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BRIレポート

田中章雄のブランド戦略日記 Vol.2
 永平寺が九頭竜川に「川の駅」構想
  〜一過性のイベントから定常的な魅力作りへ〜

  福井県の永平寺町に1年ぶりに訪問し「永平寺町の地域資源を活用した地域ブランドづくり」の講演をしてきました。永平寺町は平成18年度に中小機構の「地域ブランドアドバイザー事業」として、1年間かけて地域資源の洗い出しや、計画作り、組織作り、そして地元事業者や関係者の意識改革などを徹底して行っていたのです。

 永平寺は屈指の観光地である大本山永平寺を有してはいますが、観光客、参拝客は年々減少しており、今では年間約60万人とピーク時の半分にまで落ち込んでしまっています。そこで大本山以外の魅力を発掘し、商品と食などを融合した体験型観光を作り出そうという取り組みを始めたということです。

 実は、この永平寺町にはすばらしい取り組みがあります。それは九頭竜川の河川敷で20年間続いている「永平寺大燈籠流し」。大本山永平寺の役寮、雲衲衆約130名による読経が営まれた後、 先人たちへの「愛と感謝」、供養の想いを込めた約1万個もの燈籠が流され、川面にまたたくような幻想的な光の帯をつくるというものです。また、野外コンサートや展示販売、花火大会などいろいろな催し物も行われており、3万人もの人でにぎわいます。

 ただ、こうしたイベントは一過性のもので、それだけでは街の活性化には結びつきません。いかに年間を通じて観光客を魅了できるようなものがつくれるか。そこで計画化されたのが観光拠点としての「川の駅」の構想なのです。川の駅は2002年夏に帯広市十勝川、栃木県那珂川などがあるほか、今年3月には利根川上流にて「モデル川の駅」を設置しての社会実験も実施されています。 です。

 永平寺町では、観光物産協会が中心となり、中小機構の「地域資源活用企業化コーディネート支援助成」を活用し、勉強会を通じて組織作り、体験観光プランの研究、料理メニューの研究などを1年間かけて行っていきます。もちろんこの支援事業は勉強会でしかなく、実際の事業化に向けて具体的な取り組みを行う必要があります。「川の駅」というハードを作っても、それを運営する組織や、そこで提供されるサービスや商品に魅力がなければ観光客の心を惹きつけることはできません。また、補助や支援金を当てにしたものではなく、ビジネスモデルとして成立するような計画がなければ地域活性化にはつながりません。

 大本山永平寺、九頭竜川、鮎、古代米、永平寺そば、そして近隣に2つの大学のキャンパス・・・。永平寺にはすばらしい地域資源が豊富にあります。これらの資源を活用した新しい魅力作りと地域活性化が今後どのように進むのか。永平寺町の取り組みにぜひご期待ください。

コラムの内容についてのご意見やご質問、そして情報などは何なりと 田中(tanaka(AT)tiiki.jp)までメールでお送りください。 ※メールのあて先は(AT)を@に置き換えてお送りください。
 

2008年4月14日


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