■田中章雄のブランド戦略日記 Vol.11
ビールとラーメンに衝撃!
農商工連携について語るフォーラムの前情報(こそっ) |
いま、「農商工」をテーマにしたものが大流行です。
経済産業省と農水省が中心となって、今年の地域活性化の中心テーマとして取り組んでいるからです。これから「農商工」をキーワードにしたセミナーや支援策が続々と登場してくるものと思われます。
その手はじめとして今週の3日(木)に東京・有楽町の国際フォーラムで開かれるのが「農商工連携フォーラム」で、どうも凄い人気で定員500名のところ応募者が多くて抽選にもれてしまって参加できない人もかなりいるそうです。
さて、この農商工連携フォーラムでは私も第2部のコメンテーターとして登壇させていただくことになっていますが、ここで登場するのがあの川越のビールを作った協同商事の朝霧さんです。
小江戸・川越の地ビール「COEDO」には5種類ありますが、このうち川越産のサツマイモを原料に使った「紅赤」がモンドセレクションで2年連続最高位の賞を獲得しました。このビールを作り始めたのは10年ほど前。朝霧さんは有機農法で野菜を作る際に、形や色、大きさなどで販売に適さずに廃棄されていたサツマイモを原料としたビールを思いついたのです。
さらに、このビールは通信販売は行っていません。川越の蔵造りの街で飲むことが出来、そしてお土産として販売しているだけです。つまり単なる街の資源を使ってものづくりをするだけではなく、観光の一部として、街の活性化を考えた取り組みとしているのです。さて、このビール、私のところにも特別に送っていただきまして、5種類のビールを存分に味わってみました。サツマイモの「紅赤」を使ったビールはさすがにほんのりとサツマイモの香りが残っていて、とても美味しかったです。
この続きはフォーラムで朝霧さんに直接お伺いすることとしましょう。
ところで、もう一人登場するのは北海道江別市で国産小麦「ハルユタカ」を作っている「江別麦の会」の会長、片岡さんです。
このハルユタカはでんぷんをたっぷりと含み、もちもちとした食感が特徴ですが、生産が難しく、これまでは多く作ることが出来ませんでした。それを「初冬まき」という手法を使って、収穫量の大幅アップを実現したのです。
さらにこのハルユタカを使って、江別特有の商品化をしようと思い、少量の小麦を加工できるようにな仕組みを作りました。そしてそれを使ったラーメンなどの麺が商品化されて大人気になっているのです。
こちらも、先日実際に食べてみました。生めんのラーメンはとてももっちりとして、最高に美味しかったです。そして愕然としたのが、乾麺。とてもインスタントラーメンとは思えないコシがあり、社内では絶賛でした。
今回の農商工連携では、このように地域の特産品を使って、あらたな商品化を目指す取り組みです。ただ、その方向性として大量製品や差別化されていない一般的な商品の製造をめざすと、価格競争の波に埋もれてしまいます。そこで、他の産地やナショナルブランドにはない特徴のある商品を目指そうというのが重要です。
それと、農業は食料としてだけではありません。農作物が持っているものから、薬品や健康食品、エネルギー原料など、さまざまなものに加工することによって新たな市場や産業が生まれる可能性があります。
今回のフォーラムではこうした農商工連携の可能性と、その取り組みのポイントについて事例を元に分かりやすく説明することが目的です。ぜひお楽しみに!
コラムの内容についてのご意見やご質問、そして情報などは何なりと 田中(tanaka(AT)tiiki.jp)までメールでお送りください。
※メールのあて先は(AT)を@に置き換えてお送りください。 |
バックナンバー:
Vol.29 究極のグルメ・コラボレーション開催!
〜世界の注目を浴びる3名の天才シェフによる夢の料理祭典〜 (2009年1月28日)
Vol.28 「いい芳賀いちご夢街道」 最高級のとちおとめ (2009年1月28日)
Vol.27 美味しいだけじゃブランドにはならない (2009年1月13日)
Vol.26 地域ブランドをめぐる2008年の10大ニュース(2008年12月24日)
Vol.25 住民はどれだけ環境に配慮した取り組みをしているか 「都道府県別エコへの取り組み調査」より (2008年11月10日)
Vol.24 「電子メールは地域活性化に不可欠!」〜メールの悩み10選。情報過疎化とイメージダウンにご注意を〜(2008年11月4日)
Vol.23 地域ブランド調査2008、「産品は伊万里市が1位、輪島は2位に。富良野と小樽は上昇」
(2008年10月27日)
Vol.22 地域ブランド調査2008、「食品は豊富な札幌が逆転1位。宮崎は急上昇7位へ」
(2008年10月22日)
Vol.21 地域ブランド調査2008、「住みたいまち1位は3年連続で横浜市」
(2008年10月14日)
Vol.20 地域ブランド調査2008、観光意欲度ランキングでトップは?
(2008年10月6日)
Vol.19 汚染米の事件、その原因と対策はどうあるべきか
(2008年9月18日)
Vol.18 豪雨の名古屋で垣間見た、一流ホテルのプロ意識
(2008年9月1日)
Vol.17 夏の日の怖いECサイトの大事件! 〜企業イメージをどん底に陥れる致命的な4つの失態〜
(2008年8月19日)
Vol.16 地域ブランド調査スタート! 〜調査結果の活用するポイントは?〜
(2008年8月4日)
Vol.15 認定制度は売り上げに直結するか? 〜やらまいか浜松にみる認定制度のあり方を考える〜 (2008年7月28日)
Vol.14 「わが町 かながわ 小旅行」に参加して (2008年7月22日)
Vol.13 認知度とブランドを履き違えるな! (2008年7月14日)
Vol.12 熱気に満ちた「農商工連携フォーラム」の参加報告(2008年7月7日)
Vol.11 ビールとラーメンに衝撃! 農商工連携について語るフォーラムの前情報(こそっ)(2008年6月30日)
Vol.10 中国で申請される地域名や地域産品の商標の横取り問題
(2008年6月23日)
Vol.9 地域ブランド・ブログの作り方
(2008年6月16日)
Vol.8 ご当地ヒーローの効果 (2008年6月9日)
Vol.7 観光地域経営フォーラムが始動
〜着地主導型の新たなビジネスモデルを検討・事業化へ〜 (2008年6月2日)
Vol.6 自販機より心のこもったサービスを (2008年5月26日)
Vol.5 中国大震災とリブランディング (2008年5月20日)
Vol.4 水道完備の屋台・久留米はB−1の舞台に! (2008年5月12日)
Vol.3 知財功労賞の受賞報告。地域ブランドは有力な知的財産 (2008年4月21日)
Vol.2 永平寺が九頭竜川に「川の駅」構想 〜一過性のイベントから定常的な魅力作りへ〜 (2008年4月14日)
Vol.1 平成20年度のブランド戦略の動向 (2008年4月7日)
|