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BRIレポート

■ニュース解説
三輪そうめん偽造事件は、地域ブランド管理への警告

模倣された三輪山本舗のそうめん
 中国産のそうめんを国内産の「三輪そうめん」に偽装して販売したとして、大阪市淀川区の食品関係会社「ライスグローサリータカハシ」社長高橋浩幸(47)と、大阪府貝塚市の元食品関係会社社長直本治郎(61)、貝塚市の卸売業加藤弘行容疑者(46)の3人が、不正競争防止法違反容疑で10月10日に逮捕された。3人はインターネット等で中国産のそうめんを「三輪山本舗そうめん」として売りさばいており、総販売量は約27万箱(1箱20束)に及ぶという。

 株式会社三輪山本舗は岡山県に実在している企業で、高橋容疑者らは、同社のラベルを流用し、中国産の表示を隠して「三輪山本舗そうめん」として販売していた。今回の容疑は中国産の表示を隠し、三輪そうめんと混同させるような販売を行っていたこと。不正競争防止法の第13号に原産地等誤認惹起行為(商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量や、役務の質・内容・用途・数量について誤認させるような表示を使用すること)が適用されたと考えられる。

 容疑者は逮捕前のテレビ取材の中で、「『三輪そうめん』とは偽って売ってない。売ったのは『三輪山本舗そうめん』であり、手延べであるとか、奈良県産だとかは書いてない。安くて美味しかったらいい」と反論しているが、三輪山本舗の商品を模倣していることと、原産地の表示をはずしたことが違法とみなされたであろう。

 さて、「三輪山本舗」のそうめんは10月12日時点で楽天市場の中で、定価1kg 2000円を1kg500前後にまで値引きをして販売しているショップが数店ある。取り扱い店の中には、これらの商品は実在している岡山県の三輪山本舗の商品であるとの説明している店舗もあるが、真偽は不明。ただし、同社名の商品として「讃岐うどん」「信州そば」なども販売されており、産地名を誤認させるような紛らわしい商品が多いことも事実のようだ。

 岡山県の三輪山本舗が同容疑者を訴えることを検討しているとの報道もあるが、そもそも奈良県の三輪そうめんと誤認されやすい名称に問題がある。事実、インターネットの販売サイトで取り扱いを中止するケースが続出し、掲示板やブログ(日記)では同製品を批判する書き込みが続出している。単に「真似された」と被害者であることを主張しても、消費者が納得するとは思えない。

 地域ブランドに対する消費者ニーズの高まりを受けて、市場には商品に原産地などの地域名が表示された商品が急増している。ところがその中には、原産地を偽り、あるいは産地を誤認させるような紛らわしい表示を行っている商品が少なくない。今回の事件は氷山の一角である。

 地域産品の中には製造者の社名や住所を、販売者の社名や住所で隠して販売するというケースが多く見受けられる。特に土産品にその傾向が強いようだ。目先の売り上げに固執した結果、消費者を裏切るような販売行為を行うようであれば、その商品や店舗、そしてその地域自体のイメージを低下させ、消費者からの信頼を失うことになりかねない。これでは地域ブランドは地に落ちてしまい、地域の活性化は遠のいてしまうだろう。

2007年10月15日

 


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