株式会社ブランド総合研究所(本社:東京都港区、社長:田中章雄)では、2009年7月に国内1000の市区町村及び47都道府県を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全63項目からなる「地域ブランド調査2009」を実施し、全国の消費者3万2124人から回答を得ました。
その結果、全国で最も魅力的な市区町村は昨年2位だった函館市(58.8点)となりました。2位は昨年まで3年連続1位だった札幌市(56.4点)。3位は京都市(56.3点、昨年3位)、4位は横浜市(51.9点、同4位)といずれも昨年と同じ順位で、5位は神戸市(50.9点、同6位)となりました(点数は100点満点。昨年は2008年8月に実施)。町村の中では、軽井沢町が40.9点で10位(同9位)。続いて屋久島町が40.5点で11位(同11位)となりました(右下のランキングを参照)。
また、今回初めて47都道府県に対する評価も行いましたが、その結果は1位が北海道(68.9点)、2位は京都府(54.6点)、3位は沖縄県(53.3点)となりました。
<調査概要>
「地域ブランド調査2009」は、市区町村のブランド力を“見える化”し、地域ブランド戦略の指標として活用できるようにブランド総合研究所が年一回実施している調査で、今回が第4回目になります。
調査対象は全783市(2009年4月末現在)と東京23区、および地域ブランドへの取り組みに熱心な194の町村を加えた計1000の市区町村、そして今年より47都道府県を新たに調査対象に加えました。調査項目は、各地域に対して魅力度など全63項目の設問(具体的な調査項目については、後述の調査概要を参照) に関して実施しました。
この調査では、地域のブランド力を、消費者が各地域に抱く「魅力」で数値化しました。そのランキングを作成したのが右の「魅力度ランキング」です。また、「魅力」の要因を観光、居住、産品など他の項目結果から分析できるように設計しました。
調査はインターネットアンケートで実施し、全国から3万2124人の回答を集めました。地域ごとの回答者数は、1人の回答者に20市区町村について答えてもらったため、568〜695人となっています。また、集計に当たっては年齢、性別、居住地を基準に実際の人口の縮図となるように再算出(ウエイトバック)しました。
<背景と目的>
平成の大合併による新たな市の誕生等により、「地域のかたち」が見えにくくなっています。地域のブランド力を消費者視点で“見える化”することは、地域ブランド戦略に取り組む上で、消費者が何をどの程度評価しているか、地域の魅力がどれだけ伝わっているか(いないか)を判断する上で非常に重要です。
また、地域のイメージには都道府県のイメージも重要です。そこで今回は47都道府県のイメージも市町村と同様の設問を設けてランキングできるようにしたほか、市区町村と都道府県との評価やイメージの違いからブランドイメージの影響がどのような構造にあるかを分析できるようにしました。
そして、市区町村のデータは過去3年分ありますので、国の施策などをはじめとする地域ブランド確立への取り組みが、市への評価にどのようにつながったかを分析することも可能です(経年比較については昨年も調査対象だった市区町村に限る)。
本リリースでは、その調査結果の一部を「魅力度ランキング」として公表するものです。
<調査結果のポイント>
■函館市が昨年度調査2位から今年「最も魅力的な市」に
函館市のスコアは58.8点。一昨年の4位、昨年の2位から順位を上げて初めての1位となった。函館市が「魅力的」と回答したのは85.1%もおり、逆に「魅力的でない」と回答したのは1.4%と少なかった(因みに魅力度ランキング2位だった札幌市は3.9%)。
函館市が魅力度以外の指標で全国1位となったのは「イメージ想起率」で、回答者の91.8%が函館市に対して何らかのイメージを有しており、中でも「観光・レジャーのまち」としてのイメージ想起が高い(全国1位、83.7%)。「魅力度」と「市区町村のイメージ」各項目との相関関係を見たとき、「観光・レジャーのまち」が最も強い相関を示しており、函館市は本項目の比率が過去3年上がってきている。また、地域資源評価においては「食事がおいしい」「買いたい土産や地域産品がある」という項目において1位となっている。
■札幌市は魅力度ランキング1位を明け渡すも観光、産品では依然トップ
昨年の調査結果と比較し、魅力度ランキングの上位10位について顔ぶれは変わらない。昨年度まで3年連続1位だった札幌市は、今回2位という結果となった。調査の経年変化を見ると、札幌市を「魅力的」と回答する割合が徐々に減少(07年85.8%→08年82.7%、09年82.1%)、逆に「魅力的でない」と回答した割合は、徐々に増加傾向にある(07年2.0%→08年2.4%、09年3.9%)。ただし、他指標の調査結果でも観光意欲、産品購入意欲などは昨年に引き続き1位となっている。市のブランド戦略において、こうしたマイナスイメージの要因を洗い出し、それを解決しなければ今後もイメージの低下が続く危険がある。
■新型インフルエンザで観光客激減の神戸市、「観光意欲」は衰えず
その他の項目で特徴的な結果だったのは「観光意欲度」だ。2009年春の新型インフルエンザ流行により、神戸市では修学旅行者や海外からツアー客のキャンセルが相次ぐなど、大きな影響を受けた。こうした風評被害が観光意欲にどれだけの影響があるかを分析してみた結果(調査は影響のあった直後の7月に実施)、なんと神戸市の観光意欲は昨年11位(51.8点)から今年7位(55.7点)と上昇した。一昨年の能登半島の地震においても、大きな被害を受けた輪島市は本調査において観光意欲、魅力度ともに大きく上昇しており、こうした要因は市区町村に対する消費者からの「意欲」に大きな影響を与えない場合もあるようだ。
■都道府県で最も魅力的なのは“北海道”
今年の調査から調査対象に加えた都道府県の結果について、 最も魅力度が高かったのは北海道で68.9点となった。北海道は市区町村での同ランキングにおいても函館市が1位(58.8点)となっており、以下札幌市(2位、56.4点)など高い点数の市区町村が複数存在する。また、函館市よりも北海道の魅力度点数が高いことから、北海道は複数の市区町村の魅力が評価されている(各市区町村の魅力が相乗効果を果たしている)といえる。
次いで魅力度が高かったのは京都府で54.6点。北海道が複数の市区町村の魅力が評価されている一方で、京都市(3位、56.3点)が府の評価を牽引しているといえる。
3位は沖縄県で53.3点。沖縄県についても、北海道同様、那覇市(12位、40.2点)、や石垣市(17位、34.1点)など、魅力度の高い市区町村を県内に複数抱えている。
一方、今回の調査で最下位となったのは茨城県という結果となった。茨城県にはつくば市(133位、16.3点)、水戸市(191位、12.5点)など、茨城県の魅力度点数よりも高い評価をされている自治体が複数あるが、これが県の魅力につながっていないようだ。
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