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■彦根の人気キャラクター「ひこにゃん」をめぐり、著作者と市が対立

国宝・彦根城築城400年祭実行委員会のホームページで紹介されている「ひこにゃん」
 滋賀県彦根市で11月25日まで開催されている「国宝・彦根城築城400年祭」のマスコットキャラクター「ひこにゃん」について、キャラクター管理の不備等を理由に、ひこにゃんをデザインした男性イラストレーター「もへろん」さん(22)が、同祭実行委員会と市に対し閉幕後の商標使用中止などを求める調停を彦根簡易裁判所に申し立てたことがわかった。

 ひこにゃんというのは、実行委が「国宝・彦根城築城400年祭(以下400年祭)」の開催に際して、マスコットキャラクターを公募、もへろんさんが応募した、ネコをモチーフにして採用されたイラスト3点(座る、跳ねる、刀を持つ)からなるキャラクターのこと。愛称「ひこにゃん」は、イラストとは別に、全国より寄せられた1167点の中から選ばれた。2007年3月には、彦根市が「ひこにゃん」の商標登録をしている。

 これまで彦根市は400年祭のPRのため、使用申請があれば、「閉幕(25日)まで」の条件付きで「ひこにゃん」キャラクターを各種商品へ無償使用を認めてきた。これまでの申請件数は1000件を超え、ぬいぐるみなどの立体商品や、「ひこにゃん音頭」のような音楽CDなど幅広い範囲に及んでいる。400年祭の11月25日での閉幕が近付くにつれて、在庫を抱える製造元や販売業者、さらにはひこにゃんを惜しむファンなどからの要望により、実行委は2008年1月15日までひこにゃんの使用延長を認める決定をした。

 また、来年度に開催する「日米修好通商条約締結150周年」記念事業の運営を、400年祭実行委がそのまま引き継ぐことになり、ひこにゃんをこの事業のキャラクターにすることが決定している。

 このような状況の中、ひこにゃんをデザインしたもへろんさんが実行委と市に対し、ひこにゃんの使用が400年祭PRの範囲を超えていることや、「『お肉が大好き』『特技はひこにゃんじゃんけん』など、(デザインした同氏が)意図しない性格付けを勝手にし、キャラクター管理を怠った」などと主張、ひこにゃんの商標使用中止を求めた民事調停を彦根簡裁に申し立てた。これに対し実行委と市は募集要項にあるように「キャラクターの一切の著作権は実行委員会に帰属する」と反論、弁護士に相談のうえ対応を決めるとしている。

 著作者の権利には、財産的な利益を保護する著作財産権と、人格的な利益を保護する著作者人格権の2つがあり、著作財産権は、財産的な意味での著作権なので、その一部又は全部を譲渡したり相続したりすることが可能であるが、その一方で著作者人格権は「著作者だけが持っている権利で、譲渡したり、相続したりすることはできない(一身専属権)」(著作権制度の啓蒙・普及をはかる財団法人の著作権情報センター)。つまり、ひこにゃんの著作財産権は実行委と市に属し、著作者人格権は著作者であるもへろんさんに属していることになる。著作者人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つが含まれ、今回の争点は最後の同一性保持権にあるようだ。同一性保持権とは「自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して勝手に改変されない権利」(著作権情報センター)である。400年祭PRのためにデザインされたひこにゃんに、著作者であるもへろんさんの意図しない性格付けがなされ、さらに市の使用許可が下りれば、ひこにゃんに関してあらゆる商品が作られてしまう現状は、粗悪品が出回りかねない状況を作り出しているといえよう。もへろんさんはこの状況をキャラクター管理の不備や放置などとして批判し、同一性保持権を侵害していると主張している。

 11月19日には、第一回民事調停が行われたが、実行委と市側は、キャラクターに関する一切の著作権は実行委が有し、申立人の要求には法的な根拠がないと反論、調停の不調を求めた。次回調停は11月26日に開かれる予定だ。

関連情報:
国宝・彦根城築城400年祭実行委員会 http://www.hikone-400th.jp/

2007年11月24日




 

 


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