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ブランドを育て、地域と企業をはぐくむ

地域ブランド調査2006[市版]  結果分析 第6回

地域の魅力度 産品(食品以外)編 

【表1】非食品購入意欲度ランキング  
順位 市名 道府県名 購入経験順位 魅力度
順位
全国平均 4.8  
1 伊万里市 佐賀 28.9 24 77
2 京都市 京都 28.8 2 5
3 小樽市 北海道 26.6 5 7
4 沖縄市 沖縄 25.4 6 10
5 輪島市 石川 23.9 33 65
6 備前市 岡山 23.7 33 147
7 富良野市 北海道 23.4 12 6
8 神戸市 兵庫 21.8 3 2
9 金沢市 石川 21.3 16 12
10 横浜市 神奈川 21.2 1 3
11 札幌市 北海道 21.1 4 1
12 那覇市 沖縄 20.7 9 9
13 長崎市 長崎 19.8 10 11
14 唐津市 佐賀 19.7 18 134
15 萩市 山口 19.2 20 30
16 函館市 北海道 18.8 13 3
17 有田市 和歌山 18.6 62 227
18 鎌倉市 神奈川 18.5 10 8
19 帯広市 北海道 17.0 21 25
20 常滑市 愛知 16.0 31 230

 今回は地域ブランド調査2006[市版]の結果から、食品以外の地域産品の購入意欲について分析してみた(以下、食品以外の産品を「非食品」とする)。
 表1は「非食品の購入意欲度」の上位ランキング。これは、各市の非食品(分野を限らず)を「購入したい」と思う人の比率のことで、具体的には「それぞれの市の非食品について、購入したいものがあれば、商品分野別にいくつでもお選びください。」という問いに対して、花・観葉植物、人形、陶磁器など12の項目(項目「その他非食品」を含む)について複数回答で選択をしてもらった。この質問で一つでも選んだ人の割合を「非食品の購入意欲度」とした。


非食品購入意欲が最も高いのは伊万里市

 非食品購入意欲度が最も高かったのは伊万里市で28.9%だった。同市の場合は陶磁器を購入したいとこたえた人が23.8%と多く、これは全779市中で1位であった。他に漆器・塗り物が9位に入っているが購入意欲は2.3%で「伊万里焼」ブランドの強さが垣間見れる。

  2位は京都市で28.8%。人形、紙製品、布製品での購入意欲が1位となったほか、プラスチック製品(2位)、漆器・塗り物(3位)など7つの商品分野で10位以内に入るという結果となった。
 3位は小樽市で26.6%となった。ガラス製品が1位で18.3%で2位以下に10ポイント以上の差をつけている。
 4位は沖縄市で25.4%。同市は花・観葉植物(4位)やガラス製品(3位)など4項目で10位以内に入っている。
 5位は輪島市で23.9%。同市は漆器・塗り物の購入意欲度が19.2%と高く、1位の伊万里市と同様に単一産品で突出している。

【表2】人気の産品分野(食品以外)の型分析
類型 市名 全国順位10位以内の評価項目 魅力度順位
集積型 京都市 人形(1)、漆器・塗り物(3)、皮革製品(9)、紙製品(1)、布製品(1)、プラスチック製品(1)、金属製品(10) 5
沖縄市 花・観葉植物(4)、ガラス製品(1)、布製品(4)、その他(8) 10
神戸市 皮革製品(1)、布製品(2)、プラスチック製品(8)、その他(3) 2
金沢市 漆器・塗り物(2)、紙製品(3)、布製品(8) 12
横浜市 皮革製品(2)、布製品(3)、その他(3) 3
一村
一品型
伊万里市 陶磁器(1)、漆器・塗り物(9) 77
輪島市 漆器・塗り物(1) 65
備前市 陶磁器(2)、漆器・塗り物(8) 147
イメージ先行型 倉敷市 10以内該当せず 19
尾道市 10以内該当せず 23
熱海市 10以内該当せず 26

