特別分析レポート 第5回
地域資源に対する評価 【表1】地域資源に対する評価 (1位〜3位)
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地域資源とは、消費者がその地域を聞いて連想する具体的な自然、歴史、モノ、サービスなどの資源のことをさす。地域資源は地域のブランド力に強い影響力を与えていると考えられる。個々の地域資源が、消費者にとって価値あるものとして認識・評価されているかどうかを調べることで、その地域の強み・弱みがわかり、また、地域のブランドの特徴を知ることができる。 そこで、地域ブランド調査2007では地域資源に対する評価の各項目を新たに加えた。これら調査結果をランキングにして比較、および、評価項目15個を元に、「地域資源総合点」としてランキング結果で示した。 (地域資源に対する評価=「各市区町村にはどんな魅力があると思いますか?」という問に対して、「海・山・川・湖などの自然が豊か」「魅力的な温泉やレジャー施設・公園などがある」など15項目の各設問に回答した人の割合(%)を算出した) (地域資源総合点=「地域資源に対する評価」の15項目の回答結果を加重平均して偏差値を算出した) ■京都市が5つの地域資源でトップに 表1は、地域資源の各項目の3位までを示している。京都市が全15のうち5つの項目で1位になるなど、地域資源に対する評価の高さがうかがえる。その他の地域資源に対する評価の1位は、「海・山・川・湖などの自然が豊か」は富良野市、「魅力的な温泉やレジャー施設・公園などがある」では別府市、「スポーツの参加・観戦が楽しめる」では鈴鹿市となっている。今回から調査対象になった東京23区では、渋谷区が「魅力的な商店街や地域産品がある」で1位、新宿区が「道路や交通の便がよい」で1位。町村では、軽井沢町が「泊まりたい宿泊施設がある」で1位になるなど、各市区町村の地域資源の特徴がみられた。 ■地域資源総合も京都市がダントツ1位 表2は、地域資源総合のランキングを示している。地域資源総合の順位は、魅力度の順位と似ている部分が多くなっている。1位の京都市は、魅力度では2位であったが、地域資源では1位となっている。 図1は地域資源15項目と魅力度との相関をみたもの(1%水準で有意)。相関係数の値が大きいほど、魅力度への影響が高い。魅力度への影響が高い地域資源は「宿泊施設」「街並みや歴史的建造物」「美術館・博物館」「温泉やレジャー施設・公園」「食事」などの資源であった。どれも観光資源としても評価がある項目が上位にくる。消費者のイメージしやすい地域資源は、観光が多いことがわかる。逆に、相関が他に比べて低かった項目は、「スポーツ参加・観戦」「地域を代表する産業や企業」「伝統的技術」など比較的、生活に重きをおいた項目がみられる。 地域資源に対する評価の15指標を因子分析によって再グループ化したものを図1に示した。結果、「歴史因子」「自然因子」「生活因子」の3つの地域因子に集約できた。(※上記の図での直線は各因子に影響の強いイメージのグループを示した)それら因子と魅力度との相関をみたのが図3になる。図3をみると、地域因子のなかで、最も魅力度に影響がある因子は歴史因子で0.64の相関(相関係数は1%水準で有意)となった。消費者にとって、地域のブランドイメージを高めるものとして、歴史的要素の影響の強さがうかがえる。 魅力度の上位100市区町村の因子分析結果を元に、歴史因子と自然因子の関係を図3に示した。横軸は歴史因子、縦軸は自然因子としている。結果、大きく3つのグループに分かれた。 1つは、自然因子の強い「自然資源グループ」で札幌市や函館市などふくまれる。2つ目は、歴史因子の強い「歴史伝統資源グループ」で京都市、鎌倉市などがふくまれる。両者の中間に位置しているのが、横浜市、神戸市など「生活文化資源グループ」である。魅力度上位の市区町村は、それぞれ特徴ごとに、自然、歴史、生活グループへとわかれており、各グループの代表ともいえる。今後、魅力度があまり高くない地域にとって、これら魅力度上位の市区町村がひとつの目標となるかもしれない。そのとき、これら地域資源グループをひとつのめやすとして、自分の地域がどの地域と傾向が一緒か、そのなかで特徴をだしていくためには、何が地域の売りになるのかを見極めていくことが必要となる。 |
【表2】地域資源総合点
【図1】地域資源に対する評価15項目の魅力度との相関
【図2】地域資源に対する評価15項目の因子分析
【図3】魅力度と地域資源因子との相関
【図4】歴史因子と自然因子 |