に入っていない。つまり一つの分野で突出したブランド力のある商品がある市であるといえる。食品購入意欲度はその強い分野のイメージに引っ張られて上位になっているが、市の魅力度は決して高くはない。これは一つの産品分野が市の魅力度を上げることに、限界があることを示唆している。これらの市は、他の分野の商品開発にその突出した産品のイメージを如何に活用していくかが今後の課題といえる。つまり素材としてだけではなく、それを加工商品や観光などに幅広く活用していくことによって、市のイメージも高まり、活性化につながるのではないか。

 二つ目は「分野偏重型」。つまりいくつかの分野で高い購入意欲を持っているケース。青森市、帯広市などが該当する。青森市は米、野菜、果物、帯広市は野菜、穀物、豆・豆製品と農産品分野の購入意欲度が高い。これらの市に関しては、分野同士の関係性を強める施策や、加工食品の開発を行なうことで、産業の広がりを形成することが今後の地域ブランド戦略に求められる。

 三つ目は「オールラウンド型」で、札幌市、富良野市などが該当する。札幌市は野菜、穀物などの農産品分野、肉・肉製品や乳製品の畜産分野、郷土料理や和洋菓子といった加工食品分野と複数の分野で食品購入意欲度をバランスよく構成されている市である。これらの市の多くは、観光などによって市自体が強いブランド力を持っており、それと商品の購入意欲とがうまく相乗しあっている。

 四つ目はいずれも高くはないケース。つまりどの分野においても購入意欲があまり高くないケースで、ここに属する市は少なくない。市のイメージを十分に活用できていない場合と、目立った特産品を作られていない場合の両方がある。

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