地域ブランド調査2007結果発表会 〜全国1000市区町村のブランド評価〜
約120名の参加者を集めた満員の会場で、詳細結果を発表!
さらに札幌市(魅力度1位)、輪島市(魅力度上昇率1位)を表彰!
ブランド総合研究所では、8月24日(金)に都道府県会館(東京都千代田区)で、国内1000の市区町村を対象に、認知度、魅力度、イメージなどを調査し、各自治体のブランド力をランキング形式で発表する「地域ブランド調査2007 〜全国1000市区町村のブランド評価〜」の結果発表会を開催した。 この調査は、国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全63項目についてインターネット調査を実施したもので、全国の消費者約3万5000人から回答を得た。結果発表会では、事前に速報として発表されたランキングのほかに、各項目別の詳細なランキングも報告。さらにそれらのデータを分析し、背景やトレンド、上位市区町村の有効な取り組みなどを紹介。会場に集まった約120名の参加者は、次々と発表されるデータとそれに対する解説に対し、熱心に耳を傾けた。 消費者評価を“見える化”し、地域ブランド戦略につなげる
@消費者からの評価を“見える化”すること A地域ブランドの戦略に結びつけること @では具体的に、「認知・魅力(総合指標)」、「居住・観光・産品への評価(評価指標)」、」「経験・意欲の評価」をそれぞれ明らかにすること。 Aでは、「各地域の全国における相対的な位置付けの明確化」、「各地域の詳細な分析を可能にすること」、「魅力を低下させている原因を導くこと」「魅力を高める方策を導くこと」、「各評価指標を高めるアクションを導くこと」を主眼として調査を実施。「この調査は単なるランキングで終わるのではなく、分析してブランド戦略につなげられるように設計している」と、田中は強調した。 また、調査指標では、認知度、魅力度、情報接触度(過去1年以内)、情報接触経路、市区町村のイメージ、地域資源(自然、歴史、モノ、サービス)に対する評価、居住意欲度、訪問率、観光意欲度、産品購入意欲度(食品、食品以外)の各項目を設定。調査期間である2007年6月28日〜7月4日に、消費者にインターネットを介したアンケートで質問し、34851人(1つの自治体あたり588人〜773人)の有効回答を得たと報告した。 魅力度で輝きを見せた札幌市と輪島市を表彰
概要の説明が終わると、続けて「魅力度ランキング1位」に輝いた札幌市、「魅力度の伸びが大きい市ランキング1位」となった輪島市への表彰式が実施された。会場には、両市を代表し、札幌市から市長の名代を務める東京事務所の鈴木俊彦所長、輪島市から梶文秋市長が出席し、ブランド総合研究所社長の田中が表彰状を授与した。 札幌市の鈴木氏は、「札幌市は明治4年に開拓使によって開かれてからまだ136年という歴史の浅い街。しかし、今や189万人が住み、年にまだ1万人増え続けている巨大都市となった。多い時は一晩に50cmの降雪があるにもかかわらず、道路は常に車が通れるように整備したり、『シティーセールス』を題し、観光客、企業、コンベンションを誘致する。そうした地道な取り組みが実を結び、札幌に人を引きつけているのだと思う」と、受賞の喜びを語った。
輪島市の梶市長は、「輪島市は能登半島の真ん中にあり、地理的には不便な場所。しかし、その分大自然のテーマパークといわれるほど、自然が残っている。また、古い街並みや田畑はまさに日本の原風景。地震で大きな被害を受けた輪島市だが、そうした観光資源を柱に今まさに頑張っている最中だ。2003年に開港した能登空港の搭乗率は66〜67%と非常に高かったが、地震の影響で一気に50%前半まで落ち込んだ。でも、また65%くらいまで持ち直している。皆さんもぜひ訪れてほしい」と、コメントを寄せた。
