■奈良で「宿泊観光を促す地域の魅力づくり」事業補助金の公募 |
奈良県では、「宿泊観光を促す地域の魅力づくり」事業補助金の募集を開始した。募集期間は、平成20年5月1日〜平成20年5月30日の一ヶ月間。昨年度は、5つの事業を採択した。平成20年度の採択事業決定は、6月下旬を予定している。
この事業は、県内を訪れる観光客の滞在時間を延ばし、リピーターを育てる地域の魅力づくりを推進するため「泊まる奈良」推進事業の一環として行われている。公募方式により県内のNPO(ボランティア団体及び市民活動団体等の民間非営利活動団体)や観光関連業者等で構成される団体からモデル事業の企画案を募り、優れた事業企画を提案したNPO等の事業を支援することを目的としている。事業規模に制限はないが、補助の上限は100万円となっている。
奈良県は、2年後に平城遷都1300年記念事業を控えており、このイベントの観光景気が一過性のものとならないように、「泊まる奈良」推進事業などで雇用の拡大と地域経済の活性化を目指している。しかしながら奈良県における外国人の観光客の特徴は、”通過型観光”が大半を占めるという点。こうした傾向は近年加速しており、県内の宿泊率が極めて低い(東アジア地域からの観光客約4%、欧米約6%)。課題として挙げられるのは、観光地として紹介されるのが限られた場所(国宝、世界遺産など)のみであることに加え、宿泊施設数も全国46位(客室数は全国最下位)。観光客に対する多様なニーズに応えることが難しいという現状が浮き彫りとなっている。こうしたハード面(観光地や宿泊施設など)に加えて、ソフト面(地域をあげてのおもてなし)の対策を行うことが求められている。
観光は、観るだけのものでもなく、食べるだけのものでもない。その地域の空気や空間を肌で感じることも観光である。どれか一つに偏ってしまえば、近隣のバランスの取れた地域に宿泊を取られかねない。通過するだけの観光としてイメージが固まってしまうと、旅行会社のパッケージも”通過型観光”として定着してしまう。こうした状況の脱却は容易ではないが、観光客のニーズを再度分析し、対策を講じることが急がれる。また今回の補助が、単に宿泊施設を充実させるだけでなく、宿泊を促す地域の総合力をつけることが期待される。
<参考>平成19年度 「宿泊観光を促す地域の魅力づくり」事業補助金採択事業 |
事業名 |
応募団体名・代表者名 |
「世界遺産の道」を活かした参加・体験・交流型ツアーの開発事業 |
NPO法人森と人のネットワーク・奈良
理事長 横川 佳樹 |
今井町における町家をいかした子ども昔体験と宿泊体験事業 |
NPO法人今井まちなみ再生ネットワーク
理事長 上田 琢也 |
奈良県東部・中部地域における工房街道づくり事業 |
NPO法人地域創造政策研究センター
代表幹事 濱浦 義勲 |
山添村の地域資源を活かした観光による内発的むらづくり事業 |
山添村観光ボランティアの会
会長 中谷 善之輔 |
セミナーハウス利用者に対する研究支援サービス提供の基盤整備事業 |
「奈良の街がセミナーハウス」研究会
代表 木原 勝彬 |
関連情報:
奈良県ホームページ http://www.pref.nara.jp/
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