3月25日に能登半島を大地震が襲った。最大震度6強の大きな揺れが石川県、富山県に被害をもたらし、現在懸命な復旧作業を続いている。気象庁は、「平成19年(2007年)能登半島地震」と命名し、政府は激甚災害の指定も検討。激甚災害に指定されると、道路復旧や被災者用公営施設建設などへの国の補助率が引き上げられる。そのほか、全国からボランティアが現地入りしたり、義援金が集まるなど災害復旧の輪が広がっている。
しかし、一方で直接的な被害への復旧以外に、地元を悩ませている問題がある。いわゆる風評被害である。連日新聞やテレビには映像や記事を通じて地震の大きな爪あとが報告される。さらに口コミやインターネットで噂が駆け巡る。視聴者や読者は現地は壊滅的だと信じ込み、旅行のキャンセルなどに走る。10年前のロシアタンカー座礁事故で重油が漂着した福井県、また2004年に中越地震に見舞われた新潟県などの例を紐解くまでもなく、災害発生時に必ずといっていいほど起きる2次被害が、能登半島に暗い影を落としている。
実際に、輪島市内の宿泊施設では約8割の客室が稼動しているにも関わらず、4月からゴールデンウィークにかけてのキャンセルが3000人超になったという。和倉温泉でも8割以上の旅館が営業を続けているが、同じくGWにかけて5000人超のキャンセルが出ているという情報もある。宿泊以外でも、飲食店、観光施設などは通常通り営業を続けているところが多く、観光の受け入れ態勢は整っているといえる。
地震などの自然災害では、被害状況のセンセーショナルな報道はされるが、復興状況の詳細に触れるケースは少なく、こうした偏重した情報の波及が風評被害のひとつの原因になっている。だが、こういうときにこそ、消費者自身にも冷静な行動が求められる。今はインターネットなどで現地の生の情報が簡単に入手できる。例えば、現地の復興の様子、宿泊施設、飲食店などの営業状況は、
http://www.groovy-net.co.jp/
http://blog.goo.ne.jp/hiro-hama/
http://ishikawanpo-inet.jp/003notogisin.html
などに詳しい。和倉温泉でも公式ホームページで宿泊施設の営業状況を逐一更新し伝えている。交通機関やイベント開催情報は、輪島市観光協会に詳しく掲載されている。マスコミ報道に流されることなく、自分なりに情報を洗い、冷静沈着に状況を判断すれば、“壊滅的”は杞憂であることがわかる。
ボランティアや義援金は復旧に直接的な支えになるが、本格的な復興には何より地元経済が通常通りに戻ることが鍵となる。それには一人でも多くの旅行者がキャンセルせずに予定通りに現地に足を運び、宿泊施設や飲食店、観光施設を利用する。あるいは、輪島の地酒を購入する(参照:http://www.wakocha.com/modules/xfsection/article.php?articleid=151)。輪島塗、海産物、お菓子などの地元産品を進んで購入するなど、間接的な支えが必要である。
消費者がそれぞれの生活シーンの中で、ちょっと能登半島のことを気にしながら、物品を購入したり、休みの計画を立てる。一人ひとりの小さな心遣いが積み重なれば、それがやがて大きなうねりとなり、災害復旧・復興のパワーになることを、心の片隅に刻んでおきたいところである。
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