長崎県長崎市沖に浮かぶ無人島の端島(通称・軍艦島)への上陸が4月22日、35年ぶりに解禁された。明治から昭和にかけて炭鉱採掘の島として栄え、狭い島内に高層アパートが林立する姿から軍艦島と呼ばれ、最盛期には5000人以上が暮らし「人口密度が日本一」ともいわれた。エネルギー需要が石油に移り変わ、石炭需要が急減し、1974年1月に閉山、同年4月20日には住人が島から退去して無人島になっていた。長崎市は廃虚となった高層アパート群や炭鉱施設を観光資源として活用するため条例を改正、2007年度から約1億円かけて整備を行ってきた。
解禁初日には、元島民や観光客ら約80人が高層アパート群や炭鉱跡を見学した。これまでは上陸が禁止されていたため、遊覧船で島の周囲から眺めることしかできなかったが、それでも利用者は年間1万4000人にのぼり、上陸が可能になったことで今年の観光客数は2万人にのぼると見られている。2008年には「九州・山口の近代化産業遺産群」の一つとして、ユネスコの世界文化遺産登録に向けての国内暫定リストに乗った。昨今は各地の廃墟をめぐる“廃虚ブーム”も起きており、景気低迷の続く九州における新しい観光資源として期待されている。
関連情報: 軍艦島を世界遺産にする会公式HP
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