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田中の地域ブランドニュース解析


■JAPANブランド支援事業を効果的に活用するには

 地域ブランドへの取り組みを後押しする中小企業庁の支援策「JAPANブランド支援事業」の申し込みが始まりました(参照記事)。 この事業は日本商工会議所と全国商工会連合会を通して募集が行われています(応募締め切りは4月17日) 。

 今回の事業内容は、昨年度までと比べていくつかの点が変更になりました。大きな変更点は以下の3点です。

1.支援期間が最大3年に延長(従来は単年)
2.毎年2000万円が上限で、1/3は地元負担に
3.戦略策定支援の「第0年目」(500万円、定額補助)を新設

 これらの変更が加えられたのは、以下のような狙いがあるためと考えられます。

1.従来のように単年での支援だと、どうしても国内外の展示会への出展や、デザイン委託などにおいても安易な(目先の)活動に終始してしまい、多角的、継続的な活動につながらない案件が少なくありませんでした。そこで、事業を複数年度に 適用期間を広げることで、地域ブランドの構築の継続的・計画的な取り組みとして活用し、効果を高めることが期待されています。

2.事業費の一部を利益者(地元)負担とすることで、地域が主体的に取り組むことを促し、事業内容の質が高まることが期待されています。

3.JAPANブランドに取り組む地域や事業者の中には、ブランドコンセプトを十分に検討し、確立しているところばかりではありません。特に国内市場を主力とする商品 の場合は、すべてが海外市場で評価されるとは限りません。ブランド戦略に対する理解度を高め、ブランドコンセプトの再構築、市場調査などを実施した後で、商品開発や販路開拓などを行うのであれば、事業の効果は高まります。 第0年目である戦略策定支援は、地域の事業者の共通認識を醸成し、地域が一丸となってブランド育成を進める意識作りを目的としています。

 つまり、JAPANブランドの支援事業プロジェクトに応募するにあたり、それが本当に地域ブランド醸成に効果がもたらすようにするためには、以下の点について考慮すべきではないでしょうか。

(A)目的を明確にする
 そもそもJAPANブランド事業を何の目的で行うのか。その目的があいまいでは、決していい結果は得られません。また「地域ブランド」を狭い定義、つまり単なる話題商品の制作や、一時的な販売促進活動と勘違いしていたのでは、長期的 に高い効果を得ることは期待できません。JAPANブランド事業に取り組む前に、関係者の「地域ブランド」に対する理解度を高め、事業の目的を明確にすることが必要です。

(B)ブランドコンセプトを明確にする
 地域の強み・弱みを事業者、市場、消費者の立場から明確にし、その上でブランド確立においては何が必要であるか(弱みからの分析)、また何が地域プレミアムとなるのか(強みの分析)を行う ことが必要です。 もし、コンセプトが明確でない場合は、それを明確にするために「戦略策定支援」を活用することも考えられますが、少なくても地域の強みと弱みを可能な限りでピックアップし、地域の資源とリスクを明確にしておくことは戦略策定の前提として必要不可欠であるでしょう。(これがなければ、その事業の採択を検討することができません)

(C)ブランド戦略の中における位置づけと目的を明確にする
 JAPANブランドは目的ではなく、その地域のブランド構築を成功させるためのひとつのツール(施策)であることを認識しなくてはなりません。つまり、長期的な視点に立ったブランド戦略の中において、JAPANブランド事業はどのような目的で、どのような効果を狙って行う のかを明確にする必要があります。もちろん他の施策との位置づけの違いを明確にし、それぞれの施策が相乗効果をもたらすようにすれば、いっそう高い効果が期待できます。

(D)ブランドの評価と市場調査を行う
 過去の経験や先入観ではブランド戦略は構築できません。ブランドの現状を消費者や第三者による正当な評価を行うことが必須です。また、新たな施策の方向性が見えたとき、その市場性を的確に調査しなければ、思わぬ落とし穴にはまったり、機会損失でせっかくの大きな市場を見失ってしまいます。第0年目、および節目ではこうした調査をしっかりと行 っていくことが必要です。

2006年4月4日

ブランド総合研究所 代表取締役   田中 章雄

 


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