地域団体商標
 
 

 

 

Google ホームへ

tiiki.jpを検索
ネット検索
 

このサイトは、BRI ブランド総合研究所が運営しています<会社情報> お問い合わせは専用フォームでお寄せください



■ご当地検定ブームの受検者数、合格者数を独自集計
  2007年春の最新データを発表!

 2006年から2007年にかけては各地で「ご当地検定」が続々と誕生。地域の歴史や文化の知識をテストで検定するこの新種の検定の波が全国に波及した年となった。
 ブランド総合研究所(BRI)では、昨年7月のレポート「全国でご当地検定ブーム、受検者数、合格者数を独自集計」に引き続き、各地域の主なご当地検定の受検者数や合格者数、合格率を独自集計。昨秋から今春の実施されたご当地検定の最新データを含めて、その実態を改めてリポートする。 

 西の京都、東の江戸

■主なご当地検定の受検者数・合格者数・合格率
検定名 受検者数(人) 合格者数(人) 合格率 過去開催数
札幌シティガイド検定 1865 1047 56.1% 6回
北海道フードマイスター 3087 1676 54.3% 4回
北海道マスター検定 1288 1082 84.0% 1回
とかち検定 276 263 95.3% 1回
おたる案内人検定 2級 85 84 98.8% 1回
1級 58 54 93.1% 1回
函館歴史文化観光検定(はこだて検定・初級) 907 722 79.6% 1回
ナハマゲ伝道士認定 366 363 99.2% 4回
秋田ふるさと検定(3級) 807 742 91.9% 1回
盛岡もの識り検定 223 186 83.4% 1回
港まち気仙沼おもてなし検定 149 149 100.0% 1回
米沢観光文化検定 343 272 79.3% 1回
足利ふるさと検定(3級) 289 270 93.4% 1回
東京シティガイド検定 2680 1821 67.9% 4回
江戸文化歴史検定 3級 6456 5626 87.1% 1回
2級 3389 1504 44.4% 1回
まるごと浜松検定 3級 3007 2047 68.1% 1回
2級 398 126 31.7% 1回
1級 398 32 8.0% 1回
いただきます検定 61 54 88.5% 1回
富士山検定 3級 5528 4858 87.9% 1回
2級 627 480 76.6% 1回
信州観光文化検定 2〜4級 426 291 68.3% 4回
1級 27 0 0.0% 1回
松本検定(初級) 718 527 73.4% 1回
新潟市観光・文化検定(ニイガタ検定・3級) 2707 2117 78.2% 1回
越中富山ふるさとチャレンジ(一般) 3256 3001 92.2% 1回
金沢検定 初級 4712 463 9.8% 2回
中級 1007 76 7.5% 2回
上級 15 2 13.3% 1回
ふるさと小松検定 初級 2482 632 25.5% 2回
中級 121 93 76.9% 1回
検定お伊勢さん 中級 855 759 88.8% 1回
上級 640 332 51.9% 1回
伊賀学検定 初級 579 527 91.0% 2回
中級 164 153 93.3% 2回
岐阜市まちなか博士 初級 382 303 79.3% 2回
上級 94 53 56.4% 1回
彦根城下町検定 160 94 58.8% 2回
奈良まほろばソムリエ検定(2級) 3544 1397 39.4% 1回
いばらき何でも知っとこ検定 20 17 85.0% 1回
京都検定 3級 18627 7709 41.4% 3回
2級 12662 3763 29.7% 3回
1級 1473 127 8.6% 2回
大江山鬼検定 学士 40 4 10.0% 1回
博士 40 1 2.5% 1回
大和郡山・金魚検定 74 10 13.5% 1回
明石・タコ検定 1110 641 57.7% 2回
いたみ学検定 135 71 52.6% 1回
姫路観光文化検定 3級 1201 520 43.3% 2回
2級 223 176 78.9% 1回
有馬学検定 269 205 76.2% 1回
但馬検定 253 203 80.2% 1回
六甲・まや学検定(2級・3級) 235 231 98.3% 1回
かこがわ検定 177 153 86.4% 1回
岡山文化観光検定 3級 1468 1144 77.9% 2回
2級 608 198 32.6% 1回
境港妖怪検定 421 401 95.2% 1回
「ひろしま通」認定 1458 1245 85.4% 1回
宮島検定 298 154 51.7% 1回
大社文化観光試験(一般) 90 76 84.4% 1回
萩ものしり博士検定 修士 339 308 90.9% 2回
博士 130 23 17.7% 1回
宇和島「通」歴史・文化検定 128 25 19.5% 2回
四国観光検定 1209 362 29.9% 1回
九州観光マスター検定 3級 2649 2035 76.8% 4回
2級 966 478 49.5% 3回
唐津・呼子イカ検定 329 311 94.5% 1回
長崎歴史文化観光検定 3級 1749 1523 87.1% 2回
2級 1030 738 71.7% 2回
熊本・観光文化検定 2523 2345 92.9% 1回
かごしま検定 標準 3103 2613 84.2% 2回
上位 873 416 47.7% 1回
※受験者数、合格者数は累計(4月16日現在)
※九州マスター観光検定の直近回は人数未発表のためデータに含めず
 ご当地検定の一人勝ちの様相を呈し、まさに他の自治体の羨望の的となっているのが、「京都検定」。昨年レポートした時点からさらにその規模は増し、過去3回の開催で、受検者数は3万2000人を超えるなどダントツの人気を誇る。京都検定では、セミナーや講演会のほか、合格者を集めた研修や交流会を随時実施。2006年度には1級合格者が京都産業大学日本文化研究所の特別客員研究員に選抜される制度を設けるなど、事前事後に手厚いサポートを展開している。そうした地道なフォローも人気の秘訣といえる。京都検定は新たな地域おこし運動のモデルとして評価され、「関西財界セミナー賞2007」の特別賞も受賞した。