田中は、「札幌市は蟹、じゃがいも、ラーメンなどの食、雪祭りなどのイベントが強く、観光意欲が非常に高いのが強さの秘訣。ただし、年間観光客5000万人構想を掲げる京都市が猛烈な勢いで追い上げているので、より地域資源に磨きをかけてほしい。輪島市は、地震により情報接触度が上がったが、同時に観光意欲や街並みがキレイというイメージも上昇した。つまり、ブランドは風評被害に遭わなかったといえる。今後、現地での飲食などへの不安が解消されれば、意欲が訪問という行動に結びつく可能性が高く、いかに安心感を伝えていくかがポイントとなる」と、解説した。 ホームページはブランド視点で再構築が必要 引き続き、第一部最後のプログラムとして、田中が魅力度以外の他指標のランキング結果の概要を発表した。認知度ランキングでは、京都市がトップで、名古屋市、新宿区、大阪市、横浜市、渋谷区と続いた。首都圏、関西圏の大都市が上位を占めるという結果となった。情報接触度ランキングでは、夕張市が1位。財政破綻関連の報道が大きく影響しているのは明らかである。
“産品系”では、「通販カタログや商品パンフレット」では神戸市、「物産展や催事(イベント)など」、「百貨店やスーパーの店頭および商品」では札幌市が1位。“広告系”の「テレビCMや新聞雑誌の広告」では札幌市、「ポスターやチラシ」では京都市、「市区町村や都道府県のホームページ」では大阪市がトップ。また、“口コミ系”の「そのほかサイトや掲示板など(バズ・マーケティング)」では渋谷区、「友人や知人・家族から」は名古屋市、「事件やニュース」は夕張市が最上位となった。
さらに、情報接触経路別の平均点(魅力度上位200位で算出)の昨年との比較を見ると、ほとんどの経路で上昇していることが判明。特に昨年同様、旅行系での情報接触が際立って多いことが読み取れた。しかし、各市区町村が自発的に発信する広告系は昨年と同じく低迷。「市区町村や都道府県のホームページ」に至っては減少する傾向が見られた。「ホームページを行政サービスとしてではなく、ブランドという観点で考え直し、再構築する必要がある」と、田中は指摘する。
観光意欲で北海道勢が上位に
調査では、居住、観光、産品への期待についてもアンケートをとり、集計、ランキング化している。それによると、居住意欲度ランキングでは、横浜市や鎌倉市、神戸市、京都市、札幌市などが上位に。リゾートでは、8位に入った軽井沢町の健闘が光った。観光意欲度では、札幌市、函館市、小樽市、富良野市など北海道勢の評価の高さが目立つ。 産品購入意欲度<食品>では、夕張市(主な品目は夕張メロン)、札幌市(同ラーメン、蟹、白い恋人など)、仙台市(同牛タン、笹蒲鉾、ずんだ餅など)、京都市(八橋、漬物、京野菜、豆腐など)、名古屋市(ういろう、味噌カツ、きしめん)の順となった。夕張市のように品目が1つだけのケースと、札幌市以下のように複数挙がるケースが見られるのがポイントである。 一方、産品購入意欲度<食品以外>では、輪島市(主な品目は輪島塗)がトップ。次いで、有田町(有田焼)、伊万里市(伊万里焼)となっている。食品とは逆に「1市区町村1品目」という傾向が強いのが特徴である。
歴史や伝統では京都が他を圧倒 また、まちのイメージランキングでは、「歴史・文化のまち」、「学術・芸術のまち」のトップが京都市。「観光・レジャーのまち」は札幌市、「スポーツのまち」はサーキットのある鈴鹿市、「国際交流のまち」は横浜市、「環境にやさしいまち」は富良野市、「デザインやセンスの良いまち」は横浜市、「住民参加のまち」は夕張市、「教育・子育てのまち」は文京区、「健康増進・医療福祉のまち」は野沢温泉村、「IT・先端技術のまち」はつくばみらい市、「防犯・防災に強いまち」は網走市、「生活に便利・快適のまち」は世田谷区が、それぞれ1位を獲得した。
地域資源に対する評価ランキングも報告。「海・山・川・湖などの自然が豊か」は富良野市、「魅力的な温泉やレジャー施設・公園がある」は別府市がトップ。一方、京都市は、「魅力的な伝統芸能、祭り、イベントがある」、「魅力的な街並みや歴史建造物がある」、「歴史人物、著名人、職人などにゆかりがある」、「魅力的な美術館・博物館がある」、「優れた伝統的技術がある」といった、歴史系の評価で軒並み1位に。「歴史と伝統のまち・京都」を改めて印象付ける結果となった。
田中は、「さらに、回答者を年代別、地域別に絞って分析することも重要。『どの年代からそう思われているのか』、『どこに住んでいる人がそう見ているのか』が分かれば、地域ブランド関係者と消費者の見方の違いがより鮮明になり、戦略も立てやすくなる。各市町村について詳細に分析した個別報告書では、そうしたセグメントされた分析も充分に提供するので、ぜひこの機会に活用を検討してほしい」と、話した。 |