特別分析レポート 第7回
食品購入意欲の高い地域ランキング
日本全国の消費者が地域に抱く「魅力」。その魅力について、広域レベルではどのような傾向が見られるのだろうか。今回のレポートは、広域レベルでの魅力度の地域別傾向、ならびに経年変化について考察を行っていく。 「××産のこだわり野菜」とか「地域限定××使用の△△」、「××産品フェア」など、地域名を前面に出した食品がスーパーの店頭でも多く並ぶようになってきた。また、売価が他商品の数倍もするような「限定商品」に長蛇の列ができることも少なくない。 また昨年秋から「地域+商品名」が商標として認められる「地域団体商標」という制度もスタートし、いままさに全国各地で「地域ブランド」の構築合戦が繰り広げられている。 では、消費者の意識としては、いったいどのくらいの地域産品がブランドとして認識されているのだろうか。 そこで今年6月から7月にかけて、国内1000市区町村の認知度や魅力度などを全国約3万5000人の回答を集めて実施した「地域ブランド調査2007」の結果を元に、市区町村別食品購入意欲ランキングを作成してみた。 ランキングは各市区町村の名前を聞いて、「購入してみたい」と思い浮かぶ食品を3つまで書いてもらい、それを集計したもの(回答者全員が1点ずつ記入すれば100点、全員が3点ずつ記入すれば300点=満点となる)。 その結果、最も食品購入意欲が高かったのは夕張市で59.2点となった。回答者の58.5%の人が夕張市で購入したい食品として「夕張メロン」を記入しているが、メロン以外を答えた人はわずか0.7%にすぎなかった。 一方、2位となった札幌市(54.5点)の場合は購入したいと答えた商品が多岐にわたっている。具体的には「ラーメン」と答えた人が最も多かったが、その比率は回答者の11.7%。次に多かったのが「カニ」で8.2%、そして「白い恋人」が7.2%など、多くの商品が想起されている。 今回の調査で上位を占める市区町村には大きく2つのタイプに分けられる。1つは夕張市のように、1〜2品だけで想起全体の90%以上を占めるほど、非常に強いブランド産品を有している市区町村で、青森市(りんご)、米沢市(米沢牛)、魚沼市(米)、松阪市(牛)などがそうだ。またこれらの商品は突出した魅力を有しており、他の地域の商品より価格プレミアムがついているケースが多い。 もう1つは札幌市のように強いブランド産品を複数有している市区町村で、京都市(八橋、漬物、和菓子など)、名古屋市(味噌カツ、きしめん、ういろう、ひつまぶしなど)、函館市(かに、いか、うに)などがある。これらは価格プレミアムはそれほど高くはないが、その市町村の魅力度が高いケースが多い。 スーパーなどの売り場で今後地域ブランドの商品を取り扱う場合、前者のような場合は最も突出した商品を中心に据えて、それに関連・付随した商品を並べるのが効果的だろう。一方で、後者の場合はその地域の産品を数多く揃えて「京都フェア」のような売り場で地域自体を演出すれば、集客効果や売上への寄与が期待できるだろう。
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■食品購入意欲度ランキング
■産品ブランドの類型
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