■県のブランド力の類型 県のブランドについて、県別魅力度ランキング上位10市について、その特徴と傾向について検討する。大きく以下の3つの型にわけることができる。
【表2】上位10県の類型
1市突出型 |
京都府、岐阜県(飛騨高山のイメージとしてまとめる) |
複数突出型 |
兵庫県、長野県、静岡県、石川県 |
複数連携型 |
北海道、神奈川県、沖縄県 |
<1市突出型>
県のブランドについて、企業を例に説明をすることができる。複数のブランドラインを持つ企業をみると、何か一つ、強く突出したブランドを有している企業が少なくない。このケースでは、「ブランド=企業ブランド」という評価がされている(企業ブランドを強いブランドに変更したケースもある)。具体的には、SEIKO、味の素、ヤフー、朝日新聞、ヤマハなどがあてはまる。この場合は、強いブランドを活用しつつ、サブ商品をいかに拡張していくかが重要になる。
これを県にあてはめると、京都府が突出型の典型といえる。ただし、この強いブランドライン(市区町村)にその他のブランド(他市区町村)を、どう波及させるかが問題となる。つまり、これらの『1市突出型』の県においては、強いしく兆トンとの連携を考えることが、県としての今後の活力につながる。
<複数突出型>
一方で、複数の強いブランドラインをもっている企業もある。具体的にあげると、松下電器(National、Panasonic)や7−i(セブンーイレブン、イトーヨーカ堂)などは、この複数のブランドがそれぞれコンセプトを明確にし、棲み分けをおこなっている。この場合、それらが何の連携もなしに存在しているのではなく、複数のブランドラインが互いに連携していることで、結果的に企業全体にとって好影響をもたらしている。
県の場合も、兵庫県、長野県などは、2〜3市区町村の強い市区町村が他の市区町村より突出して魅力度が高い。これらの複数の市区町村が、互いにどのような連携を進めるのかが、県のブランド力を高めるカギになる(もちろんすでに連携を強めている県もある)。
<複数連携型>
そして最後に、複数の強いブランドが混在しているケース。企業では、トヨタ、ソニーなどがまさにあてはまる。つまり、企業ブランドと商品ブランドが互いに連携しているという構図である。県の場合にあてはまるのは、北海道がダントツであり、その他として、神奈川県、沖縄県などがあげられる。北海道は、札幌、函館、富良野などのそれぞれ個性の違った市があり、互いに良いイメージを出し合いながら、全体としての北海道の魅力となっている。
■都道府県・各市区町村のブランドの取り組み
いま日本中で「地域ブランド」への取り組みが盛んになっているこれは、地域資源を十分に活用して、地域のイメージを高め地域活性化につながる商品開発やサービスの開発を行うというもの。また、一方で、地域ブランドへの取り組みとその進度は、県や各都道府県によってそれぞれ偏りがある。今回実施した地域ブランド調査2007の結果において、それぞれの地域の現状と、取り組みへの評価が明らかとなる。以降、本分析レポートによって、テーマごとに日本全国各市区町村のブランド力の傾向、および特徴的な市区町村の事例を紹介しながら、分析をおこなっていく。 |