東アジアを中心に日本を訪れる外国人観光客が年々増加している。今年3月中旬に実施した東アジア・オーストラリアの6都市の消費者3,000人にアンケートで、訪日経験者の96.4%がリピート希望ということが日経産業地域研究所の調べでわかった。また、リピーターの特徴として、2度目以降の希望訪問地は東京が25%強なのに対し、北海道は50%強を占めている。
外国人観光客といえば、着物を着たり、渋谷で買い物をしたりする印象が強かった。しかし、今回のアンケートによると「雪の積もっている露天風呂の温泉に行ってみたい」、「白神山地で自然景観を楽しみたい」といった日本人向けパックにあるような回答が多く得られている。「初歩的な」コースよりも「カスタマイズされた」コースの方が、近年需要が高くなっている。インターネットで生の現地情報が手に入るため、観光客は“穴場”を見つけて行動するようである。「トーキョー」、「キョート」、「スシ」、「テンプラ」といったティピカルな日本ではなく、日本人が「外国人には理解されにくい」と考えてきた日本の古きよき時代が理解されるようになってきたのかもしれない。
しかしながら、いくら日本の伝統が残っているとはいえ「外国人に易しくない」場所にはまだまだ人が集まらないようである。今年1月下旬に国土交通省から発表された「外国人で賑わうまち 36地域」は、まちぐるみで外国人観光客への受け入れ準備を整えている地域が多く選ばれている。観光による地域活性化を目指す場合、インバウンドは欠かせない方法の一つとなっている。ただし、単に外国人に地域資源の豊富さをアピールしても、「もてなす」ことができなければ、リピートにつながらず、逆に評価を下げてしまう場合もある。それが注意しなければならない点の一つでもある。
訪日経験者が増えるにつれ、「おもてなし」も常に先を読んで考えていかなければならない。地域の宣伝をする際に、実際に外国人を中心にパンフレットを作成して呼び込みに成功している地域もある。今後、ますます外国人の客観的な声にアンテナを高くする必要がでてきた。観光客の好尚を積極的につかみに行っている地域は、どれくらいあるだろうか――。
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訪日経験者 |
訪日未経験者 |
1位 |
北海道 |
東京 |
2位 |
東京 |
北海道 |
3位 |
沖縄 |
富士山 |
4位 |
京都 |
東京ディズニー・リゾート |
5位 |
富士山 |
大阪 |
※「日本で行きたい観光地上位5ヶ所」(訪日意向のある2,585人が対象) 日経産業地域研究所調べ
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