■中小企業庁、地域資源活用の事業展開支援で連絡会を設置 |
中小企業庁は、関係6省(総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)の局長級をメンバーに設置した「中小企業の地域資源を活用した事業展開の支援に関する関係省連絡会議」の連携方策に関する中間とりまとめを公表した。
同会議は10月17日の閣僚懇談会で、甘利経済産業大臣が、中小企業の地域資源を活用した事業展開支援について関係大臣に協力を求めるとともに、中小企業を横断的に担当する大臣として、関係府省と連携・協力し、対策をとりまとめる旨を発言したことを受けて、10月26日に「中小企業の地域資源を活用した事業展開の支援に関する関係省連絡会議として設置されたもの。
11月20日の第2回関係省連絡会議では、中間とりまとめが行われた。主な内容は以下の通り。
(1)マーケティング人材等のネットワーク化
マーケティングや観光分野等における専門家、伝統的な技術・技能の保持
者等をリストアップして、各省関係機関が相互に使えるようにネットワーク
化する。また、地域の支援人材のネットワーク構築のため、優れた人材を集めたワークショップ(「地域中小企業サポーターズサミット(仮称)」)を開催する。
(2)地方ブロック、地域レベルでの連携(資源指定、事業支援に際して)
@ 地方ブロック(地方経済産業局、地方農政局、地方運輸局、地方整備局、地方厚生局)レベルで、既存の連絡会議などの場を活用して情報・意見交換を行い、支援対象(地域資源)の発掘及び各省連携による効果的な支援を実施する。
A 各自治体が地域資源の発掘やこれを活用した地域経済活性化に積極的
に取り組むことを、以下の措置を通じて後押しする。
地方独自のプロジェクトを自ら考え、前向きに取り組む自治体を地方交付税等により支援する「頑張る地方応援プログラム」(総務省)との連携を検討。
B 自治体の地域資源の掘り起こしや振興策の強化への働きかけを各省が連携して行う。
C 農協、漁協、商工会等商工団体、観光物産協会、伝統的な技術・技能の保持団体等の地域レベルでの連携を促進する。実務者レベルの会合の実施や地域における業種を超えた連絡会の立ち上げを促進する。
(3)研究開発等に係る産学官連携の促進
地域の大学や公設試験研究機関、自治体、地域の企業など産学官の連携による地域資源を活用した研究開発を促進する。また、地域資源の活用等にあたっては、地域の大学等が知の拠点として地域に貢献していくことが重要であり、地域クラスターの形成や、地域と連携した大学等の自主的な取組に対する支援措置や環境整備を盛り込んだ「地域の知の拠点再生プログラム」(平成18年2月15日地域再生本部決定)を推進する。
(4)海外を含めた販売機会の拡大
日本貿易振興機構は、地域資源を活用した商品の海外販路開拓に向け、助言、見本市開催等の協力を行う。
(5)支援対象の拡大
@ 農業者が組織する団体を法律上の支援対象とする。具体的には、農業法人等が行う加工食品の開発・販売の取組について、中小企業支援のノウハウを活用しつつ、特にマーケティングや経営面のアドバイス等を実施する。
A 地域の旅館生活衛生同業組合等についても、法律上の支援対象とすることを検討する。
B (独)中小企業基盤整備機構によるファンド出資を活用し、例えば、中小企業地域資源活用観光振興ファンド(仮称)、中小企業食料産業クラスター振興ファンド(仮称)の創設を進める。
2.食品産業分野
(1)食料産業クラスター展開事業の加速化(農工連携の促進)
食料産業クラスター展開事業と本プログラムによる中小企業支援を組み合わせた支援による、地域発の食品の事業化を加速する。
具体的には、食料産業クラスター活動に参画する中小企業(農事組合法人等を含め)に対して(独)中小企業基盤整備機構がアドバイザーを派遣し、経営面等のアドバイスを実施する。また、中小企業が、クラスター活動の中から生まれたアイデアを事業計画に具体化するためのアドバイス行うとともに、その事業計画の実施段階においても、アドバイザー派遣、低利融資等で継続して支援する。
このため、地方農政局と地方経済産業局、中小企業基盤整備機構の連携を図る。
(2)地域資源を活用したバイオマスの利活用推進との連携
バイオ燃料を含むバイオマスの利活用の推進、資源作物の研究開発との連携を図る。
(3)農林水産物の輸出促進施策との連携
海外マーケットへの販売促進、輸出阻害要因の調査・分析・交渉等、「国産農林水産物・食品輸出促進本部」と連携する。
(4)(財)食品流通構造改善促進機構による支援措置
地域資源を活用した食品等の加工、流通等を促進するため、(財)食品流通構造改善促進機構は、これらに必要な施設の整備等に必要な資金に係る債務保証を行う。