ブランド戦略を5つにタイプ分け

 食品購入意欲度が最も高かったのは函館市で67.1%だった。実に3人に2人が函館市の産品について購入したいと考えている。動詞の場合は魚・魚製品を購入したいとこたえた人が40.0%と多く、これは全779市中で1位。また、その他にも乳製品(2位)、郷土料理(3位)、和洋菓子(5位)などの購入意欲も高い(カッコ内は各分野での購入意欲の順位)。

 2位は札幌市で62.0%。乳製品での購入意欲が1位となったほか、穀物(2位)、和洋菓子(3位)、酒・地ビール(3位)など11項目において10位以内に入るという結果となった。項目数では函館市の6項目と比較して2倍近くの項目においてランクインしているのだが、函館市の魚・魚製品のような全体に与える影響が大きい項目で突出した結果がない。

 3位は青森市で51.3%となった。果物で1位(28.4%)となったほか、米、野菜が各々7位に入るなど農産品の分野で高い評価を得ている。

 4位は旭川市で50.2%。同市はめん類(4位)や郷土料理(10位)など、加工食品の分野で評価を得ているのが特徴だ。

 5位は魚沼市で49.7%。同市は米の購入意欲度が43.8%と突出しており、項目2位に18.5ポイントという大きな差をつけての1位となった。

■分野別の人気度で4グループに分類

 非食品購入意欲度(いわゆるプロダクツブランド)と魅力度(いわゆるリージョナルブランド)との関係を比較するため、それぞれを縦軸、横軸にとったグラフに779市をプロットしてみた。その結果、5つのグループ(A〜E)に大別することができる。

 Aグループは魅力度と非食品購入意欲度のいずれも評価が高い市で、京都市、神戸市、沖縄市など12市から構成されるグループ。魅力度ランキングの上位18位までの市はすべてこのグループに属している。このグループの特色は複数の産品分野で高い購入意欲をもっている、「集積型ブランド」が多い。

 強いリージョナルブランドと複数の強いプロダクツブランドが集積し、市の魅力として大きなまとまりを持っている構図であると思われる。これらの市は現在の強いブランド力を低下させないように、ブランドの管理を行うことが重要であろう Bグループは産品の購入意欲は高いが、魅力度はあまり高くないグループで伊万里市、輪島市、備前市など8市から構成されるグループ。焼き物や塗り物など強いブランドの商品を有する「一村一品型ブランド(※)」が多い。一つの分野で突出した強いプロダクツブランドに引っ張られて購入意欲度(非食品)は上位になっているが、他の分野への広がりがないことと、市の魅力度には十分に活かされていない。その突出した強いプロダクツブランドを他の分野の商品や観光などに活用し、地域の活性化や市のイメージ向上に結びつけるかが今後の課題といえる。

 Cグループは魅力度は高いが産品の購入意欲度は余り高くないグループ。倉敷市、尾道市、熱海市など6市から構成されている。観光などによる市のイメージが強いが、それが産品の購入には結びついていない(食品が強い場合もあるが)場合が多い「イメージ先行型ブランド」の市が多い。これらの市は、強い市のイメージを活かした特産品等の開発を行なうことにより地域活性化に結びつけることが望ましい。

 Dグループは前出のAグループと同じタイプではあるが、魅力度および産品購入意欲のいずれもやや強いタイプで、Aグループと同じ「集積型ブランド」の市が多い。萩市、帯広市、福岡市などから構成されている。ただ、集積型のブランドはややもするとイメージの分散につながっていることもある。特定のコンセプトに選択と集中をした戦略が消費者に対してはインパクトが強い。これは分野に限定するという意味ではなく、イメージやコンセプトを統一することであって、複数の分野を横断した統合的なブランド戦略が効果がある。

 Eグループは魅力度と産品の購入意欲のいずれも高くないグループ。この中にはBやC、およびDグループの予備軍ともいえる市が混在している。共通しているのは消費者に対して明確なブランドの構築が十分ではないこと。めざすべき方向性を定めて、本格的な地域ブランド戦略が望まれる。


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