食のバリアフリーの実践

各地の実践例

●北海道

北海道は外国人にとても人気のある地域で、外国人観光客も非常に多くなっています。
そこで今回はNTT東日本ー北海道と北洋銀行が中心となり、主として札幌市においてICTを活用して食のバリアフリー情報を多言語化で提供するシステムを使った取組を行いました(詳細は次ページ参照)。
具体的には大通り公園で12月に開催されたミュンヘンクリスマス市に出店した3店舗のほか、市内の飲食店3店舖の合計6店で導入しました。また、これら6店舖の情報を掲載した日本語と英語の小冊子も発行し、消費者に情報発信しました。

●山形県

「おいしい山形」をスローガンにしている山形県では、やまがた食産業クラスター協議会が中心となり、県内の食品メーカー等に対して食のバリアフリーの研修会を実施。食のバリアフリーの基本シートに、食物アレルギー特定原材料・推奨20品目を加えた30品目のシートを作成。12/1に開催した「やまがた土産菓子コンテスト」に出品した全45品がこのシートを活用して表示を行いました。

●栃木県宇都宮市

ご当地グルメとして宇都宮餃子が大人気の同市では、宇都宮餃子会が運営している「来らっせ」で食事メニューに食のバリアフリー表示を取り入れ、来訪する外国人や、同市およびその周辺に居住している外国人にも食べてもらえるようにしました。また、宇都宮市のアンテナショップ「宮カフェ」においては、メニューに食のバリアフリーの表示をし、ここから市内の多くの事業者や消費者に対して発信していくように努めています。

●長野県大町市

大町温泉郷は、立山黒部アルペンルートの長野県側の入り口に位置しています。また、冬季には鹿島槍や白馬などの人気スキー場を利用する観光客も多く訪れます。特に最近は、アルペンルートが台湾や東南アジアの方からの人気が高まってきて、多くの外国人も多く訪れるようになっています。温泉郷の旅館・ホテル等が中心となり、外国人へのおもてなしの一環として、主に宿泊者への食のバリアフリー対策をすすめています。

●福井県福井市

恐竜で人気が高まっている福井市内のシティホテルが共同で食のバリアフリーに取り組み、市内に訪問する外国人観光客やビジネス客などへの対策につなげています。今後、北陸新幹線の敦賀までの延伸を控え、福井県では外国人を含む観光客が増加することが期待されており、その対策としてまずは朝食バイキングでのメニュー表示をしました。

●長崎県ハウステンボス

国内有数の観光施設の一つであるハウステンボスには、国内のみならず海外からも多数の観光客が訪れています。また、当施設には修学旅行生も多く利用しているため、食物アレルギー対策も重要となっています。そのハウステンボス内にあるホテルの日本料理店や他のレストランにおいて、朝食および昼食のメニューに食のバリアフリーの表示を取り入れ、多くの方に安心して滞在を楽しんでもらおうという取り組みを行っています。

●沖縄県糸満市

外国人観光客に人気の沖縄県の中で、南部地域に位置する糸満市には教育民泊を中心とした民泊に取り組む事業者が多数あります。教育民泊の現場において食物アレルギー対策は避けて通れないものとなってきています。 そこで今回は、糸満観光まちづくり協議会が中心となり、民泊事業者や、自然食品や低アレルギー食品を扱う事業者などとともに「みんなが一緒に同じ料理を食べる」ことを目標とし、アレルギー成分が低いお弁当、スイーツなどを開発しました。

実践におけるICTの活用

● ICTを活用したバリアフリー情報の多言語提供

札幌市では、QRコードを利用した食のバリアフリーの表示を行いました。これはメニューの料理・商品ごとに表示したQRコードをスマートフォン(スマホ)などで読み取ると、その人が希望する言語で食のバリアフリー情報を表示するというものです。
また、食のバリアフリーシートだけではなく、料理の特徴や、詳細な原材料なども表示できるようになっています。
これは北洋銀行およびNTT東日本ー北海道の協力を得て、ICTを活用したバリアフリー情報を多言語化で提供するシステムを使用したもので、ミュンヘンクリスマス市出店の3店舗および飲食店3店舖にて実施しました。
店舗側は専用の機械を用意しなくてよいため、店頭やメニュー表などへの導入も比較的容易に出来ます。
また、随時内容を変更できるというメリットもあります。
一方、利用者としては、QRコードをスキャンできるスマートフォンを持っていれば誰にでも表示を見ることができます。
今回の事業では北海道における実証実験として行いましたが、外国人観光客も含め、店舗に来訪する事前情報として国内外に発信することにより、来訪につなげるという効果が期待できます。
そこで、食のバリアフリーシートと合わせて、今後はこの仕組みを他地域も含め、広く普及させていくことを目指していきます。