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■日本唯一の影絵劇場、影絵昔話館しらさぎ座で2月から本格公演へ

 岐阜県下呂市・下呂温泉に伝わる伝説・昔話を影絵劇に仕立て、失われつつある地域の文化を伝承保存し、これを観光資源として活用し、地域の活性化を図ることを目的として、2月から本格的な影絵劇公演が行われることになった。

 下呂市直営の観光施設「下呂温泉合掌村」では、下呂温泉に「温泉」だけでない「魅力」を発信しようと、全国どこにもないオンリーワン資源の発掘を探っていた。
 下呂温泉合掌村では、平成7年度まで1人で百体の人形を操る人形歌舞伎「竹原文楽」を上演しており、それを目当てに多くの観光客が合掌村を訪れていた。しかし、「竹原文楽」は、全てを1人で支えていた洞奥一郎氏の病とともに途絶え、平成9年度以降は、しらさぎ座は大衆演劇の劇団が公演する芝居小屋として観光客の誘致を図ることとなった。ただ、当時から旅行スタイルは周遊型が一般的な観光志向であったため、上演時間が2時間あるこの大衆演劇は期待するほどの誘客効果はなく、下呂温泉合掌村を訪れる観光客は年々減少する傾向が続くこととなった。

 「竹原文楽」に続く地域の伝統文化はないだろうかと模索が続き、下呂市に伝わる伝説や昔話を観光資源として利用できないかと考えたのが、影絵劇公演である。
 しかし、影絵劇公演は影絵劇を見たことがない多くの人にとっては、昔の白と黒のシルエットの影絵程度の認識しかなく、制作を依頼した劇団かかし座も地域の伝説・昔話を影絵劇に仕立てあげ、それを直接、上演することは始めての試みであった。
 そういった状況下であったが、下呂温泉合掌村と劇団かかし座とで総力をあげて取り組み、平成20年7月20日に初演を迎えることとなった。

 ここで上演する影絵劇には、すべてその舞台となる場所(地域)があり、影絵劇を観劇した観光客をその場所(地域)に誘導することにより、観光資源(素材)を観光名所とするきっかけ作りもこの企画の目的である。
 影絵劇制作の過程で、演目の背景の調査中に、その物語が浄瑠璃で残っていることが分かったものの節回しは伝承されてなく、また、誰も知るものが無かったため、これに節回しをつけ影絵劇の中に取り入れるなど、失われつつある文化を伝承保存する大きなきっかけともなった。また、影絵劇制作には、その伝説・昔話が伝わる土地に住む市民や、その伝説・昔話にちなんだ場所の保存会などにも参画していただき、観光資源を磨く役割も担っていただいている。

 初演作品は、下呂温泉の発見の「しらさぎ伝説」、お美津稲荷にまつわる「お美津ギツネ」を制作、上演した。公演開始の初年度は、生の影絵劇を初めて見る人がほとんどで、クオリティの高さと、劇団かかし座の劇団員の生き生きとした影絵劇に観光客や地元市民は引き込まれていった。21年度は「力持ち小太郎」を制作し、観劇者の口コミや新聞、雑誌等の取材やPRで徐々に観劇者が増えつつある。また、WEBサイト上では公演開始から1年半で7千件を超えるヒット数となっている。

 1年半をかけてようやく認知されはじめてきた影絵劇公演を、22年度は、本格的に市内の観光協会や観光関連業界なども巻き込んだ取り組みとして展開し、観光地下呂としての「魅力づくり」と「地域の活性化」、「地域文化の伝承保存」を目的として作品を制作し、積極的な事業展開を図る。
 なお、22年2月公演に向けて、新作「孝子ヶ池」を制作中であり、新しいジャンルの文化伝承の影絵劇公演である。

 22年公演
  前期公演 2月19日から6月13日まで
    演目 「しらさぎ伝説」「孝子ヶ池」 
  後期公演 7月17日から11月30日まで
    演目 「しらさぎ伝説」「お美津ギツネ」
  上演時間 午前10時30分〜 午後2時〜
        (1日2回公演 所要時間40分)
  観劇料 300円
  休演日 水曜日。ただし祝祭日等は上演。
下呂温泉合掌村入場料 大人800円 小中学生400円  

関連情報:   下呂温泉合掌村

2009年12月28日







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