■例年より高値 地域団体商標認定のすさみケンケン鰹 |
和歌山県すさみ町の特産である「すさみケンケン鰹(かつお)」が不漁ながらも、漁終盤の5月で値段が例年の1.5倍以上で推移している。漁獲量がピークになる4月に入っても水揚げ量は約73トンで、昨年の102トンから大幅減。5月も5日に2.5トンを記録したが、1日平均は約700キロと少なくなっている。それに対し、値段は、5月末でも最も安い「マル小」(1.39キロまで)が、1キロ当たり約700円、「中カ」(2.4〜4キロ)が、3000円近くと、高値で取引されている。「中カ」では5月3日に今季最高の4510円で競り落とされるものもあった。
通常、かつおは釣れ始める3月が最も高値で、漁獲量が増加する4月に値が落ち始め、5月はさらに下がるが、今季は異例の事態になっている。高値の要因について、すさみ町商工会は、「水揚げ量が少ないこともあるが、昨年10月に地域団体商標に認定され、マスメディアにも取り上げられ、知名度がアップしたことも大きい」と話す。認定によるブランド力向上の効果が早くも表れているようである。
すさみケンケン鰹は、引き縄漁の一種である、ケンケン釣りで釣ったかつおのこと。ケンケン釣りとは船を走らせて疑似餌を海面で跳ねさせることでかつおを誘い、釣り上げる原始的な漁法である。釣り上げてすぐに血抜きをするので、鮮度が保たれ臭みが少ないのが特徴。また、陸揚げのときにもウレタンの上に載せるなど丁寧に扱うため、キズが少なく見た目がキレイなのも優位点である。こうしたこだわりは、古くから続けられ、関西では知る人ぞ知るブランドだったが、地域団体商標の認定により、そのすそ野がより広がった。
今季は、すさみケンケン鰹の取扱店である京阪神の大丸百貨店8店舗を中心に、タイアップキャンペーンを期間限定で展開。その日に獲れたかつおを当日の夕方には店頭に並べて販売するという新しい試みを実施し、好評を博した。こうした取り組みも知名度アップに一役買っている模様だ。
和歌山県すさみ町がケンケン釣りのかつおをPRするために、商工会や漁協、観光協会とともにブランド化委員会を立ち上げたが平成14年。15年、16年と商標出願したが、2度とも却下された。しかし、地域団体商標制度が発足し、ようやく念願の登録達成となった。
だが、一方で不漁は悩みの種だ。商工会では、「ここ数年は、かつお資源が枯渇したのではないかと心配するほど。ブランド化委員会では、ブランド化の推進だけでなく、巻き網漁などかつおの群を一網打尽にする漁法の規制なども含め、環境保護の観点からの取組みに力を入れていきたい」としている。
関連情報:
すさみケンケンかつおブランド化委員会 http://www6.ocn.ne.jp/~susami/
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