  東京でも大型検定が産声を上げた。東京にはご当地検定のはしりとして、2003年にスタートした東京シティガイド検定(累計受検者数2680人)があるが、初回でその老舗検定を凌駕するつわものが現れた。江戸東京博物館が中心となって実施する「江戸文化歴史検定」である。その名の通り江戸の歴史や文化を問うもので、2006年11月にスタート。いきなり1万人近い受検者を集めた。京都との共通項は歴史や伝統。京都、江戸といったブランドの強さに加え、こうしたキーワードに対する関心の高さが改めて浮き彫りとなった。

個性的な検定も続々

 一方で、個性的な検定も目立ち始めた。まずは、一つのアイテムにフォーカスした知識を問う“マニアック型”。マスコミでも度々報道され、ご当地検定界の風雲児となっている兵庫県明石市の「明石タコ検定」に加え、秋田県男鹿市の「ナマハゲ伝道士認定」、京都府福知山市の「大江山鬼検定」、奈良県大和郡山市の「大和郡山・金魚検定」、鳥取県境港市の「境港妖怪検定」、そして、タコの向こうを張る佐賀県唐津市の「唐津・呼子イカ検定」などラインナップが一気に増えた。このいわば“地域の顔”をウリにする動きは今後も広がりそうだ。

 また、地域一体となった手作りによる“市民参加型”も見られる。静岡県富士宮市では、食育をテーマにした「いただきます検定」を06年11月に開催。制作や運営のすべてをボランティアでまかなう。問題も一般公募。県外も含め287問の応募があり、その中から選りすぐりの50問が出題された。さらに、合格者54人のうち上位19人を「ごちそうさま検定」に招待。ヤギの乳搾り体験、素材当てテストを交えた自然食ランチなど、趣向を凝らした企画を展開した。従来の商工団体や行政中心の検定とは一味違う内容である。

 石川県小松市の「ふるさと小松検定」は、石川県立小松商業高校の3年生がテキストと検定問題を作成する。「主目的は生徒がふるさとへの理解を深めること。そして地元の人たちが小松の魅力を再認識すること。素人が作る問題なので間違いもあり、市民の方々から訂正の指摘も入る。でもそれがかえって勉強になり有難い。そんな地域の住民みんなで作っている検定」と、同校総務部の職員は話す。検定が地域住民の交流に一役買っている様子が伝わってくる。

 新聞連動型や子供向けも登場

 地域の新聞との連携も一部で出始めている。静岡の富士商工会議所と山梨の富士吉田商工会議所などが主催する「富士山検定」。地元の静岡新聞と山梨日日新聞に掲載された問題の答えを解答用紙に記入し郵送。合格すれば3級の合格証を送られてくるとともに、2級の受検資格が与えられる。静岡県浜松市の「まるごと浜松検定」も静岡新聞に掲載された問題の解答を所定の用紙に書いて郵送する紙面検定だ。合格すれば3級が与えられ、1、2級の受検資格を得られる。“新聞連動型”は手軽さもあり、多くの受検者を集められるのがメリット。富士山検定の紙面検定は約5500人、まるごと浜松検定では約3000人と、抜群の集客力を示した。新聞の媒体力により認知度を同時に高められることも優位点といえよう。

