全国で最も魅力的な街に札幌市が返り咲き。ところが多くの自治体で消費者からの評価は低下している---全国1047の自治体を対象に行った「地域ブランド調査2010」でこのような結果となりました。
この調査は株式会社ブランド総合研究所(本社:東京都港区、社長:田中章雄)が国内1000の市区町村及び47都道府県を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全63項目からなる調査を実施したもので、今年で5回目の実施(年1回実施)。全国の消費者3万4257人から回答を得ました。
その結果、全国で最も魅力的な市区町村は札幌市となり前年度の調査で初の全国1位となった函館市は2位に、京都市は3位でした。また、4位は横浜市、5位は小樽市となりました。町村の中では、屋久島町が11位。軽井沢町が13位となりました(下段のランキング表を参照)。
また、47都道府県に対する評価の結果は、1位が北海道で2年連続1位となり、2位は京都府、3位は沖縄県でした(都道府県のランキングについては前年度より実施)。 調査結果の特徴は以下の通り。
◆上位市の多くが点数下落・・・札幌市、長崎市は上昇
今回の調査結果で特徴的だったのは、ランキング上位の自治体の多くがその評価点数(魅力度)を低下させている点。魅力度ランキングの上位10位までにランクインした市区町村のうち、魅力度の点数が前年度より上昇したのは1位の札幌市と10位の長崎市だけで、他の8市はいずれも前年度より点数が低下した。例えば2位の函館市は同58.8点から55.5点、3位の京都市は56.3点から52.2点へと大きく点数を下げているなど、上位10市の平均では2009年度が50.3点だったものが2010年度は47.3点と3点も低下している(2009年度調査の10位は軽井沢町で40.9点)。
この傾向は観光意欲ではさらに顕著で、上位10位の自治体はすべて前年より大幅に低下。20市の中で上昇したのは別府市と福岡市のわずか2市だけだった。入込観光客数といった実数には現れない、消費者のニーズが変化しつつある可能性がある。
その一方で、魅力度が2008年以降連続で上昇している市区町村もある。魅力度上位市区町村の中では、長崎市、石垣市、沖縄市、別府市などが該当する。
◆長崎県、長野県が順位上昇
都道府県の魅力度ランキングでは上位8位までは前年度の結果と変動はなかったが、8位の福岡県が11位に低下し、長崎県と長野県が順位を一つずつ上げた。
市の結果と同様に順位には変動はないが、上位10位のうち東京都と神奈川県を除いた都道府県が魅力度の点数を低下させている。
<調査結果の特徴@〜市区町村ランキングより〜>
■札幌市が「最も魅力的な市」に返り咲く
調査を開始した2006年度調査から2008年度までの3年連続1位だった札幌市が、2年ぶりに1位となった。魅力度は57.0点で、81.4%の回答者が「魅力的」だと回答した。一方で「魅力的でない」と回答した割合は、2.9%と、前年調査の同割合3.9%から減少している。
札幌市の他指標の結果は、観光意欲度において調査開始時から5年連続で1位、また産品購入意欲度でも3年連続1位となっているほか、地域資源評価の項目「食事がおいしい」「買いたい土産や地域産品がある」では前年2位から今年1位となっている。また、情報接触度も前年5位から1位に上昇している。
■長崎市、初の上位10位以内
前年13位の長崎市が、今年はじめてベスト10に入った。前年度の結果と比較すると、九州・沖縄居住の回答者からの評価が上がっていることが、魅力度順位上昇の要因となっている。 大河ドラマ(2010年放映)の舞台の一つである長崎市の情報接触度は前年34位から20位に上がっている。情報経路別で見ると「ドラマや映画」の割合が倍増(6.9%→14.2%)している他、「旅やグルメに関する番組」など旅行関連の情報経路の接触率が上昇している。しかし、居住意欲度、観光意欲度、産品購入意欲度については大きな順位変動はなかった。
■名護市は情報接触が上がるも居住・観光意欲低下
米軍基地問題で春から大きくメディアに取り上げられている名護市では、情報接触度、情報接触経路「事件やニュース」については大きく順位を上げているが、魅力度は前年52位から82位へ大きく下がってしまった。また、観光意欲度、居住意欲度においても大きく順位を落としている。一方で、「まちのイメージ」項目では「住民参加のまち」で順位を上げている。
■墨田区は魅力度・観光意欲度が大きく上昇
東京スカイツリー建設中の墨田区は、魅力度が202位から158位に、観光意欲度が260位から206位に上がったほか、情報接触度が73位から28位に、認知度も84位から61位へと上昇している。
<調査結果の特徴A〜都道府県ランキングより〜>
■北海道が2年連続で1位
最も魅力度が高かったのは北海道で68.0点となった。北海道は、市区町村の同ランキングで1位だった札幌市(57.0点)をはじめ、函館市(2位、55.5点)など高い点数の市区町村が複数存在する。また、札幌市よりも北海道の魅力度点数が10点以上高いことから、北海道は複数の市区町村の魅力が道の魅力として評価されている(各市区町村の魅力が相乗効果を果たしている)といえる。
2位の京都府と比較しても15点以上の点差があることからも、北海道のブランド力の高さを見て取ることが出来る。
■宮崎県の情報接触経路が大きく変化
2010年春に発生した口蹄疫問題に揺れた宮崎県は今年度調査で18位(18.5点)となり、前年度13位から順位を下げる結果となった。 情報接触度は上昇したが、「旅やグルメに関する番組」(23.1%→19.6%)、「物産展や催事など」(12.8%→7.7%)と観光、産品に関連する項目が低下した。
しかし、産品購入意欲度では、順位こそ前年の5位から7位に下げたものの、点数は41.9点から44.2点と上昇しており、購入意欲の面では依然高い点数となっている。
■奈良県は観光に関する項目で順位上昇
また、平城遷都1300年に関連して様々なイベントを開催している奈良県は、魅力度は前年同様5位となっているものの、観光での訪問経験項目(過去5年間の訪問経験有無)で前年8位(20.8%)から6位(24.7%)に、観光意欲度でも同5位(52.4点)から4位(54.9点)に順位を上げている。
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