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BRIレポート

田中章雄のブランド戦略日記 Vol.18
豪雨の名古屋で垣間見た、一流ホテルのプロ意識

 日本中を襲っている豪雨。特に豊橋市など東海地方は大きな被害を受けているようです。
 実は私もその豪雨の真っ最中に名古屋にいたのです。そしてその名古屋で大変な経験をしました。
 名古屋に向かう新幹線が豪雨のため2時間以上も遅れたのがそもそもの始まり。そのため予定していた会議ひとつに間に合わなかったのですが、もうひとつの会合に参加して、最終列車でホテルを予約している名古屋駅に戻ったのです。

 地下鉄を出たら、駅のあちらこちらに人が溢れています。ホテルまで歩いて5分くらいの距離なので、歩こうと思って地上にでたらすごい豪雨。いわゆるバケツをひっくり返したという言葉通りです。「少し止むのを待とうかな」と思っていると、なんとみるみるうちに道路に水がたまり始めたのです。

 これでは地上を歩いてはいけません。一旦、地下に降りて、ホテルから少しでも近い出口から出ようとしたら、なんとその階段を伝って滝のように水が流れ込んでいます。それに逆らうようにして地上の出口にでたら、なんとそこは洪水。深さ30センチぐらいはあるでしょうか。そうです、名古屋駅前が水没してしまったのです。

 通常なら歩いて5分くらい。すぐ目の前なのに歩くこともできないのです。一旦地下に降りて、なるべくホテルから近い出口に向かい、そこから外にでると、やはり栄町と同じように一面は深さが30センチくらいの池になっています。そして池の中から噴水のように水が湧き出ているのが分かります。たぶんマンホールでしょう。

 かといってそのまま見ているわけにも行きません。この雨の降り方だと、ますます水かさは増えそうです。そこで覚悟を決めて、靴を脱ぎ、ズボンのすそを捲り上げて、荷物を頭の上に載せて、ついに池の中に突入!
 思ったより池は深く、ひざのはるか上まで水に浸かってしまいました。土砂降りの中、なにかにつまづいたりしないように、ゆっくりと進みました。そのとき痛感したのは、道路は決して平らではないということ。歩道は車道より高い位置だと思っていたら大間違い。歩道の切れ目というのは、実は車道より低いのですね。つまり、一番深いところでは腰まで水に浸かってしまいました。

 というわけで、わずか5分の距離を、なんと1時間もかけてようやくホテルに到着しました。ところが、そのホテルの入り口が閉まっています。唖然としていると係員が来て、裏に回れといいます。裏口に回ると別の係員の誘導で、二階へと向かうことになりましたが、そのときに私が見たのは、30センチほど冠水した1階フロント。そして、ゴーゴーというすさまじい音を立てて階段から地下に水が流れているのです。階段を2階に上りながら覗き込むと、そこには完全に水没した地下2階と、水没も時間の問題と思われる地下1階。

 映画のシーンを見ているようなすごい光景を後に2階のホールに行くと、そこに全身がずぶぬれになった20人くらいの客がいました(私は下半身だけずぶぬれでした)。話によると、地下1階のレストランで食事をしていると、突然水が降ってきて頭から水をかぶってしまったというのです。

 それから30分ほどたって、私はようやく部屋に入ることができたのですが、感心したのは、翌日、朝食会場はいつもと違って2階の宴会場になっていましたが、しっかりと朝食が振舞われていたこと。そしてフロントはいつもどおりに機能していたこと。(エレベータは故障で、業務用のものを代行していましたが)

 被害にあったお客への対応、たまった水の対応、各設備の復旧などに追われる中、宿泊客の朝食には不自由を感じさせないというプロ意識。こうしたリスクへの対応をしっかりと出来ているところが、「一流のホテル」というブランドを得ている所以だとあらためて感じました。

コラムの内容についてのご意見やご質問、そして情報などは何なりと 田中(tanaka(AT)tiiki.jp)までメールでお送りください。 ※メールのあて先は(AT)を@に置き換えてお送りください。
 

2008年9月1日


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