冒頭には4月に串本で行われた「地域ブランド・プレミアムフォーラムin串本」での講演およびパネルディスカッションの内容についての報告が田中より行われた(詳細はこちらを参照)。
その後、まず「地域団体商標の管理と活用について」というテーマで、東京理科大学専門職大学院教授の生越由美氏とブランド総合研究所社長の田中章雄とが対談を実施。生越氏から近畿地域および全国から申請された地域団体商標の現状分析等が行われたが、その中で「地域団体商標はあくまで権利を守るための手段であり、その前にいかに地域ブランドとしての評価を高めるかを考えるべき」との指摘があった。
続いて京都の増田徳兵衛商店の増田泉彦氏と徳島県上勝町のいろどり代表取締役副社長の横石知二氏を交えての鼎談(3人によるディスカッション)では、増田氏が40年前に日本で始めてにごり酒「月の桂」を発売した時の話を交えながら、「初めてのことをやるときは様々な抵抗があるが、それを乗り越えないとオンリーワンは作れない」「研究し尽くして参入する二番手に追い抜かれないためにも、毎年改善し続けることが必要」と語った。また、サロンのような「にごり酒の会」を通じて、にごり酒をつくる仲間とにごり酒そのものの普及やコミュニケーションを行っていることも紹介した。
横石氏は高齢者を活用した町ぐるみでの葉っぱのビジネスを始めるにあたっての取り組み方を、「地域に住んでいる人は地域の良さはわからない」「今までのやり方ではダメ。違った道に進むことが重要」などと熱く語った。また、上勝町では光ファイバーやパソコンなどの導入する理由を「情報でやる気を育てるのが最大の目的」と説明した。
その後、3人によるディスカッションでは、地域ブランドの魅力の作り方として重要なのは「商品を売るのではなく、地域の魅力を商品やサービスにつなげること」(増田氏)や、「葉っぱはどこにでもある。いろどりでは高齢者をやる気にさせて、注文のあった葉っぱを短時間で届けるというシステムが魅力の源泉になっている」(横石氏)など、その地域の特性や資源をうまく活用し、地域ぐるみで魅力を高めていくことが重要であると結論付けた。
生越氏が再登壇した質疑応答では、「京のみぶなが他県で栽培されている」ことを例に挙げて、地域団体商標や種苗法の及ぶ地域の範囲についての質問などがあった。最後に「地域ブランドとは、その地域独自の『地域らしさ』を付加価値として、商品、観光、居住につなげ、地域活性化を実現することである」(田中)と締めくくり、盛況のうちに終了した。