 子供向けの検定を用意する動きもある。富山県富山市の「越中富山ふるさとチャレンジ」では、一般部門のほかにジュニア部門を設け、検定を実施。38人が受検し、32人が合格した。島根県出雲市の「大社文化観光試験」もジュニア部門を設定し、147人が受検、72人の合格者を輩出した。京都検定のジュニア版「ジュニア日本文化検定」もスタート。06年11月に実施された「基礎コース」の検定には、無料ということもあり、小学生高学年を中心に2万1834人もの受検者を集めた。有料の「発展コース」も07年2月に実施され、好評を博している。

  課題は難易度の設定

  ハードルをどこまで高くするか、つまりどこまで難しくするか。これはテストの万国共通の課題であり、検定も同様である。前回のレポートでも紹介したように難関は、京都検定や金沢検定。京都検定では3級の合格率が累計で41.4%、2級が29.7%、1級は8.6%。金沢検定に至っては、初級が9.8%、中級7.5%、上級13.3%と、極めて狭き門になっている。しかし、直近の合格率を見ると、京都検定は、3級、2級の第3回試験がそれぞれ53.3%(2回目までは36.3%)、50.8%(同19.9%)、1級の第2回試験が13.6%(1回目が4.5%)。金沢検定は、初級と中級の第2回試験が各々13.9%(1回目が5.6%)、18.8%(同2.2%)。どちらも合格率は大幅に上昇している。受検者の意識の向上、周到な準備、努力のたま物が結果につながっているといえる。

  一方、合格率が急落するケースもある。滋賀県彦根市の「彦根城下町検定」は第1回が95.3%と高かったのが、第2回は17.3%と急降下。難関検定の仲間入りを果たした。「1回目は出題50問で70点以上が合格だったが、2回目は100問、80点以上とレベルを上げた。さらに、問題の内容も彦根城博物館の学芸員が作成。商店街関係者が考えた前回とは格段に難しくなった。それが、合格率低下の原因」と、彦根商店街連盟のスタッフは説明する。「明石タコ検定」も1回目の83.4%から2回目は34.3%に下落し、難易化が進む。双方ともに検定自体の格を上げようとする姿勢がうかがえる。

■今後のご当地検定の実施予定
検定名 実施予定年月
かながわ検定 2007年3月
松江 観光文化検定 2007年8月
香住!カニ検定 2007年10月
北京都丹後ふるさと検定 2007年10月
倉敷白壁観光検定 2007年度
鎌倉検定 2007年度
大阪検定 2007年度
黒豆検定 2008年度
びわこ検定 2007年度以降
※「かながわ検定」は実施済だが合格者数等が
  未発表なため本表に含めた

  一方、北海道小樽市の「おたる案内人検定」、秋田県秋田市の「秋田ふるさと検定」、宮城県気仙沼市の「港まち気仙沼おもてなし検定」、栃木県足利市の「足利ふるさと検定」、長野県佐久市の「信州観光文化検定」、「越中富山ふるさとチャレンジ」、三重県伊賀市の「伊賀学検定」、山口県萩市の「萩ものしり博士検定」、熊本県熊本市の「熊本・観光文化検定」など、合格率が90%を超える検定もある。難易度の設定はご当地ごとに様々だ。

  前回のレポートでも指摘したが、合格のハードルを高くしすぎると、検定の希少価値は上がるが、認定者が増えなかったり、受検者の不満を買うなど普及の妨げになりかねない。逆に、ハードルが低いと合格者は増えるが、検定自体のブランド価値の低下を招く恐れがある。合格レベル設定は、検定の目的や意義にも関わる問題であり、ご当地検定の今後の課題といえよう。

  ご当地検定は、今後も実施予定が目白押し。07年3月下旬には満を持して、ビッグネームの横浜の検定が「かながわ検定 横浜ライセンス」としてスタートした。直前に2回の模擬試験を実施し、問題の難易度を調整するなど事前の準備の力を注いだ。約2700人の申し込みがあったようで、受験者数や合格者数は4月下旬に発表される予定だ。

  地域のファンの醸成、観光関連人材の養成、地域ブランド構築の手法として、ご当地検定は今後もより一層注目を集めそうだ。

関連記事:
全国でご当地検定ブーム、受検者数、合格者数を独自集計 (2006年7月18日)

2007年4月25日


Copyright (C) 2006-2011 Brand Research Institute, Inc.