(5)「立ち上がる農山漁村」との連携
「立ち上がる農山漁村」のシンポジウムの共同開催等を通じて、施策内容や事例を積極的に広報する。
3.観光分野
(1)観光まちづくりの推進
国際競争力のある観光地の魅力の一層の向上に努める。具体的には、観光ルネサンス事業等による国際競争力のある観光まちづくりの取組や地域ぐるみ魅力向上プロジェクト支援事業(仮称)による観光・集客サービスの競争力を強化する取組と連携し、当該観光地内の中小企業の地域資源を活用した新商品・メニュー等の開発の支援を行う。
また、(独)中小企業基盤整備機構による無利子・低利融資を活用し、地域の賑わい創出に資する商業施設や物産販売施設等の整備事業を行う取組を資金面から支援することを通じて観光地の魅力の一層の向上を図る。
(2)ビジットジャパンキャンペーンとの連携
ビジットジャパンキャンペーンとの連携による海外への観光魅力の発信を推進する。具体的には、ビジットジャパンキャンペーン地方連携事業による旅行会社やメディア関係者の観光地への招請事業と連携し、観光地の魅力のPRと合わせて、観光魅力の重要な要素である地域ならではの物産等のPRを展開する。
(3)ニューツーリズム促進による新たなマーケットの創出
ニューツーリズム創出・流通促進事業とサービス産業創出支援事業や小規模事業者新事業展開支援事業等による中小企業のニューツーリズム分野におけるプログラム開発等への支援と連携し、ニューツーリズム旅行商品の創出を支援するとともに、流通市場に載せることで、地域の旅行会社等によるニューツーリズム旅行商品の創出や全国への一層の流通促進を支援する。
(4)観光産業の競争力強化
モデル事業の実施等を通じた泊食分離の促進等旅行者ニーズの多様化を踏まえた観光産業の活性化促進の取組の成果を踏まえ、(独)中小企業基盤整備機構が民間パートナーとともに組成するファンドの活用等による施設の整備等活性化に取り組む宿泊事業者を資金面から支援する。
(5)(独)国際観光振興機構との連携
(独)国際観光振興機構は、地域の観光資源を活用した事業展開に取り組む中小企業、商工会などから、事業内容に係る情報提供を受け、必要に応じ、これらに対する助言、外客誘致に向けた宣伝等の協力を行う。
4.医薬品等分野
(1)創意工夫を活かした医薬品分野等の事業活動の促進
医薬品等産業の振興の観点から、中小企業の創意ある成長が重要であり、医薬品等に関する創意工夫を活かした事業活動の促進を図る。このため、地域資源を活用した医薬品等の開発・販売に係る相談窓口を厚生労働省に設置するとともに、医薬品等の規制に詳しい者を(独)中小企業基盤整備機構のアドバイザー等として活用し、事業活動の促進を図る。
(2)地域資源を活用した健康増進サービス等に係る事業活動の促進
世代を問わない国民の健康づくりの推進や高齢者等福祉の充実の観点から、温泉を利用した温泉利用プログラム型健康増進施設等の普及を推進しており、地域資源を活用した事業として、温泉等を活用した健康増進関連事業等が期待されることから、日本健康開発財団等を通じ、地域の中小企業、商工会等に対する助言を行い、事業創出を図ることで、健康増進サービス等に係る事業活動を促進する。
(3)高齢者福祉分野等における事業活動の促進
高齢者を対象とした健康づくり事業や高齢者のニーズに対応した福祉用具の製造等、高齢者福祉分野等における事業活動の促進の観点から、連携し
て地域資源を活用した事業の創出を促進する。
5.建設分野
地域資源を活用した建設業の新分野進出を促進する。具体的には、ワンストップサービスセンター(建設業経営革新促進支援事業)との連携を図り、建設業経営支援アドバイザーの登録等によって、(独)中小企業基盤整備機構事業の相互補完を行う。
6.文化財分野
文化財保存に係る技術者、後継者の育成に努める。染物、織物や漆などの伝統的な技術や材料の他分野応用による需要開拓を進める。
このため、文化庁は、地域資源を活用した取組の促進に向け、以下の協力を行う。
・文化財を活用した事業に取り組む中小企業、商工会等の求めに応じて、助言、情報提供等。(例えば、歴史的建造物を活用した事業化に際して、その保存・修復・活用等に係る知見に基づく助言。)
・地域資源として活用可能な文化財や文化財保存技術を中小企業等に紹介するためのフォーラム等の開催。
関連情報:
「中小企業の地域資源を活用した事業展開の支援に関する関係省連絡会議」の設置について http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/chiiki/061129chiiki_renrakukaigi.htm
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