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【写真4】丁野氏は「近代」の歴史資源をPRすべきと強調
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最後に、地域ブランド戦略ではその地域を訪れる理由付け、すなわち訪問するための“ストーリーづくり”も不可欠と、パネリストは異口同音に語った。
ブランドイメージに欠かせない
“ストーリーづくり”
生越氏は「中小企業白書によると、江戸時代の産業の37%が現在の中小企業に受け継がれ残っているという。つまり、日本にはまだ古くていいものがいっぱい眠っているはずである。それをストーリーを作って外に出してあげることが重要」と、説明。
丁野氏は、「歴史で表に出ているもののほとんどが『近世・中世』。小樽や函館のように『近代』を売りにしている地域は少ない。各地域は、歴史の中でもう一度『近代』を再編集して出していくべきである。京都ではものづくりのメッカ・京都をPRするために、近代工業都市の側面を再編集して提供しようとしており、こうした活動が他の地域でも必要」と、視点を変える重要性を説いた。
一方で小出は独自の視点でデータから浮かび上がる事実を挙げる。「各県で2番目、3番目の市の魅力度が非常に低いという結果に着目すべき。それらの中には合併で地域が広がった市が多く、あれもこれもとバランスをとった結果、アイデンティティが失われたのではないか。埋没しないためにも、自分たちのアイデンティティの確立に取り組んでほしい」。
田中は、「今回の調査の目的は単にランキングすることではなく、そこから課題を明確にし、どこをどう高めるかという戦略に結びつけることである。その地域ブランドの戦略作りにおいて、今回の消費者の数字による評価は最大の武器になる。戦略の道しるべとしてぜひ活用してほしい」と、力説。会場からは大きな拍手が起こり、記念討論は幕引きとなった。